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女性だけの町BLACK  作者: ウィザード・T
第十八章 空前絶後、史上最悪の事件
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空前絶後、史上最悪の事件(危ない描写あり、閲覧注意!)

「うぐ、むぐぐ……!」


 和伊崎の口にハンカチが噛ませられる。叫ぶ事などできない。

 厚化粧の成れの果てのような顔を露出度が極めて高くなった和伊崎に近づけ、唇を奪う。

「本当可愛いじゃない、あなた……」

 音量こそ低いが迫力だけは百点満点の百五十点のそれを耳に叩き込み、邪魔くさい布をさらに剥ぎ取りにかかる。


「おあえ…」

「お前は何を?私は私のしたいようにするだけよぉ……」


 お金、とか言う方法しか和伊崎には思いつかない。

 もし金で済むのならば甲斐を警察に突き出さなくてもいいと思う程度には、和伊崎の心は弱っていた。

 あまりにも突発的な犯行に心も頭も追いつかず、何をすべきかわからない。

 ただ確かな事は、一張羅と言う訳でもないが立派な仕事着を着ていた十五階勤務の自分が壊れて行く事だけ。


「あだじわごのまぢを……」

「いい唇じゃない、本当あなたってそういう経験ないの?」

「あるわげが……!」

「ほらほらはしゃがないの」

 和伊崎の口をさらに口で塞ぎ、手は十五階のそれをただの女にすべく動く。ネクタイはとっくに外され、ごみ溜めの中に放り込まれている。カバンも同様の状態であり、中の現金その他にはまるで見向きもされていない。



 そして。



「やべ…!だべ……!」

「見た目より結構あるじゃない。この町じゃ無駄以外の何でもないし結構困ってるんでしょ?私が有効活用してあげるから」


 Bカップのそれが露わにされる。

 確かにその通り、第一・第二問わず女性だけの町では胸の大きい存在は歓迎されない。みんなちがってみんないいの第一の女性だけの町ではともかく、第二の女性だけの町ではいじめの対象になっている。それらの存在を消そうと言う動きもあるほどであり、誠々党から議員立法の動きまで上がっていた。赤ん坊のための母乳を出すための薬は既に開発されており、胸の大小に乳房の大小はない。無論粉ミルクの開発も著しい。


 その無駄な脂肪扱いされている物体を、上に乗る彼女は右手で動かしまくる。

 女として何よりも大事なそれを、まるで玩具かのように動かす。

 そして左手は左手で、もう一方を動かす。まるで熟練したゲーマーがコントローラーを持つかのようだ。ボタンを押すのではなく二本のアナログ式コントローラーを動かし、向かってくる敵を避けながら撃つ。もしeスポーツの大会があれば、熟女ゲーマーとして話題になったかもしれないほどだった。


 その攻撃の前に、十五階の女はただの女にされて行く。ハンカチで猿ぐつわ同然にされているのに喘ぎ声が出だし、顔も夜を破るかのように赤くなる。体温も上がり、発汗量も増え出す。



 それ以上に、頭がボーっとする。


 何も考えられない。


 マイ・フレンズのポスターを破り捨てた時以上に、気持ちよくなって来る。



 耳に何かの音が入るが、何だかわからない。何か布を下げるような音だ。


 少しばかり涼しくなった気もする。


「なに、を……」

「もう必要なさそうね」


 いつの間にか解放されていた口から、何も出てくる言葉はない。


 何をと言う単語には、もはや大した意味などない。ただの音だった。


 その音が鳴る間に、和伊崎の女性としてのアイデンティティを構成する場所は解放されていた。

 その代わりのように足の指が手の指と同じようにされ、足を覆っていたそれはネクタイのようにされる。


 あまりにも、あまりにも酷い。


 追いはぎならばまだどれだけ良質だったか、この町に生まれた人間ならばよく知っている。この町に来たばかりの和伊崎でさえも、理屈として今自分がやられている事がどれほどまで非道なそれかよくわかっていた。

 だが、身体が言う事を聞かない。元々普通の女性よりも細身であった彼女は自分の倍近い体格の相手にのしかかられて抵抗する術などなく、逃げ出す事など元から不可能だった。

「あ、あ、そ……」

 できるとしたら救いを求めるために叫ぶ事ぐらいだが、出て来るのは耳を澄ませていないと聞こえないような音ばかり。

 安全だと信じ込んでいる車たちのクラクションにかき消されるようなそれに構う事なく、敵は女性としての最後の砦の門をこじ開けようとする。

 そこを守る兵士はあまりにも弱弱しく、しかも大将に気力もない。

「あ」

 引きずり下ろされるはずだったその兵士たちは、粉砕させられた。命も何も残らないほどに引き裂かれ、真っ二つにされて最後の砦を露わにしてしまった。


 破壊者本人の全く罪悪感のない一文字。

 付け加えるとすれば「ま、いっか」の四文字。


 その一+一+三文字と共に、和伊崎の女性としての価値は暴落を始める。












 第一の女性だけの町にて、幾度も起こって来た問題。







 第二次大戦における、最大の問題。







 その問題から目を背けた人間たちが受け入れられず、テロリスト集団に成り下がってしまった問題。







 この町で二十年以上起きなかった事が奇跡であった事件が、今日起きてしまったのだ。




 深く教育や措置を施しているはずの第一の女性だけの町でさえも年間数件は発生し、「いんらん」「しきよく」「へんたい」と言った名前を付けられては死刑執行されているのに。




 それらのないこの町で起こらなかったと言う幸運の連続は、ついに終わりを告げたのだ。

この後は外伝を経て9月5日からいよいよ第四部、事実上の最終章です。

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