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第058話 奴隷商


 ギルドを出た俺達は宿屋に戻ると、暇そうなニコラのもとに行く。


「あれー、早いですね。まだ昼すぎですよ」

「早く終わったんでな。昼食はここで食べようと思ったんだ」

「そう言ってもらえるとありがたいですが、昼食は別料金ですよ?」


 朝晩セットだし、まあ、そうだろう。


「こそっとルシルにツケとけ。後で一括請求したらバレない」

「わかりましたー。じゃあ、そうします。料理は部屋に持っていけばいいですか?」

「頼む」


 俺達は昼食を頼むと、2階の部屋に上がり、体を休めた。

 しばらくすると、ニコラが昼食を持ってきてくれたのでテーブルにつき、遅めの昼食を食べ始める。


「やっぱり美味しいですよねー」

「まあね」

「だなー」


 腹が減っているからより美味く感じる。


「午後からは奴隷商のところに行くんですよね?」


 マリアが魚を食べながら確認してくる。


「そうだな。まあ、お前らが行くようなところでないし、俺1人で行ってくる」

「そうしてちょうだい」

「お願いします」


 貴族令嬢が行くようなところではないし、単純に不快だろう。


「えーっと、キツネ耳のガキか犬族のガキだったな?」

「そうね」

「ジュリーさんとララさんです」


 どっちみち、ガキなんだよなー。

 俺、奴隷商にそっちの趣味の人って思われるんだろうなー。


「いくらすんのかねー? お前らはどうする? また市場か?」

「エスコートしてくれる人がいないし、部屋で休んでいるわ」

「私もそうします」


 まあ、リーシャは午前中大変だっただろうし、休んだ方が良いわな。


「了解…………じゃあ、昼食も食べ終えたし、行ってくるわ」


 俺は食事を終えたのでさっさと行こうと思い、立ち上がる。


「いってらっしゃい」

「殿下、人参が残ってますよ!」


 うるさい。


「お前にやる」


 嫌いなんだよ。


「マリア、私の分もあげるわ」


 リーシャも人参が嫌い。


「好き嫌いは良くないですよー」

「じゃあ、その端に避けてあるトマトを食べなさいよ」

「リーシャ様にあげますー」


 マリアはトマトが嫌い。


 俺は今度から人参を入れるのやめてもらおうと思いながら部屋を出て、階段を降りていった。

 そして、宿屋を出ると、左の方に歩いていく。

 すると、通りの突き当たりにかなり大きな建物が見えてきた。


 俺はそのまま建物の前に行くと、建物を見上げる。


 ここかな……?


「ウチに何か用ですか?」


 俺が建物を見上げていると、俺よりも身長の高い屈強なスキンヘッドのハゲが声をかけてきた。


「ここが奴隷を売っている店か?」

「そうですが、お客様で?」

「多分な。相場がわからんから買えるかどうかは微妙だが、見てみたい」

「いくらお持ちで?」


 どれくらいを言おうか?

 少なすぎると、冷やかしと見られるし、多すぎると、ぼったくられるかもしれん。


「金貨50枚くらいかな……あとは相談」

「なるほど…………とりあえず、中へどうぞ。支配人をお呼びします」


 どうやら客と見てくれたらしい。


 屈強なハゲが建物の中に入ったので俺も中に入った。

 建物の中は受付があるが、誰もいない。

 受付の左右には通路があり、奥へ行けるような構造となっていた。


「思ったより、きれいだな」


 奴隷の扱いからして、もっと汚いかと思っていたが、建物の中は清潔にしてあり、よどんだ空気もない。


「ウチは領主様もご利用になられますからね」


 領主って貴族だろ。

 奴隷なんかよく買うな……


「そうか」

「少々お待ちを。すぐに支配人をお呼びします」


 屈強なハゲはそう言って、通路の右奥に歩いていった。

 そのまましばらく待っていると、屈強なハゲがひげを生やした男を連れて戻ってくる。


「これは、これは、ようこそ、当店へ。私が当店の支配人を務めておりますブルーノです。初めてのお客様ですかな?」


 ブルーノは商人らしいまったく信用できない笑みを浮かべながら俺を見る。


「旅の冒険者だ。金もそこそこ入ったし、奴隷の1人くらいはいてもいいのかもなと思ってな」

「さようですか……しかし、お客様。この町では4日後に奴隷市が開催されるのをご存じないのですか? 奴隷を買うならそっちの方がよろしいかと思います。目玉の奴隷も出ますし、セールもやっています」


 セール……

 安くなるのかね?


「もちろん知っている。だが、俺も日程的にそこまで滞在するかが微妙なんだ」

「さようですか……せっかくなら奴隷市に参加なさった方が良いとは思いますが、旅の方ならば致し方ありません。しかし、当店も奴隷市開催前ですのでとっておきの商品はお売りできませんがよろしいですか?」


 まあ、ここで売るより、盛り上がる奴隷市で売るわな。


「構わん。元よりそこまでの予算はない」

「かしこまりました。では、どのような奴隷をお求めで? 冒険者ならば冒険の手助けをする戦士。身の回りの世話や夜の世話までこなせる性奴隷。本来ならここに魔術師や特殊な技能を持った奴隷もお勧めするのですが、先ほど言った通り、そういう奴隷は奴隷市で出品するものでして申し訳ございませんが、切らしております。今は戦士か性奴隷ですね」


 俺は戦士がいいなー。


「女だ」

「かしこまりました。何か希望がございますか? 器量がいいとか、こういう子が好みだとか」


 どれを見てもリーシャ以下だし、どうでもいい。


「獣人族はいるか?」

「もちろんいます。獣人族ならば値段を抑えられますよ」


 やっぱり安いんだな。


「どれくらいいる?」

「当店では男が12名、女が41名ですね」

「多いな」

「いえ、本当はもっといる予定だったんですが、輸入船が時間になっても来ないのです。何かあったのかもしれません」


 あー、あいつらが乗っていた船か。

 沈んだらしいぞ。


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