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廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~  作者: 出雲大吉
第6章

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第236話 新たな仕事


 日が暮れると、訓練が終わり、兵士達が次々と訓練場から出ていった。

 すると、隊長がこちらにやってくる。


「マリア殿、ご苦労であった。感謝する」

「いえ、当然のことです」

「うむ。素晴らしい修道女が来てくれて助かる。神に感謝だ。シルヴィア、少しいいか?」


 隊長はマリアに礼を言うと、シルヴィを見た。


「何でしょう? あ、マリア、もう遅いですし、あなたは先に帰っていいですよ」


 シルヴィが先に帰るように言う。


『この空間魔法はお前が離れていても大丈夫か?』

『問題ありませんが、魔力消費が大きくなります。ですので、寄り道はせずに帰ってください』


 さすがに何の制約もないわけではないか。


「わかりました。お疲れさまでした」


 マリアはそう答えると、話を始めたシルヴィと隊長を置いて、訓練場を出ていった。

 そして、寄り道せずにまっすぐ寮に戻ると、部屋に入る。


 マリアが部屋に戻ると、俺とリーシャは影から出た。


「あー、疲れた」

「暇すぎて疲れるって中々ないわね。マリアは大丈夫?」


 リーシャがテーブルにつきながら聞く。


「ええ。私は大丈夫です。あ、お茶を淹れます」

「いえ、あなたは仕事をしてたし、私が淹れるわ」

「じゃあ、お願いします」


 マリアが頼むと、リーシャがお茶の準備を始める。


「たまには俺が淹れてやろうか?」


 やったことないけど。


「ダメです」

「男は黙って私達が淹れたお茶を飲んでなさい」


 マリアとリーシャが即、拒否してくる。

 やっぱり絶対に変なものが入ってそう……

 愛情だと信じたい。


「じゃあ、任せるわ。マリア、魔力は大丈夫か?」

「このくらいなら問題ありません」


 うーん、ヒール地獄でも大丈夫そうだな……


 俺達がリーシャの淹れてくれたお茶を飲みながら待っていると、シルヴィが戻ってきた。


「おかえり。何だったんだ?」


 俺は戻ってきたシルヴィに聞く。


「明日の仕事の話です。明日はスラムに行くことになりました」


 はい?


「マリアがか?」

「そうです。もちろん、私も同行します」

「何の仕事だ?」


 危険な仕事はダメだ。

 マリアの安全が第一である。


「炊き出しというか、スラムの人達に物資を配るんですが、これは兵士がやっています。その仕事についてきてほしいそうです。マリア様の回復魔法の腕が優れていたので念のためにだそうです」


 その念のためにでマリアを連れていきたくないわ。


「断れんか?」

「無理にとは言われていません。ですが、行った方が良いかと…………パスカルの心証も良くなりますし、大司教レノーの耳にも入るかと……」


 それはわかるが……


「危険は?」

「兵士達に守らせるそうです。それに私がついております。問題はないかと」


 うーん……


「マリア、どうする? 断ってもいいぞ」

「私は大丈夫ですよ。さっさと帰りたいですし」


 まあ、俺もウォルターに帰りたい。


「わかった。シルヴィ、その仕事を受けるように言え」

「かしこまりました。では、明日はそのように」


 シルヴィは頭を下げると、部屋を出ていく。

 俺達はシルヴィが戻ってくるまで部屋で待機し、お茶を飲みながらまったりと過ごした。


 しばらくして、シルヴィが戻ってくると、昨日と同じようにマリアと共に食堂に向かう。

 2人が食堂から帰ってくると、俺とリーシャの分の携帯食料を買ってきてくれたので皆で食べた。

 食事を終えると、風呂に入り、この日も早めに就寝する。


 翌日、俺達は早めに起きると、準備をし、マリアの影に入った。

 そして、シルヴィとマリアは寮を出ると、大聖堂の正門に向かう。


 大聖堂の正門には昨日の隊長と共に多くの兵士が鎧を着て待っていた。

 兵士達のところには馬車も数台あり、おそらく、スラムの人達に渡す物資だろう。


「シルヴィア、マリア殿、おはよう」


 シルヴィとマリアに気付いた隊長が2人に挨拶をする。


「おはようございます」

「今日はよろしくお願いします」


 シルヴィとマリアが挨拶を返した。


「うむ、こちらこそよろしく頼む。マリア殿、無理を言って申し訳ない」

「いえ、これも務めですので」

「マリア殿は高潔で素晴らしいですな。ご結婚されると聞きましたが、婚約者の方は幸せ者でしょうね」


 うん。


「ありがとうございます。そうなるように努めたいと思います」


 良い子だわ。


「うむ。主も見守って下さるだろう…………さて、準備はよろしいかな? 準備ができているのならば出発する」

「大丈夫です」

「そうか。では、2人は馬車に乗ってくれ」


 隊長が勧めたため、シルヴィとマリアが馬車に乗り込む。

 すると、一行はすぐに出発した。


 出発した一行はゆっくりと町中を進んでいっている。


『シルヴィ、スラムってどこだ?』


 俺は馬車の後ろでマリアと並んで腰かけているシルヴィを見上げながら聞く。


『西の区画ですねー。この町は中央に川が流れているんですが、その川下になります。すぐに着きますよ』

『すぐ? そんなに近いのか?』

『はい。とはいえ、柵で分けられているんですよ。だからこっちの富裕層の区画には来れません』


 隔離してるし……

 当然と言えば、当然なんだが、宗教的にいいのかね?


『不満がすごそうだな』

『微妙ですねー。不満がないわけではないんでしょうが、だからといって、富裕層が本当に裕福かというとそうでもありませんしね。最後の拠り所に来て、これですからほぼ無気力人間が多いですよ』


 もはや教国の存在意義がわからない……

 各国の教会だけでいいじゃん。


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
影に入ってる時はずっと立ってるんですかね? それともしゃがんでるとか座ってるとか?
隔離かぁ、昔に柵など物理的な隔離はしてなかったけど貧民が表通りに出るだけで処罰対象にしてた国はあったな。
感想一覧
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