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廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~  作者: 出雲大吉
第6章

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第232話 暑いわー


 俺がリーシャに目を塞がれてからかなりの時間が経った。


「まだかー?」

「まだね。今はちょうど着替えているところ……今、ローブを脱いだわ」


 実況はいらないなー……


「リーシャ、俺が目を閉じればいいだろ。どけ」

「だめー。信用できない」


 夫を信用しろよ。


「なあ? これ、マリアが着替える度に毎回やるのか?」

「そうなるわね……」

「そうか……」


 まあ、仕方がないか……


『マリア様、早くお着替えください。下では変な空気が漂っています』


 シルビィが念話でマリアを急かす。


『またですかー? 御二人ってなんだかんだですぐにイチャつき始めますよねー』

『してない。いいから早く着替えろ。俺はずっと真っ暗なんだぞ』

『もういいですよー。終わってます』


 え?

 早く言えよ…


「おい、リーシャ、どけ」

「そうね……」


 リーシャが目隠しを取ったため、マリアを見上げると、エーデルタルトで再会した時に見た修道服を着ていた。


「やっと着替え終わったか……」

「そうね……」


 リーシャがさっきから冷たい声でそうねしか言ってない。


「後ろを向いてもいいか?」

「だめー」

「そうか……」

『旦那様に引っ付いていたあたおか女の顔が真っ赤ですよー。あ、これも私と旦那様だけです』


 言うなっての。


『いいから案内や仕事の説明をしろ』

『かしこまりー』


 シルヴィが誰のマネかもわからない奇妙な言葉で同意をすると、マリアと共に更衣室を出る。

 そして、大聖堂の中を案内しながら仕事の説明をしていった。


 修道女の主な仕事は掃除や食事の用意などの雑務やケガをした者の治癒など多岐にわたるらしい。

 他には修行として、お祈り、回復魔法の練習などもあるらしい。


 シルヴィは大聖堂を回りながらマリアに教えていくと、大聖堂の正門に戻る。

 そして、今度は大聖堂の周辺を回り、施設を教えていった。


 大聖堂の周辺は食べ物屋や本屋、他にも雑貨屋などもあり、そこそこ充実している。

 だが、シルヴィ曰く、そういう店が充実しているのはこの辺だけらしい。


「一応、以上が案内と仕事の説明になります。質問はありますか?」


 周辺を回り、大聖堂の正門に戻ってくると、シルヴィがマリアに聞く。


「私は明日から具体的に何をすればいいですか?」

「基本は私についてきてください。パスカル様の計らいでマリアが掃除や料理の雑務をすることはありません」

「それは良かったです。掃除はできますが、料理はからきしなもので……」


 貴族は料理なんかしないからな。

 肉を捌いて焼ける俺の方が上手いくらいだろう。


「まあ、たいした料理ではないんですどね。では、寮に案内しましょう。明日は朝早いので今日は早めに休んでください」


 シルヴィはそう言うと、大聖堂から離れ、歩き出した。


「朝早いからちゃんと起きろよ」


 俺はいまだに俺の後ろにいるリーシャに忠告する。


「起きるわよ」

『本当に起きてくださいね。一度起きてもらったらそこで寝ててもいいので……』


 シルヴィからも忠告が来た。


「わかってるわよ。起きればいいんでしょ」


 何故、起きている時はこんなに強気なのかわからん。


「マリア、ここが修道女専用の寮になります」


 シルヴィがそう言って立ち止まる。

 どうやら女子寮は大聖堂のすぐ近くのようだ。


「ここですか……」


 マリアが寮を見上げた。

 寮は3階建ての建物であり、大聖堂と同じで白を基調としたシンプルな外観をしている。


「夜になると、兵が番をしているので安心してください。言うまでもないですが、男子禁制です。寮内にも女性の兵士が見回りをするので気を付けてください」

「大丈夫です」


 俺がいるけどな。


「では、入りましょう。中には他の修道女もいますが、仲良くしてくださいね」


 シルヴィがそう言うと、中に入っていったのでマリアも続いた。

 そして、玄関の正面にある階段を昇っていく。


「マリアは私と同室になります。3階ですね」

「わかりました」


 シルヴィとマリアが階段を昇り終えると、そのまま右の方に歩いていく。

 そして、一番奥の部屋の前で止まった。


「こちらになります。では、どうぞ」


 シルヴィは鍵を取り出すと、マリアに渡す。

 マリアは受け取った鍵で扉を開けると、部屋に入っていった。


 部屋の中は豪華さはまったくないが、清潔であり、ベッドやテーブル、鏡台などの最低限のものは揃っているように見える。


「一応、お風呂、トイレなどもあります…………旦那様、リーシャ様、防音の魔法を使いましたので出てきてもらって大丈夫です」


 シルヴィがそう言ってきたので俺とリーシャはマリアの影から出る。


「あー、暑かった。涼しくしなさいよ」


 影から出たリーシャがシルヴィに文句を言う。


「暑いのは旦那様に抱きついてたからでしょうに…………年中発情女はこれだから」


 シルヴィがボソッとつぶやいた。


「シルヴィ、ベッドが2つしかないぞ」

「旦那様は旦那様でマイペースだし…………3人で仲良く1つのベッドで寝てください。大きいから大丈夫でしょ」


 まあ、さすがに人数分のベッドは用意できないか……


「殿下、お茶を入れますねー」

「あ、マリア。あなたは座ってなさい。私が淹れるわ」


 リーシャがマリアを止める。


「そうですかー? じゃあ、お願いします」


 リーシャがお茶の準備をし始めたので俺とマリアはテーブルについた。


『旦那様、あたおか女は私の分に毒を入れる気ですかね? あの女がお茶を淹れるのを初めて見るんですけど……』


 シルヴィが警戒して、念話で聞いてくる。


『ご機嫌だからだろ。気にするな』

『ガチで発情してただけか…………魔力の消費が激しいんですけど、明日からはもう少し空間を広くします』


 そうしてくれ。


お読み頂き、ありがとうございます。

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