表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~  作者: 出雲大吉
第5章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

209/286

第209話 回復


 城に戻った翌日。

 朝からラウラを待っていると、昼過ぎにはラウラが訪ねてきた。


「できたよ」


 ラウラは俺達の部屋に来ると、そう言って小瓶をテーブルに置く。


「おー! さすがはラウラ殿だ! 褒美は期待していいぞ!」


 ヒラリーが嬉しそうに小瓶を掲げる。


「どうも…………それを患者に飲ませればいい。それで呪いは消える。あとはお医者様と相談しながら体力を戻せばいいよ」

「感謝する! では、私は早速、陛下のもとに行ってくる!」


 ヒラリーは薬を持って、速足で部屋から出ていった。


「忙しない人だね」


 ラウラは呆れたように閉じた扉を見つめる。


「そういう奴だ。ラウラ、まあ、座れ」


 俺がそう言うと、ラウラは大人しく座った。


「ところで、ラウラ、今日はババアじゃないんだな」


 ラウラはいつもの婆さんの姿ではなく、若くて美人なエルフ姿だ。


「あんたが言ったんだろ……」


 まあね。


「ラウラ、俺からも礼を言おう。薬のことを教えてもらったうえに調合までしてもらって助かった。感謝する」

「たいした手間じゃないからいいよ。それにエイミルではそれ以上に世話になったからね」


 じゃあ、俺からの褒美はいらんな。


「ラウラ、頼みがある」

「まだあるのかい?」


 ラウラが呆れたような目で見てくる。


「数ヶ月でいいからここに滞在してくれ」

「いや、数ヶ月って……長いよ」

「呪いをかけた奴がいる」

「…………まあね」


 呪いを治してもまたかけられる可能性がある。

 犯人が捕まっていないのだから……


「逆に数ヶ月でどうにかできるのかい?」

「しなければマズいだろ」

「うーん…………でも、数ヶ月もエイミルを空けられないよ。エイミル王に何て言うのさ?」

「お前の代わりにジャックがエイミルに向かったから大丈夫」


 ちゃんとジャックはわかっている。

 俺が指示をしなくてもその前に行動する大変に有能な奴なのだ。


「それでジャックを見ないのか……」

「頼むわ。お前がいるといないとでは対応が大きく変わる」


 俺の魔力感知で伯父上に呪いをかけようとしている者を捕らえることができるかもしれない。

 だが、もし、それを突破され、再度、呪いをかけられた時に対処できる者がいないのだ。


「…………わかったよ。さっさと犯人を捕まえておくれ」


 ラウラは渋々、了承してくれた。


「褒美はちゃんと出るから安心してくれ」

「はいはい……」

「手紙は読んだか?」

「読んだよ。あんたら、エルフに対しても偉そうだったんだってね」


 カサンドラは何を書いているんだ。


「偉そうじゃなくて偉いんだ」

「そうかい。じゃあ、私は帰るよ。何かあったら呼んでおくれ。当分はこの町で仕事をしているから」


 ラウラは立ち上がると、部屋を出ていった。




 ◆◇◆




 伯父上が薬を飲んで数日が経った。

 俺はあれから毎日、伯父上のもとに見舞いに行っている。

 伯父上は日に日に体力が戻っているようで体つきや顔もふっくらし始め、表情も明るくなっていた。

 間違いなく、ラウラの薬が効き、健康に向かっていっていると思われる。


 そして、さらに数日が経ったある日、俺達は伯父上に呼ばれたので伯父上の寝室に向かう。

 寝室に入ると、元気そうな伯父上がベッドで上半身を起こしていた。

 さらに伯母上、ヒラリー、マイルズに加え、医者のじいさんと若いメイドが2人控えていた。


「伯父上、お呼びですか?」

「ああ、ロイド。薬が効いたようですっかり良くなったぞ」


 伯父上の顔は健康そのものであり、死相も出ていない。

 医療には素人の俺でも問題ないとわかるくらいだ。


「それはよかったです。いいダイエットになったでしょう」

「お前、リネットと同じことを言うな……」


 痩せ細っている時もだが、太っている方も不健康だもん。


「ご自愛ください。我が国では妻を泣かす男は男子にあらずという言葉があります」


 なお、この言葉を作ったのはひいひいひい婆さん。


「わかっておるわ。それにしても余が呪いを受けていたとはなー……」


 伯父上が健康になり始めたあたりでヒラリーが報告したのだ。


「王ともなれば、敵も多いでしょう」

「うーむ、しかし、犯人はいったい誰だろうか?」

「ヒラリー、調べは?」


 俺はヒラリーに確認する。


「調査中だ。少し時間がかかるかもしれん」


 まあ、遅効性の呪いだからなー。

 いつ呪いを受けたかもわからない。


「伯父上、無理を言って、ラウラを滞在させております。ですが、敵はすぐにあぶりだすべきです」

「わかっておる。怪しいのは他国か…………順当に行けば、ミレーだが……」


 まあ、仲が悪いしね。


「決めつけは良くないですが、その方向で調べるべきかと」

「そうだな……ヒラリー、任せる」

「はっ!」


 ヒラリーが軽く頭を下げる。


「時にロイド。式はどうする?」


 伯父上が聞いてくる。


「巫女が戻ってきたらすぐにでも。私は何年かかっても気持ちは変わりませんが、リーシャとマリアは不安でしょう」

「うむ。そうか……では、そのように進めよう。エーデルタルトには伝えない方が良いな?」

「ええ。今はエーデルタルトと接触したくありません」

「わかった。お前達は盛大な式を挙げたいかもしれんが、身内だけになる。それはいいな?」


 エーデルタルトは栄光の国なだけあって、結婚式は派手にやる。

 だが、俺達がここにいるということを隠している現状ではそれは望めない。


「それで構いません。私が欲しいのはそういう煌びやかなものではないですから」

「ふむ……わかった。リネット、お前に任せる」


 伯父上が伯母上を見る。


「かしこまりました。リーシャ、マリア、私の部屋に来なさい…………一応、ロイドにも聞きますが、あなたは式の希望はありますか?」

「ない」

「あなたは偉そうなことを言う前にもっと大事なことを学びなさい」


 だって、本当にないし…………


「マイルズ、お前もないよな?」


 俺は旗色が悪いと思い、マイルズに同意を求めた。


「そりゃね。式なんてどうでも…………いや、巻き込まないでくれる?」


 一人は嫌なんだ。


本日は投稿日ではないですが、コミック発売を記念した特別更新となります。(宣伝)


本作とは関係ないですが、別作品である『地獄の沙汰も黄金次第』のコミック第1巻が本日より発売されています。(地域によってはすでに発売されていますが)

会社や学校帰りにでも本屋に寄って、手に取っていただければ幸いです。(通販及び電子は↓にリンク)


本作品も含め、今後ともよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

【予約受付中】
~漫画~
廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 2 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

【新刊】
~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

【販売中】
~書籍~
廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~(1)
廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~(2)

~漫画~
廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 1 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【現在連載中の作品】
その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【漫画連載中】
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
がうがうモンスター+
ニコニコ漫画

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~
カドコミ
ニコニコ漫画

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
[良い点] シルヴィアはなんか知ってそうですが、さすが信用できませんね。
[良い点] 結婚式なんてどうでもいいしネックレスだってどうでもいいし結婚記念日だってどうでもいいし誕生日だってどうでもいいのだ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ