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廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~  作者: 出雲大吉
第5章

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第207話 ギルドに報告


 集落を出て、森の中の道を歩いていると、ふいにリーシャが上を見上げる。

 俺とマリアも釣られるように見上げると、ヴィリーが木の枝に立っていた。


「とんでもない女だな。今度は完全に気配を消したというのに……」


 ヴィリーが悔しそうな顔をする。


「奴隷狩りとリーシャの戦いを見ていないのか?」

「見ていた。外には恐ろしい剣の使い手がいるものだ……」


 いや、このレベルはそうはいない。

 いてたまるか。


「何か用か?」

「ああ。後始末が終わってな。ジャック殿は馬車があるところで待つそうだ」


 なんだ伝言か……


「わかった。俺達は帰るからな」

「ラウラによろしく言っておいてくれ」

「んー? 仲でも良かったのか?」


 まさか元恋人か?


「親子だ」


 …………こいつが親父かい。


「ちょっとびっくりしたわ」

「私も……」

「そんなそぶりを見せていませんでしたしねー」


 リーシャとマリアもわからなかったらしい。


「ということは、お前、カサンドラの旦那か?」

「そうなるな」


 わかんねー。


「夫婦感がゼロだったぞ」

「100年以上も一緒だとそうなる」


 そういうもんかねー。

 俺達は100年も一緒にいられないだろうし、わからん。


「ふーん、まあいい。ラウラに何を伝えればいいんだ?」

「元気でやれ。それだけでいい」

「わかった。伝えておこう。じゃあな」

「ああ。ワインをありがとうな」


 あ、はちみつ酒と果実酒をもらうのを忘れた……

 今から取りに戻るのはかっこ悪いしなー。

 仕方がない……諦めよう。


 俺達はヴィリーと別れると、再び、森を歩き出した。




 ◆◇◆




 しばらく歩き、森を出ると、馬車に向かう。

 そして、馬車までやってくると、ジャックが荷台に座って俺達を待っていた。


「待たせたな」


 俺はジャックに声をかける。


「たいして待ってねーよ。乗りな」


 俺達はジャックに言われた通りに馬車に乗り込む。

 すると、すぐに馬車が動き出した。


「ジャック、死体は?」


 俺は馬車の前の方に行くと、顔を出し、ジャックに聞く。


「あいつが持っていた魔法のカバンに入れた。領主に報告せねばならんからな。スミスに着いたら俺は領主のもとに行く。お前さん達はギルドで報告を頼むわ」

「わかった。早くしろよ」


 伯父上のことがあるから早く帰りたい。

 引き止めなんかごめんだ。


「安心しろ。向こうも早く帰ってほしいって思ってるからすぐに帰してくれる」


 そういやそうだったわ。


「わかった」


 俺は顔を引っ込めると、リーシャとマリアのもとに戻り、3人で見飽きた風景を見ながら到着を待つ。

 そのまましばらく待っていると、スミスの町に到着した。

 俺達は馬車を降り、ジャックと別れると、ギルドに向かう。


 ギルドはこの前と同様にハゲしかいなかった。


「よう。また一人か?」

「ハァ……今日はダメだ。全然、客が来ねー」


 ハゲがため息をつきながら愚痴を言う。

 昨日もいなかったし、冒険者が少ない町なのかもしれない。


「仕事が終わったぞ。ほれ、薬草」


 俺はジャックから受け取っていた薬草を受付に置く。


「あいよ。8つか……金貨4枚な」


 ハゲが金貨を受付に置いた。


「微妙だな……」

「銅貨1枚が銀貨5枚になっているんだぞ。贅沢言うな」


 そう言われると、確かにすごいんだが、魔物を狩っている方が儲かるんだよなー。

 めんどくさいし、やはり採取の仕事は向いてないわ。


「まあいい。それと奴隷狩りを処分したぞ」

「何? それを早く言え」


 ハゲが前のめりになる。


「ジャックがこの町の領主に話しにいっているから焦るなよ」

「何人だった?」

「6人だ。うち1人はレナルド・アーネットとかいう奴だってさ」

「レナルドか……あいつがこの町に来てやがったのか……報告は来てないし、密入国だな」


 そうだろうなー。

 危ない奴っぽいし。


「死んだから安心しろ」

「ジャックが仕留めたのか?」

「いや、俺の魔法で5人を燃やし、レナルドはリーシャが首を刎ねた」

「そっちの女が? 嘘を言うな。レナルドは強く、実力だけならAかBランクはある」


 ありそうだったな……


「あの程度で? 冒険者の質が知れるわね」


 リーシャがかっこつけているが、ちょっと苦戦してなかったか?


「マジか……?」


 ハゲが俺を見てくる。


「どうでもいいな。別にジャックとでも思ってろ。俺達には関係ないことだ。いいから金を寄こせ」


 奴隷狩りを捕まえたら金をくれるって言っていた。


「まあ、約束したからな」


 ハゲはそう言って、金貨6枚を受付に置く。


「おい。さすがに安すぎるだろ」


 一人当たり金貨一枚じゃん。


「いや、ジャックが領主のところに行っているんだろ? そっちで大金をもらえる。こっちは謝礼程度だ」


 まあ、ギルドはあまり関係ないだろうからな……


「仕方がない。じゃあ、もらっておくわ。あと、俺達は歓迎されていないようだから国に帰る」

「そうしてくれ。ウチの領主は小心者なんだ。エーデルタルトの貴族なんて怖くて仕方がないだろうよ」


 ホント、情けない……

 よくそんなんで貴族をやれるもんだ。


「じゃあ、領主に伝えろ、次に関所で俺達を止めたら殺すからな」

「マジで言ってそうで怖いわ……大丈夫だよ。出る時は絶対に止められない。むしろ、止まったら馬車を押してくれると思うぜ」


 優しいねー。


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