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廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~  作者: 出雲大吉
第5章

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第191話 エルフの森へ


 ジャックがこの町の領主から情報を仕入れてきてくれた。


「他には?」

「領主のところに行った後に酒場を中心に町を回ってきた」

「どうだった?」

「いるな。ごろつきのくせに羽振りの良さそうな奴を見かけた」


 そいつだろうな。

 まあ、奴隷狩りが1人なわけがない。


「今のうちに捕まえてしまうか?」

「いや、仲間の有無なんかを調べる必要があるから時間がかかる。ウォルター王のことを考えるとさっさと動いた方が良い。俺達はエルフを救いに来たんじゃない。お前の伯父を救いに来たんだ」


 よくわかってらっしゃる。


「そうだな。明日には町を出て、エルフの森に向かうが、それでいいな?」

「ああ。早いうちにこの町を出て、エルフと接触した方が良い。正直、お前らのことが噂になると、ロクなことが起きん」

「リーシャとマリアか?」


 絶世の美人と可愛いマリアだし。


「ありえないとは言い切れんだろ。ここはエーデルタルトから遠いからな」


 エーデルタルトの女子を奴隷にはできない。

 何故なら、自害するからだ。

 だが、俺達がエーデルタルトの貴族だと知っているかはわからんし、奴隷狩りがエーデルタルトの風習を知っているかもわからない。

 ただ見た目だけでリーシャやマリアを攫おうとする可能性もある。

 もちろん、阻止するが、余計な仕事を増やすこともない。


「わかった。今日はさっさと休んで明日の早いうちにエルフの森に行こう。場所はわかるな?」

「もちろんだ。じゃあ、明日な…………起きろよ?」


 ジャックが呆れたような目でリーシャを見る。


「起きるわよ。当然でしょ」


 寝る前は強気にこう言えるんだよなー……


 その後、ジャックが自分が借りた部屋に戻っていくと、俺達は順番に風呂に入り、就寝した。

 そして、翌日……


「…………ねむーい」


 いつも通り、リーシャが布団を被って起きようとしない。


「マリア、そっちを持て」

「はい」


 俺とマリアは掛け布団を引っ張り、リーシャを無理やり起こすと、着替えを始めた。

 そして、食堂に行き、朝食を食べると、チェックアウトし、宿屋を出る。

 宿屋の前では馬車の荷台に乗ったジャックが待っていた。


「お前、早いな……いつ起きたんだ?」


 食堂でも見なかった。


「暗いうちに起きて、町の様子を見てたんだよ」

「何かあったか?」

「いや、兵士が宿屋の前でも見張りをしていただけだ。まあいい。乗りな」


 さすがに領主も気にするか……

 この状況で俺達に何かが起きて、国際問題なんて起きたら確実に首が飛ぶし。


 俺達は馬車に乗り込み、出発した。

 まだ明るくなってすぐなので町にはチラホラとしか人がいない。

 そのまま進んでいくと、門を抜け、街道に出る。


「街道を行くのか?」


 というか、来た道じゃん。


「このまま進んで、少し行ったところで道を外れる。そんなに遠くはない」


 ふーん……じゃあ、待つか。

 誰とは言わんが、一人寝てるし。


 俺とマリアは馬車の後ろに2人で腰かけ、景色を眺めながら到着を待つことにした。


「後ろからは誰も来てないですねー」

「すぐに出たからな。俺達の噂が広まってないんだろ」


 ギルドと宿屋に行っただけでロクに買い物もしてないし。


「逆に俺がいるっていうのは噂になってるからそれが足止めになると良いんだがなー」


 ジャックが前の方から言ってくる。


「効果あるか?」

「どうかねー? Aランクって言っても兵士じゃなくて冒険者だからなー。関わり合いがないって思われたら意味ねーな」


 微妙だな。


「マリア、絶対に俺から離れるなよ」

「はい!」


 マリアは腰を少し浮かし、俺にくっつくように座り直した。


「………………」

「………………」


 俺とマリアはそのまま黙って風景を見続ける。

 マリアは頭を俺の肩に寄せ、俺はそんなマリアの肩を抱いていた。


「……後ろを見てみます?」


 マリアがボソッと聞いてきた。

 言いたいことはわかっている。

 何かの視線を感じるからだ。


「いや、いい」

「でも、後が怖いですよ?」


 うーん、めんどくさい奴だなー……


「じゃあ、いっせーので見てみよう」

「はい……いっせー、のーで!」


 マリアの掛け声に合わせて後ろを振り向くと、リーシャが横になったまま、俺達をガン見していた。


「こえーよ」


 さっきまで寝てたくせに……


「リーシャ様、すみませんが、夢に出てきそうなんでやめてください」


 俺の夢にも出てきそう。


「あなた達って本当に仲が良いわよね? 私じゃなかったら嫉妬してると思うわ」


 …………ギャグか?


「普通に外を眺めているだけだろ。お前が寝るのが悪い」

「あなた達って、なんかよくわからないところで意気投合というか、通じ合ってるわよねー」


 お前とは意思疎通が取れてないぞ。

 会話が微妙にかみ合ってないぞ。


「いや、それは私がいつも感じていることですよー。リーシャ様と殿下は子供の頃からの付き合いなわけですし、時々、私が入る余地がない気がして、寂しいです……」


 マリアが落ち込む…………フリをしている気がする。

 だって、こいつ、俺とリーシャが婆さんに素直になる魔法をかけられた時に大笑いしてたし。


「そうかしら?」


 チョロ女が頬をちょっと赤く染める。

 すると、マリアはリーシャが見えないように俺の太ももを軽く叩いた。


「リーシャ、こっち来い。一緒に風景を見よう。ただの草原だが、気持ちがいいぞ」

「まあ、そうね」


 リーシャは立ち上がると、俺の横に来て、座る。

 そして、俺達は外の風景を見た。


 そこは平原と青い空が広がっており、時折吹く風が気持ち良かった。


「飽きたな……」

「ずっとこれよね……」

「本当に変わり映えがしませんよね……」


 つまらん。


「お前らって、ホント、めんどくせーな」


 だって、エイミルからずっとこれだもん。


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― 新着の感想 ―
ロイドたちはめんどくさいけど、バカ貴族みたいにアホな無理難題言わないから、かなりマシだと思われていそう。
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