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第112話 お宝?


 叔母上が鉄製の扉を焼き切ったため、俺達は扉の先に進む。

 扉の先はいくつかの棚が置いてあるが、朽ちかけている。

 そして、その棚には色々な物が置いてあった。


「ここが終点ですかね?」

「そうじゃないか? 多分、これらがスカルが盗んだ物だろう」


 といっても、数が少ない気がする。

 俺的にはお宝の山を想像していたのに棚には空白が多く、所々にしか物がない。


「微妙……」

「とりあえず、宝剣を探すぞ」


 叔母上はそう言うが……


「探すも何も剣って、それしかないじゃないですか」


 俺は目の前の棚に置いてある無駄に装飾が施された剣を指差す。


「まあな……」


 叔母上は剣が置いてある棚まで歩き、剣を手に取った。


「それが宝剣で合ってますか?」

「多分……?」


 なんだその反応?


「わからないんですか?」

「いや、これだろう! きっとこれだ!」


 わからないんだな……


「じゃあ、それでいいですね。仕事は終わり?」

「そうだな。あとはお前にやる」


 そう言われてもねー……


 俺はリーシャとマリアと手分けして、棚に置いてある物を見ていく。


「これ、なんだ?」


 俺は額縁っぽいものを手に取る。


「それは絵画だろう。正確に言うと、絵画であっただろう物だな」


 朽ち果てているし、額縁の中の紙はボロボロで何が描いてあるかもわからない。


「保存状況が最悪だな……」


 絵画をこんな所に保存するんじゃねーよ。


 俺はその後も探していくが、錆びた装飾品ばかりだった。

 中には割れてしまっているツボまであった。


「リーシャ、そっちはどうだー?」


 俺は別の棚を見ているリーシャに確認する。


「木箱に入った宝石があったわ。売れると思う。他はダメね」


 まあ、宝石なら高く売れるから良いだろう。


「マリアー、お前の方はー?」


 今度はマリアの方を確認してみる。


「こっちもほぼダメです。でも、鍵がかかった木箱を見つけましたよー」


 木箱?

 よし、中身が期待できるな。


「どれどれー」


 俺はマリアの方に行く。

 すると、リーシャと叔母上もやってきた。


「これです」


 マリアが俺に木箱を渡してくる。


「ふーむ……」


 木箱はそんなに大きくなく、軽い。

 重さ的に中身は宝石や金貨は入ってないっぽいな。


「開けられる?」


 リーシャが聞いてくる。


「当然だが、鍵はないよな?」


 俺は棚を確認してみるが、それらしいものはない。

 まあ、これが盗品なら鍵は盗まれたところにある可能性が高いだろうな。


「私のフレイムソードで切ってやろうか?」


 叔母上がアホな提案をしてきた。


「中身ごと燃え切れちゃいますよ。それにこれ、魔法がかかってますね」

「魔法?」

「封印の魔法です。多分、ちょっとやそっとでは開きませんし、壊れませんよ」

「ふーん…………まあ、そんなもんでもなければ、スカルが壊してでも中身を確認してるわな」


 だと思う。

 多分、開けれなかったからここに放置しているんだろう。


「じゃあ、開けられないんですか?」


 マリアが聞いてくる。


「普通はな。でも、俺は普通の魔術師ではないので余裕…………ディスペル!」


 俺は魔法を解除する魔法を使う。

 すると、カチッという音と共に木箱が少し開いた。


「ディスペルって上級魔法だぞ。お前、そんなものまで使えるんだな…………」


 叔母上が感心する。


「頑張りましたからね」


 いっぱい勉強したし、努力をした。


「授業をサボって魔法の研究をしてましたよね」

「公務もサボってた」


 うるさいなー。


「…………ロイド、魔法は楽しいものだが、あまり傾倒するなよ。他の仕事や勉学を疎かにしてはいけないし、他の人間もちゃんと見て、共に生活するんだぞ」


 叔母上が本気のトーンで忠告してきた。


「わかってますよ」


 俺は叔母上にそう返しながら木箱を開ける。

 木箱の中にはたくさんの手紙が入っていた。


「手紙?」


 宝物じゃないじゃん……


「そんな厳重な箱に入っているものだから重要な手紙かもしれんな。それこそアホ貴族とラスコの密約かもしれん」


 叔母上は真面目な顔でそう予想しているが、俺はそうは思わない。


「叔母上、クリフォードっていう人物をご存じですか?」


 俺は手紙を流し読みしながら叔母上に聞く。


「この国の王だな」

「ふーん…………じゃあ、イザベルは?」

「王の妻。つまり王妃だな」

「でしょうねー……」


 俺はさらっと読んだ手紙を叔母上に渡す。

 すると、叔母上も手紙を読みだした。


 俺は叔母上が手紙を読んでいる間に他の手紙も確認していく。


「うーむ、お宝のような気もするな……」


 叔母上も手紙を読み終えたようだ。


「何だったんです?」


 マリアが聞いてくる。


「この国の王が若い時に今の王妃に宛てた手紙だな。めっちゃ口説いているぞ。他の手紙もそう」


 国の半分をあげるから一緒になってほしいとか書いてあった。

 ダメだろ…………


「これ、王妃の物だろうか?」


 叔母上が呆れ顔で聞いてきた。


「だと思いますよ。どうします?」

「うーん、まあ、私が王に送っておくよ。多分、褒賞金という名の口止め料が手に入ると思う」


 俺が王の立場でも褒賞金という名の口止め料を出すな……

 俺だって、現在作成中のリーシャやマリアに宛てる手紙なんか絶対に他人に読まれたくないし。

 ましてや、この手紙に書いてある内容はちょっとマズい。


「まあ、お宝というか、儲けにはなったかな……?」


 俺はリーシャを見る。


「冒険記には書けないけどね」


 だよなー……


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[一言] そりゃ王様がそんなもの保管したいわけないから、 現在の所有者である王妃でしょう 他人に見られたくないのは王様の方だろうけど、 自分の出した恥ずかしい手紙なんか、 封印して大事に取っておくより…
[気になる点] 宝箱に封印してまで保管したのば王妃様か王様かどちらだろ? 一体こんな物海賊がどこから盗んだんだろ?
[一言] パンピー目線だと過去のとある王子が婚約者にあてた手紙とか言って濁してロマンのある宝だったみたいに脚色すれば冒険記のいいネタじゃないかなあ。中身まで書かなくてもいいもんね。 殿下目線だと生々し…
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