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第103話 冒険者の仕事をしよう


 船を襲ってきたサハギンはリーシャにあっという間に倒されたため、桟橋に下りていた船員達は安全に船を桟橋につけることができた。

 船が固定されると、他の船員達は荷物を持って船から降りていき、桟橋の先の砂浜付近にブランドンの指示でベースキャンプを設営する。


 俺とマリアと叔母上は船から降りると、戻ってきたリーシャと合流した。


「サハギンはどうだった?」


 聞くまでないことだが、一応、聞いてみる。


「弱いわね。相手にならない。これならオークやタイガーキャットの方が強いわ」


 全部、一撃だから差があるのかがわからない。


「サハギンの脅威は海だからな。小船に乗った漁師を襲ったりするが、陸上ではそんなもんだ。冒険者風に言えば、Dランク程度になる」


 魚を獲るのも大変なんだな……


「俺ら、Eランクですよ」

「ん? あー、冒険者になったわけか……まだEなのか?」

「ほら、町を移動したらリセットでしょ? テール王国のリリスやアムールでもそこそこやりましたけど、多分、リセットされてますんでまだEランクです」


 特にアムールではかなりの数のタイガーキャットを狩ったことになってるからランクが上がってもいいと思うのだが、マリア誘拐事件のせいでそれどころじゃなかった。


「ふーん……お前らなら軽くCかBランクになれそうだがなー」


 はたして、そんな高ランク冒険者になる日が来るのだろうか?

 もし、なれたとしても微妙だ。

 だって、そんな高ランクになるということは冒険者を長くやるということだから目的地であるウォルターに全然着いてないということになる。


「叔母上は冒険者に詳しいんです?」

「まあ、領主代理だからな。冒険者ギルドに依頼を出すこともあるし、自然と詳しくなった」


 なるほど。

 そういえば、リリスでもアムールでも領主がモンスターの討伐依頼を出すって言ってたな。


「ロイド、魔石はどうする?」


 リーシャが桟橋で倒れているサハギンを見ながら聞いてくる。


「叔母上、サハギンの魔石っていくらで売れます?」

「そんなもんは知らん。ただ、海のモンスターの魔石は内陸部だと高く売れるぞ。持って帰って、ウチの領地の店じゃなくて、エイミルの内陸で売るといい」

「へー、なるほどー……俺、魔石なんか買ったことないからわからないですわ」

「私もわからん。魔石に質を求めたことすらない」


 おおざっぱな魔術師だなー。


「まあいいや。じゃあ、魔石を取ってきます」


 俺はリーシャが倒したサハギンのもとに行くと、サハギンの腹を掻っ捌き、魔石を取り出す。


「叔母上、サハギン自体はどうします? 食べる?」

「食べんわ! 気持ち悪いだけだろ!」


 半分は魚なんだから食えると思うんだけどなー……

 多分、漂流していた時だったら食べてた。


「じゃあ、要らないの?」

「本当は爪とか皮が売れるんだが、専門の業者が必要だな。そんなもんは連れてきてないから捨てろ」

「わかりました」


 俺は魔石を取り出したサハギンを桟橋から海に落とす。

 そして、他のサハギンも魔石を取り出し、次々と海に放り投げた。

 リーシャが倒したすべてのサハギンから魔石を取り出すと、ベースキャンプの設営風景を眺める。

 すると、森近くで兵士がサハギンと戦っているのが見えた。


「多くない?」


 リーシャが少し嬉しそうな表情で聞いてくる。


「確かに多いな……」


 リーシャだけで5匹は倒している。

 森近くで兵士と戦っているサハギンも5、6匹はいる。


 俺達が兵士とサハギンの戦っているところを眺めていると、ブランドンが走って、こちらにやってきた。


「船長、どうやらサハギンが異常に多いようです」


 ブランドンが叔母上に報告する。


「そうだな…………以前もこんなにいたか?」

「いえ、前も多いなとは思いましたけど、ここまでは多くなかったです。今年は漁獲量も多かったですし、エサである魚が増えたことでサハギンも増えたのでは?」

「ありえるな…………面倒だが、兵を二手に分けろ。キャンプ設営組とサハギンの討伐組だ。周辺のサハギンを一掃しろ」

「わかりました。私は討伐組に加わりますのでここはお任せします」


 ブランドンは敬礼をすると、設営中のキャンプに戻っていく。


「叔母上、手伝いましょうか?」

「ん? 随分とやる気だな…………リーシャが」


 叔母上は不思議そうに俺を見ていたが、すぐに嬉しそうな顔をしているリーシャを見て、何かを察した。


「暇ですし、ここ最近は身体を動かしてないですからね。ちょっと魔石を取ってきますよ」


 暇なのは確かだし、人やモンスターを斬るのが大好きな蛮族がうずいているので仕方がない。

 サハギンもそんなに強くなさそうだし、問題はないだろう。


「うーん、そうか? だったら依頼にしてやろう」

「依頼?」

「ああ。今回の調査とサハギン狩りを冒険者への依頼ということにしてやる。多分、それでDランクくらいにはなるだろ」

「俺ら、叔母上の領地のギルドに行ってないから移籍の手続きをしていませんよ。それにギルドを通してないですけど、いいんですか?」


 いいのかな?


「事後報告になるな。緊急依頼ということにしてもらおう」

「ダメなような気がしますけど……」

「大丈夫。ギルドも私に逆らわん」


 暴君だなー……


「まあ、俺らはそれでいいですけどね。依頼料はいくらくれるんです?」

「金を取る気か?」

「そりゃ依頼ですし」


 もらうもんはもらっておかないといけない。

 この先の旅をより良くするために金は必要だし、この先に何があるかわからない。


「じゃあ、金貨100枚な」


 多いような、少ないような……

 俺らだけでやるわけではないし、島の調査と考えれば高いと思う。

 ただ、目的が宝剣なら安い気もする。


「うーん……」

「宝剣以外のお宝はくれてやるんだからそれで我慢しろ」


 それもそうか……


「じゃあ、それでお願いします」

「ん、わかった。私は設営の指揮をやるからその辺で適当にサハギンを倒してくれ」

「わかりました」


 さて、久しぶりに身体を動かすかね。


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