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川上英星は穴だらけ!  作者: タテワキ
《第10章》 そして今度は神界へ!?

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黒い気配

厳星げんせいの料理のお味はいかがですか?

「最高で~す!」(英星えいせい談)

「やっぱりお父様のスペルのお料理はおいしいです」

「ふぉっふぉっ! そうかそうか」


 今日の朝に死神界で食べた玉子焼きなんか比べ物にならない。


「オレこんな柔らかいお肉食べたことないです!」

「本当に! 王児おうじは万年お母さんのカレーしか食べてなかったから特においしく感じるんじゃないかしら」

「オレのお母さんの料理はカレーだけじゃないです!」


 いさかいが起こっているけどそれはいいとして。

 さあ紫電しでんのリアクションは?

 僕は赤い髪のハムスターを見る。

 ――え? ハムスター?


「む~!!」


 紫電は頬を膨らませ、久しぶりにハムスターになっていた。

 その凄まじい頬の膨らみ方に思わずみんなの視線が集まる。


「紫電お兄さんどうしたんですか?」

「ここ日本で言えば国会でしょ? そんな場所で堂々とご飯を食べるなんて~!」


 はあ……。紫電の石頭。

 そんな細かいこといいじゃないか。


「ボクは食べない!」


 紫電ハムスターはぷいと顔を逸らしてしまった。

 こんな失礼極まりない頑愚がんぐはどうでもいいや。

 そういえば1つ気になることが。


「あの、お父様。怒らないでお聞き下さいね。以前神界の扉が……、その、閉じられたんですけど、あれは一体なんだったんでしょうか」


 お父様は眉尻を下げて。


「ああ、あれはな。近くに死神族を感知したことによるやむを得ない判断だったのじゃ。許せ」


 そう言ってお父様は深々と頭を下げた。


「い、いやいやいやいや。お父様! 頭をお上げ下さい!」


 そうだよね。確かにあの時デューク・フィレゾーなるヤバい奴が近くにいたもんね。


 ……ああ、お父様にも再会できたし、お料理はおいしいし。

 やっぱり神界はいいなあ。


 どうしよう。このまま神界に残ったほうが僕は幸せなんじゃないか。

 うーん……。


厳星父様げんせいとうさま。私は少しお手洗いに行ってきます」

「おお、お前は雷星らいせいか。竜になったのじゃな。行っておいで」

英星えいせい行くぞ」

「え!? ちょっと待ってこれツレションって言うんじゃあ……!」


 お兄ちゃんのあご襟首えりくびくわえられ、僕はずるずると引きずられて行く。


「きゃー! 兄妹でツレションなんて!」

「好みのシチュエーションです!」


 あいつらー……! お兄ちゃんは僕にそんなことしないっての!

 ねえお兄ちゃん?



―――



 お兄ちゃんに連れられて来たのは大聖堂の隅っこにあるバルコニー。

 まだ明るいうちから星が見えるのが神界の特長だ。キレイだな。

 お兄ちゃんは背中にある十字のアザを向けて。


「お前『このまま神界に残りたいなー』とか思ってたろ」

「うぐ」


 そう話すお兄ちゃんの声のトーンが低く感じられた。

 とことんお見通しなんだね……。

 でも、でも……! 僕は神界にいたいんだもん!


「だって!」

「厳星父様は邪神だと言ったはずだ」


 まだそんなこと言ってるの?


「お兄ちゃん最近お父様をディスってばっかり! そんななんの根拠もないのに!」

「私が根拠のないことを言うと思うか」

「根拠のないことしか言わない」


 お兄ちゃんはふうと溜息ためいき


「確かに普段はいい加減かもしれんが。こう見えていざという時は誠直せいちょくなんだぞ」

「いざという時って? いざという時になんてなってないじゃん」


 日が暮れてきた。ビルのあかりがくっきりと見え始める。


「私の背中のアザ。いつできたものだと思う?」

「え? 生まれつきじゃないの?」


 お兄ちゃんは背中を向けたままうつむく。

 そして信じられないことを言う。


「12年前、お前をかばった時……、厳星父様がお前を殺そうとしてな」

「え……!!」


 意味が解らなかった。

 こ、殺す? お父様が……僕を?


「お、お兄ちゃん何言って……」

「今からでも遅くはない。私の話を信じてくれ」


 ――僕の答えは一つだ。


「信じない」


 お兄ちゃんが固まった。


「そんなウソばっか言って。さてはあのクソデカ死神キルンベルガーと共謀して僕をあざむこうとしてるのね! いつもいつも偉そうなことばっか言って!」


 お父様を侮辱されて頭にきた。大ダメージを与えてやる!


「ホントのお兄ちゃんでもないクセにっ!!」


 僕はお兄ちゃんに背を向けて駆け出した。


「おい! 英星! 英星ッ!!」


 もうお兄ちゃんの言うことなんて聞かないもん! あっかんべーだ!!



―――



「長かったね」


 食事の場に戻って、紫電が声を掛けてきた。

 ちょっとアホ兄を一喝しちゃってね!


「あれ? お父様どうされたんですか、その鳥」


 お父様の右肩に見慣れない黒い鳥がまっていた。


「おお、これはな、最近飼い始めたんじゃよ」

「はあ……、そうですか」


 王児がうつらうつらしている。

 おいしいものを食べすぎて眠くなったようだ。


「ほっほっ。王児くんとやら。眠いのか? 部屋を用意してあるから、君たち今日はここに泊まっていくといい」


 お父様のお優しいこと。

 ……それに比べてあの害鳥は!


「じゃあお言葉に甘えて。あたしも今日は疲れちゃった」


 いきがそう言って伸びをする。

 そしたら僕も早めに休ませてもらおうっと。

 ……害鳥はまだ帰って来ていないようだ。別に心配なんてしてないけどさ。


 僕らはナイフとフォークを置き、ごちそうさまをするとお父様がいらっしゃる主祭壇しゅさいだんを後にした。



英星と雷星の大ゲンカ!

というか一方的に英星がつっかかっただけなんだけど。

英星もあんな言い方しなくても。


……次回もお楽しみに!

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