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川上英星は穴だらけ!  作者: タテワキ
《第10章》 そして今度は神界へ!?

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神界

――神界に行きたいなら?


ダルボワも~じのい~し~だ~た~み~♪(何かのCM風)

 ダルボワ文字の石畳にワープで戻って来た僕らキルンベルガー討伐隊。紫電しでんって便利だな。

 ここで右手を挙げれば晴れて神界へと帰れるはず。


「わー。どこもかしこも真っ黒ですねえ!」


 当時のヌン・ヌヌヌンが焼き尽くした森を見て、王児おうじが声をあげる。

 あの時はヌン・ヌヌヌンも敵だったなあ。

 そいつが今では教育係なんて人生……いや、生は不思議だ。


英星えいせいが言ってた石畳ってこれのことかしら?」


 いきが石畳を指差す。そうだよそれそれ!


「この石畳の上で右手を挙げるの?」


 紫電が興味深げに石畳を覗き込む。


「『せーの』で右手を挙げてね! せーの!」

「そんなことしなくても英星に抱きついて行けばいいんじゃない?」


 突如として紫電が僕の身体に抱きついた。


「いや――――――っ!!」

「ぶへぇっ!?」


 ビンタを食らった紫電は黒い土煙つちけむりを上げて倒れた。


「ほうほう英星お姉さんに抱きつくんですね。それは名案です」


 王児が背後から僕の両胸を鷲摑わしづかみにする。


「いや――――――っ!!」

「げうっ!!」


 肘打ちをこめかみに食らった王児はその場に伸びた。

 もうっ! まともな仲間がいない。


「英星。もうすっかり女の子ね」

「あ、ああ粋。あんたはまともでよかった」


 粋は恍惚こうこつの表情を浮かべ。


「あたしさあ……、女の子同士とかそういうの大好きなの」

「へ?」


 粋は僕を押し倒した。


「ちょっ! 粋!?」

「もういいわ! 自分が抑えらんない! ここでヤる!」


 鼻息荒く言うと、『粋のクロロホルム』と書かれた瓶を取り出し、ハンカチにそれを染み込ませた。かなり慣れた手つき。


「ぎゃああああああああ!! こいつが一番ヤバい――――――っ!!」

「さあて。どこから味わおうかしら。こんなおいしそうなロリ女、412歳だろうが関係ないわ!」

「妹から離れやがれ――――――ッ!!」


 お兄ちゃんの声が聞こえ、邪悪な魔女が焼き尽くされた。

 粋ちゃん残念! 百合展開ゆりてんかいはおあずけ!


「お、お兄ちゃ~ん! 怖かったよお~っ!!」


 末黒すぐろの一部と化した魔女はもうどうでもいい。

 僕はお兄ちゃんに泣きついた。


「う、うええっ! うぇぇえええぇぇん!」


 お兄ちゃんはその小さな手を僕の頭の上にぽふっと置き、


「お前な、そろそろ自分の身は自分で守ろうな。いつまでも私がいる訳じゃないんだぞ」

「ゔ、ゔんっ!」


 仲間だったはずの転生神族と人間どもが転がる焼け野原で僕はただただ泣きじゃくるのだった。



 ――――気を取り直して。


「この石畳の上で右手を挙げるの?」

「もう知ってんでしょ。さっき言ったわそれ」


 紫電は物覚えが悪いなあ。

 後ろを振り向くと、王児が抱きつくべく手をにぎにぎさせて構えていた。

 粋は既にうっとりした眼で僕を見ている。


 ――これじゃさっきの繰り返しになるな。


「ねぇ。あんたらさ、まともに仲間出来ないわけ?」

「まともにやってるよ?」

「いや、紫電はいいとして」


 人間2人をちらりと流し見る。

 王児は今にも抱きつこうとしているし、粋はクロロホルムをハンカチに染み込ませようとしていた。


 もういい! 右手を挙げる!



 僕はみんなの不意を突いて高らかに右手を挙げた。



「じゃあ英星に抱きついて行こうっと!」


 紫電が僕に抱きつき、


「紫電お兄さん! 抜け駆けはズルいですよ! オレが抱きつくんです!!」

「あんたらズルい! あたしが抱きつくの!」

「私は普通に右手を挙げるぞ」


 僕らは青白い光に包まれ、身体がチーズのように伸びる。


「わー! ナニコレ! ボクの身体があああああ!」

「ナニコレはこっちのセリフ! お前ら僕に抱きつくな!」

「英星お姉さんのわき、いい匂いがします!」


「へ、変態! 王児の変態!!」



「英星のうなじ、おいしいわ!」




「な、舐めるな! 粋も変態――――――…………!」





 四方八方から抱きつかれながら。

 僕は現代風の高層ビルが立ち並ぶ道路の上に尻もちをついた。


 タコ足配線のように入り組んだハイウェイに、天を貫かんとそびえる塔の群れ。

 そしてあの青い超高層ビルの一団は――間違いなく神界だ!


 僕の周りには転生神族と2人の人間ども、そしてお兄ちゃん…………。


「やったよー! 戻って来た! みんな! ここが神界だよ!」

「えー? ここが神界ですかー?」


 王児が口を尖らせる。

 何がそんなに不満なんだろう?


「日本の都会の景色とほとんど変わりありません!」

「あたしもがっかり。もっとおとぎ話の世界みたいなのを期待してたのにー」


 そんな勝手を言われてもなあ。

 神界にケチつけんなよ。


 その時、頭の中に声が響いた。


――やっと帰って来たか。おかえり英星。父の厳星げんせいじゃよ。


 涙がこぼれた。


「お父様!! ああ……ぅうううう……!!」

「どしたの英星?」


 どうやらこの声は僕だけに聞こえているようだ。

 僕は厳星お父様が直々にお声を掛けて下さった事実に感激する。涙が止まらない。

 今まで色んなことがあったけど、やっと帰って来たよ! お父様!!



 この時ならまだ間に合ったんだ。

 引き返すことだって出来たはず。そうしていれば――――。





紫電たちも素直に右手を挙げりゃいいのに……!


解ります。皆さんそう思われたでしょう。

そうスムーズにいかないのが紫電たちなんですよ……。


次回もお楽しみに!

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