父との再会
英星たちはアクセル・キルンベルガーに会うべく、絢爛とした廊下を往く!
ネグリジェやパジャマから私服に着替え、僕らは絢爛とした廊下を通って謁見の間に向かっている。
ろうそくが人間の頭蓋骨に立って揺らめいているのは、ファンタジーRPGの敵の居城でしか見たことがないけど。
そんな僕らの目の前を歩くのはコノボス・ツエー。
「コノボス・ツエーってさ、普段はお城で働いてたんだ」
紫電がコノボス・ツエーをささやかにいじる。
「い、いいじゃないですか! 働いたら悪いんですか!?」
「わあー! こいつ敬語だよ! 英星聞いた? コノボス・ツエーの敬語!」
「聞いた聞いた! いい気味だわ」
へこへこと首を垂れるコノボス・ツエーが愉快でしょうがない。
ああ、快感。
生きててよかった。
「あんたよくもミカヅキモの目をしてからかったわね」
粋がコノボス・ツエーのあばらにぐりぐりと肘を押し当てながら言った。
王児に至ってはコノボス・ツエーの首にまたがっている。
こらこら。あんまりやるとパワハラになるぞ。
「あのさあ、鉄友山の時なんで襲ってきたんだよ? ボクたちの素性解ってたんでしょ?」
「いえいえ。俺はあの時は知りませんでした。というのも外部との情報を断ち、山に籠もって修行している最中でしたから。で、それを知らずに空中戦を仕掛けようとしたところ、デューク様にスクリューパイルドライバーを食らったわけです」
あの高度からスクリューパイルドライバーを食らってよく生きていたな。
「あの時はすみませんでした。心よりお詫び申し上げます」
「ぷッ! 敬語…………!」
お兄ちゃんまで噴き出す始末。
「すみませんねえ面白くて! 俺の敬語面白いでしょう!! そうでしょう!!」
そう言うコノボス・ツエーを僕らは一斉にミカヅキモの目をしてげらげら笑った。
「さあ、間もなく着きますよ? 心の準備はいいですか? 姫!」
「ぶふっ! 敬語!」
また噴き出してしまった僕。
「心の準備いいようですねえ!! さ、こちらです!」
案内された扉を通過すると、目の前に暗い空間が広がっていた。一面真っ暗。
「ここは……?」
粋が疑問を口にするや否や、四方の燭台に火が点り、足元に人の横顔が魔法陣となり浮き上がってきた。
ただしそれは骨の横顔――つまりは頭蓋骨。こいつらは頭蓋骨フェチか。
その魔法陣の中央が盛り上がってきた。
「コノボス・ツエー! こ、これは!?」
「すぐ解りますよ紫電様。さ、行きますよ!」
僕らはその魔法陣に飲み込まれ、空間からかき消えた。
―――
気が付くと僕らがいたのは大きな玉座の前。
しかしでかい。でかすぎる。小さな家一軒くらいはあるぞ。この玉座は巨人でも座るのか。
「わー。でかー。ねえねえみんな!」
玉座の前に陣取ると、目配せで紫電たちを集める。
「ちょっとちょっと! 何をしようと言うのですか?」
「コノボス・ツエー! はいパス!」
紫電がスマホをコノボス・ツエーに放り投げた。
それを受け取ったコノボス・ツエーは混乱気味。
「こ、これでどうしろと?」
「シャッター押してよ!」
「マジすか!?」
呆れながらシャッターアイコンを押すコノボス・ツエーのスマホカメラレンズに、僕らはピースサイン。真っ白なフラッシュが走り、でかい玉座をバックにした記念の一枚が撮れた。
これはSNS映えしそう!
「ありがとー! コノボス・ツエー、あんたも撮ったげよっか?」
「い、いいです!」
「姫の親切心を断るの?」
僕はぎろりと睨みつけた。
「う」
「はーい笑って笑って!」
半ばというか、10割ほど強引にピースさせた時。
ピースするコノボス・ツエーが暗くなった。直後、甲冑を着た巨人が天から降って来て、轟音とともに座る。
スマホカメラには玉座をバックに引き攣った笑顔のコノボス・ツエーと、玉座に座った瞬間の巨人のでかい下半身が写っていた。
これは新種の心霊写真か。
巨人はゆっくりと頬杖をつく。僕はその顔に見覚えがあった。
「……おい! オレッテシタッパ・キュウリョウアゲテーよ! 何をしている!」
「あ、えっとそれは私の最初の名前ですね」
重々しい話しぶりの巨人に対し、コノボス・ツエーはかなり腰砕けな様子。
「ん? ではヌン・ヌヌヌン! 何をしている!」
「そ、それは私の2番目の名前ですね」
「では今は何と申す!?」
巨人はその双眸でコノボス・ツエーを睨めつけた。
「い、今はコノボス・ツエーと名乗っております……!」
「そうか。相も変わらず変な名前だな」
僕らはくすくすと嗤う。
「英星聞いた? 最初こいつオレッテシタッパ・キュウリョウアゲテーって名乗ってたんだって!」
「ぷぷーっ! ホントに! しかもキュウリョウアゲテーって名前で主張してるあたり、こいつDQNネームを自分に付けてるの!?」
「Mなだけなんだろ」
「発想がアホそのものです。かわいそうに」
オレッテシタッパさんに一斉に浴びせられる言葉の刃。
「いいじゃないすか! 自分の名前くらい少し奇抜にしたって!」
少しどころではないんだが。
「そんなことより。レイチェルよ。また逢ったな。私の名はアクセル・キルンベルガー…………。お前の父だ」
遂にアクセル・キルンベルガーと再会!
英星の反応は!?
次回もお楽しみに!




