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川上英星は穴だらけ!  作者: タテワキ
《第9章》 いざ死神界へ!?

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父との再会

英星えいせいたちはアクセル・キルンベルガーに会うべく、絢爛けんらんとした廊下をく!

 ネグリジェやパジャマから私服に着替え、僕らは絢爛けんらんとした廊下を通って謁見の間に向かっている。

 ろうそくが人間の頭蓋骨に立って揺らめいているのは、ファンタジーRPGの敵の居城でしか見たことがないけど。

 そんな僕らの目の前を歩くのはコノボス・ツエー。


「コノボス・ツエーってさ、普段はお城で働いてたんだ」


 紫電しでんがコノボス・ツエーをささやかにいじる。


「い、いいじゃないですか! 働いたら悪いんですか!?」

「わあー! こいつ敬語だよ! 英星えいせい聞いた? コノボス・ツエーの敬語!」

「聞いた聞いた! いい気味だわ」


 へこへことこうべを垂れるコノボス・ツエーが愉快でしょうがない。

 ああ、快感。

 生きててよかった。


「あんたよくもミカヅキモの目をしてからかったわね」


 いきがコノボス・ツエーのあばらにぐりぐりと肘を押し当てながら言った。

 王児おうじに至ってはコノボス・ツエーの首にまたがっている。

 こらこら。あんまりやるとパワハラになるぞ。


「あのさあ、鉄友山てつゆうざんの時なんで襲ってきたんだよ? ボクたちの素性解ってたんでしょ?」

「いえいえ。俺はあの時は知りませんでした。というのも外部との情報を断ち、山にもって修行している最中でしたから。で、それを知らずに空中戦を仕掛けようとしたところ、デューク様にスクリューパイルドライバーを食らったわけです」


 あの高度からスクリューパイルドライバーを食らってよく生きていたな。


「あの時はすみませんでした。心よりお詫び申し上げます」

「ぷッ! 敬語…………!」


 お兄ちゃんまで噴き出す始末。


「すみませんねえ面白くて! 俺の敬語面白いでしょう!! そうでしょう!!」


 そう言うコノボス・ツエーを僕らは一斉にミカヅキモの目をしてげらげら笑った。


「さあ、間もなく着きますよ? 心の準備はいいですか? 姫!」

「ぶふっ! 敬語!」


 また噴き出してしまった僕。


「心の準備いいようですねえ!! さ、こちらです!」


 案内された扉を通過すると、目の前に暗い空間が広がっていた。一面真っ暗。


「ここは……?」


 粋が疑問を口にするや否や、四方の燭台しょくだいに火がともり、足元に人の横顔が魔法陣となり浮き上がってきた。

 ただしそれは骨の横顔――つまりは頭蓋骨。こいつらは頭蓋骨フェチか。


 その魔法陣の中央が盛り上がってきた。


「コノボス・ツエー! こ、これは!?」

「すぐ解りますよ紫電様。さ、行きますよ!」


 僕らはその魔法陣に飲み込まれ、空間からかき消えた。



―――



 気が付くと僕らがいたのは大きな玉座の前。

 しかしでかい。でかすぎる。小さな家一軒くらいはあるぞ。この玉座は巨人でも座るのか。


「わー。でかー。ねえねえみんな!」


 玉座の前に陣取ると、目配せで紫電たちを集める。


「ちょっとちょっと! 何をしようと言うのですか?」

「コノボス・ツエー! はいパス!」


 紫電がスマホをコノボス・ツエーに放り投げた。

 それを受け取ったコノボス・ツエーは混乱気味。


「こ、これでどうしろと?」

「シャッター押してよ!」

「マジすか!?」


 呆れながらシャッターアイコンを押すコノボス・ツエーのスマホカメラレンズに、僕らはピースサイン。真っ白なフラッシュが走り、でかい玉座をバックにした記念の一枚が撮れた。

 これはSNS映えしそう!


「ありがとー! コノボス・ツエー、あんたも撮ったげよっか?」

「い、いいです!」

「姫の親切心を断るの?」


 僕はぎろりと睨みつけた。


「う」


「はーい笑って笑って!」


 半ばというか、10割ほど強引にピースさせた時。

 ピースするコノボス・ツエーが暗くなった。直後、甲冑かっちゅうを着た巨人が天から降って来て、轟音とともに座る。

 スマホカメラには玉座をバックに引きった笑顔のコノボス・ツエーと、玉座に座った瞬間の巨人のでかい下半身が写っていた。

 これは新種の心霊写真か。

 巨人はゆっくりと頬杖ほおづえをつく。僕はその顔に見覚えがあった。


「……おい! オレッテシタッパ・キュウリョウアゲテーよ! 何をしている!」

「あ、えっとそれは私の最初の名前ですね」


 重々しい話しぶりの巨人に対し、コノボス・ツエーはかなり腰砕けな様子。


「ん? ではヌン・ヌヌヌン! 何をしている!」

「そ、それは私の2番目の名前ですね」

「では今は何と申す!?」


 巨人はその双眸そうぼうでコノボス・ツエーをめつけた。


「い、今はコノボス・ツエーと名乗っております……!」

「そうか。相も変わらず変な名前だな」


 僕らはくすくすとわらう。


「英星聞いた? 最初こいつオレッテシタッパ・キュウリョウアゲテーって名乗ってたんだって!」

「ぷぷーっ! ホントに! しかもキュウリョウアゲテーって名前で主張してるあたり、こいつDQNドキュンネームを自分に付けてるの!?」

「Mなだけなんだろ」

「発想がアホそのものです。かわいそうに」


 オレッテシタッパさんに一斉に浴びせられる言葉の刃。


「いいじゃないすか! 自分の名前くらい少し奇抜にしたって!」


 少しどころではないんだが。


「そんなことより。レイチェルよ。またったな。私の名はアクセル・キルンベルガー…………。お前の父だ」



遂にアクセル・キルンベルガーと再会!

英星の反応は!?


次回もお楽しみに!

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― 新着の感想 ―
[良い点] とても面白かったです。 特にコノボス・ツエーの名前の変遷や敬語を使ってる部分が最高に面白く、今や愛すべき存在となりました。 次回も楽しみです。
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