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川上英星は穴だらけ!  作者: タテワキ
《第9章》 いざ死神界へ!?

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お兄ちゃんの出店

紫電しでんと2人きりでのデートが出来ず、無念の英星えいせい

一方、他の仲間たちは楽しげにしているようで……?

英星えいせい。なんか久しぶりだな」


 僕が振り返ると、そこには店番をするお兄ちゃんの姿が。


「お兄ちゃん!? な、なんで今日も働いてんの!?」

「ああ、端的に言えばサボってたのがバレた。で、これはその罰」


 前掛け姿が似合ってはいるけど……。

 困惑する僕らの沈黙を破ったのはやはり。


「あははー! いつも偉そうなことばっか言うへなちょこ竜がこき使われてます! いい気味ですね!」


 やはりこの毒舌王児おうじみつくのか。

 お前も昨日こき使われていただろうに。


「今日この辺で出店やってんだ。よかったら見てってくれ」

「うーん、後でね」


 今は買い物より観光のほうを優先したい。


「あら、あなた昨日だったっけ? 死神界に来た英星くん! ほら、これ持ってお行き! 色々大変だろ?」


 太めのおばちゃんがクッキーを1缶くれた。


「え? あ、あぁどうも……」


 ぱかっと缶を開けると、香ばしいクッキーの香りが鼻腔びこうを刺激する。

 死神界のクッキーってこんなにおいしそうなの?

 思わずよだれが垂れかけた。


「これはみんなのおやつにするとして。なんか腹ごしらえしたいよねえ。朝から何も食べてない」

「何か食べてくれてればねえ。あたしの媚薬びやく餌食えじきにできたんだけど」


 こいつあっぶねえ。いよいよただのヤンデレ化してきたな。


「うちで食事していったらいいよ」


 そう声をかけてくれたのは海鮮料理屋の前に立っていた、この店の店主らしきダンディな男性。

 えー? いいんですかあ?

 店に入ると見たことのない魚が生簀いけすの中を泳いでいた。目が10個くらいあったぞ。

 ダンディはそのマルチアイの魚を豪快に網ですくうと、あっという間に三枚におろしてしまった。

 一言で言って早。

 マルチアイの刺身を頂く。


「うわっ! こりこりしてておいしいー! こんなおいしいお刺身初めて食べたよ!」


 紫電しでんが歓声をあげる。お刺身が大好きな紫電が言うんだからよっぽどなんだろう。

 僕は半信半疑で食べてみる。だって死神族の料理でしょ?

 ――うまい。悔しいほど旨いじゃないか。

 僕の歯冠しかんがそのぷりぷりの身に触れるたび。僕はこの魚を食べるために生まれてきたのではないかとすら思えてくる。


 ――――結局他にも色々頼み、小一時間も過ごしてしまった。


「あー、あたしお腹いっぱい!」

「食べ過ぎましたー!」

「おじちゃん、おいくら?」


 財布を持った紫電に、ダンディは。


「15000さいのところを、10000さいに負けといてやるよ」


 えーっと、すんません。初めて聞くお金の単位です。

 苦笑いで見つめ合う僕らに、さすがにダンディが気付く。


「お前らまさか持ち合わせが足りねえのか?」

「足りないっていうか、死神族のお金なんて1も持っていません」

「何! うーん困った。こっちもタダで食事を出すわけにゃ……」


 こ、これはあれか? 皿洗いのパターンか?

 あーっ! せっかくの観光が台無し…………!


「しょうがない。ここはわしが出しといてやろう」


 そう言って手を差し伸べてくれたのは近くに座っていた初老の男性。

 男性は10000さいの代金を全額払ってくれた。


「あ……、ありがとうございます! ありがとうございますっ!!」


 頭を下げる僕らに、男性はかぶり・・・を振る。


「困った時はお互い様さ」


 はううう、カッコいい! この人にれそう! もう結婚してそうだけど!

 それからもその日は、落とした財布を拾ってもらったり、転んで擦りむいた王児を手当てしてもらったり……あちらこちらで僕の死神族に対する固定観念をひっくり返される温かい出来事に遭遇した。

 なにより、雰囲気がおおらかだ。


 くっ……僕の死神族のイメージが…………!

 こいつらこんないい奴の集まりだったのか……神界では考えられん!

 紫電と粋と王児の3人も、これまでの固定観念を壊されたようで、どこか落ち込んだような感じになっていた。


「おーい。うちにも寄ってってくれよ」


 これはお兄ちゃんの声だな。

 いつの間にか元の場所に戻って来ていたらしい。


「もう雷星らいせい。しょうがないわね」


 いきがウサ耳をぴょんこぴょんこ揺らしてお兄ちゃんの出店のテントに入る。


「ここは何のお店なの?」

「ふふふふふ。よくぞいてくれました」


 お兄ちゃんは得意げに胸を張った。少しだけ突き出された前掛けが眩しい。


「ここは骨董屋こっとうやでございます」

「へー」

「落とし物なんかも流れてきます」


 粋が興味ありげにうなずく。


「どんな?」


 その時、長身白皙ちょうしんはくせきの青年が息を切らせて走ってきた。

 あれはコノボス・ツエー?

 何だろう。何かを探しているみたいだけど。

 ま、休日だし、あいつに関わるだけカロリーの無駄か。


「例えばこんな契約書」

「ふーん。広告の裏紙みたいに見えるけど」

「これは……『紫電がサインした死神の契約書』ってなってるな」


 そうそう! それさえ見つかれば、破るなりして僕らにかかったカースを解くことができるかも知れないよね!



それだよ英星! それを破り捨てるんだ!!


次回もお楽しみに!

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