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川上英星は穴だらけ!  作者: タテワキ
《第8章》 百面草をGETせよ!

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コノボス・ツエー!

鉄友山てつゆうざんでコノボス・ツエーと対峙する紫電しでん王児おうじ

コノボス・ツエーにはあの独特の笑い方をやめろと言いたい。

 コノボス・ツエーが放った炎がせまり、紫電しでんたちは身体が固まったまま焦る。

 紫電! 王児おうじ!!

 何もできないこの身体がもどかしい。


 ――――直撃こそしなかったが、紫電たちのわずか後方に落ちた黒い炎の塊は、2人を軽々と吹き飛ばした。


「げうっ…………!」


 2人ともリュックを背負っているため、時おり跳ねるようにごろごろと転がってゆく。


「ううう、認めたくないですけどコノボス・ツエーです…………!」

「あ、なんとか動けるようになってるよ!」


 紫電が立ちあがり、よろよろと剣を構える。


「くくくっくくくっくくくっくっ! 以前の俺はこのカース一撃でバテていたが、数発は撃てるようになったぞ。努力した甲斐かいがあったというものだ」


 この野郎。アホなくせに強い敵って一番ムカつくんだよなあ。


「さあ。また動きを止めてやろう」


 アリの一穴いっけつの魔法陣が展開され、紫電たちの動きがまた止まる。


「あっ! まただよ!」

「もうウザすぎますぅ!」


 なんとか援護できないか?

 僕はダルボワ文字でつづりを刻む。

 しかし刻んだはいいものの、スペルが発動しない!

 なんという鬼畜仕様きちくしよう


「さあ……次こそは当てるぞ…………!」


 コノボス・ツエーが再び人差し指を天に突き上げた。

 こんな奴にだけは負けてほしくない!

 でもダルボワ文字は意味がないぞ…………!


 ん……? ダルボワ文字意味がない…………?

 基本スペルならどうなるんだろうか。

 試しに炎系の基本スペルを撃ってみる。


 僕のてのひらから発せられた炎の塊は……コノボス・ツエーの尻を焼いた。


「あつつつつつつ! 何? 誰!?」

「今の炎……英星えいせい…………?」


 それだけではない。コントロールを失った直径10メートルの漆黒しっこくの火球が、コノボス・ツエーの頭上から落ちてくる。


「どわっぢいいいいぃぃぃっ!」


 なんとか前方へと移動して逃げ出したコノボス・ツエーだが、頭を焼かれて河童かっぱのような髪形になってしまった。

 さらに術の途中に術者がダメージを受けたことで、紫電たちの身体に自由が戻る。


「チャンスです!」


 王児が荒波あらなみつるぎに《カースド・ストーム》を放つ。

 呪われし風が剣に宿った。


「ナイス王児!」


 紫電が疾走し、呪われた風の塊を大きく振りかざす。


「コノボス・ツエーッ!!」

「ぐわああああああああ!」


 コノボス・ツエーは凄まじい風圧とともに、頭から真っ二つに斬り裂かれた。

 一瞬の出来事。2人ともすごい連携だったなあ。

 コノボス・ツエーの身体は紫色の煙に包まれ消えていった。

 嗚呼ああ、さらばだコノボス・ツエー。そしてヌン・ヌヌヌン。


――くくくっくくくっくくくっくっ!


「この声は!?」


 辺りに声が響く。この声はコノボス・ツエー!?


――今のは俺の幻影よ。本物の俺は今、隣の山ですき焼きを食っておるわ。


「な、なんだってー!」


 紫電が叫ぶ。王児は無表情でその声を聞いていた。


――さっきのは幻影ファントム・コノボス・ツエーよ。さあ、この俺を倒しに来い!


 紫電と王児は顔を見合わせる。


「望むところ――――」 「お断りします」


 あれ? 倒さないの?


「そんな暇ありません! オレたちには時間がないんです!」

「ちょっとちょっと王児! そんな言い方ないよ! 倒しに行ってあげようよ!」


 王児は紫電をにらみつけた。


「オレたちの目的は英星お兄さんの為に百面草ひゃくめんそうを採ること! とっとと採って帰りますよ!」


――そんな! ちょっと待って!


「待ちません!!」


――今ユーザーレビューを実施しておりまして。これに答えて! ずばり、俺は名前通り『コノボス・ツエー』と言えた…………!?


 それを聞いた紫電がにっこり笑う。


「評価:『がんばろう』」


――ご利用いただきありがとうございました。……ちっくしょおおおおおおおお!!


 事務的な挨拶を聞き終わると、紫電と王児は大急ぎで百面草を探し始める。

 しばらく森の中を走って、小さな泉にたどり着いた。


「ええっとこの辺りでしょうか?」

「もう少し奥を探してみよう!」

「あっ! ちょっと待って下さい。トイレに行ってきます」


 そういや王児ずっと我慢していたもんねえ。


「じゃあボクは引き続き探してるよ」


 紫電が王児にそう言って、探し続ける。

 僕はというと、王児のトイレについて行っていた。

 だって王児のアレの大きさが気になる!



―――



 トイレを済ませた王児が、帰ろうとデニムのチャックを上げた。

 僕は幸せな気持ちで王児の前やら後ろをふよふよ浮いていたんだけど。

 ――と、王児が立ち止まる。

 何かを見ているな。

 半透明で人から見えない僕は、平気で茂みから出ていった。


 ――――――え。ウソ。

 紫電が……紫電がデュークと喋ってるうううううう!?

 あの筋骨隆々とした黒光りする体! 体中の大きなとげ

 あ、あれデューク! デューク・フィレゾーだよね!?


「まだ信じてもらえんか。俺たちには敵意がない」

「でも…………!」

「ドラッグストアのトイレでも話したが、あのお方は必要なのだ。そこだけは信じてくれ」


 ドラッグストアのトイレから出て来なかったのってこいつと喋っていたの?

 なんで? どうして!?


「無理だよ……信じられないよ…………お前は」

「そうか」


 デュークは闇に包まれ消えていった。


「紫電お兄さん」


 王児が平静を装って出ていく。


「ああ、王児」

「誰と話していたんですかあ?」


 紫電は少し焦りながら。


「いやいや。独り言! なんでもないよ」

「ふうん」


 王児は少し笑った。そして。


「紫電お兄さんが死神族っぽい人と話していたような気がしたけどなあ~?」



【コノボス・ツエーのお悩み相談室】

くくくっくくくっくくくっくっ!

今日のお悩みは? 定村さだむら王児くんから! なになに?

《その変な笑い方やめて下さい。キモいです》


【回答】

やめませーん!! この笑い方は俺のアイデンティティーなの! 死んでもやめるかー!!

てゆーかこれお悩みじゃなくてただの要求だろう!


…………次回もお楽しみに!

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