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川上英星は穴だらけ!  作者: タテワキ
《第7章》 消えた紫電

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ゴーストデススライム

英星えいせいによる命がけの一撃!!

果たして紫電しでんは――――?

英星えいせい…………? 英星――――っ!!」

「…………紫電しでん!」


 紫電と僕は力強く抱き合う。

 そんな彼の胸から、バレーボールくらいの半透明な紫色の塊がにゅるりと出てきた。


「わあっ! なにこれ!?」


 紫電自身も驚いている。

 半透明な紫色の塊は僕のお腹でぽーんとバウンドすると、べちゃっと音を立てて地面に転がった。


「我ハゴーストデススライム……オ前ラニ殺サレタデススライムノ魂ノ集合体…………!」

「こいつが……とりいてたのね…………」

「あ! こいつ思い出した! ボクがホテルで素振りをしてたら、英星が帰ってきそうな時間になって。……で、英星をびっくりさせようとベッドの下に隠れてたらいきなり目の前に現れてさあ」


 やっぱり紫電は子供っぽかった。


「……それであんなところに……木刀が…………?」


 僕は紫電との会話をみしめるように味わう。


「あ、見つけてくれたんだ。……そう。そしてさあ、首に嚙みつかれちゃって。あとのことは覚えてないや」


 紫電は僕を優しく地面に寝かせると、ちょっと待ってて、と言って荒波あらなみつるぎを拾って来た。


「他の子供たちはどこにやったの!?」


 紫電がデススライムのお化けに剣を向けて言う。

 そのお化けは青味のある身体を更に青くした。


「ウ……オ前タチヲオビキ出スタメ死神界ヘト連レテ行ッタ。ソレ以上ハ知ラナイ!」

「そっか……じゃあボクたち死神界に行かなきゃね……他に何か知ってることは?」


 ゴーストデススライムは震えながら。


「ナイ! コレ以上ハ何モ知ラナイ! 信ジテクレ!」

「…………解ったよ。信じる」


 紫電は優しく微笑んだ。ああ……ホントに戻って来てくれたんだね…………!


「ソシテ願ワクバ我ヲ助ケテクレ――」

「えい」


 ――――と言って笑ったままゴーストデススライムに剣を突き立てた。


「グオオオオオオオオオオ!! 『えい』ジャネエエエエエエエエエエッ!!」


 そう言い遺し、ゴーストデススライムは光を発して消滅する。

 はあ……終わったか。


「そういえば。英星ちょっと具合悪いんじゃない? 顔色青いよ?」

「う……うん……少し…………」


 紫電は僕のおでこに自分のおでこをくっつけてきた。


「――――すごい熱! 大変だ!!」


 ああ…………。

 最期に……最期にこれだけは言わせて…………!

 僕は紫電の右手を握りしめる。


「紫電…………す…………き……………………」

「英星…………?」


 全身の力が抜けた。

 紫電の手を握っていた右手がだらしなくぶら下がる。


「英星どうしたんだよもう…………」


 紫電は僕の身体を揺するが、抜け殻となった僕の身体は人形のように力なく揺れるのみ。

 紫電が異変に気付く。

 お兄ちゃんと王児おうじも寄って来た。


「英星!? 英星っ!!」

「紫電どけッ!」

「うわあ……身体がどんどん冷たくなっていきます…………!」


 パニックに陥る仲間たちを、僕は離れた所からていた。

 いきは――そうか。まだ気絶している。


 ああ――――身体が半透明だ。

 僕…………死んで魂だけになっちゃったの……………………?

 でも、そのぶん全身が軽くて宙にも浮けるぞ。

 空を飛べるって気持ちいい!


 パニクりながら、紫電は僕の身体を背負って移動を始める。

 王児は粋を起こす。

 みんな……みんな青い顔をしていた。



―――



 ホテルの自室に戻った僕の身体と仲間たち。


「英星……死んじゃったんじゃないの? どうすんのよこれから!」

「粋お姉さん。紫電お兄さんを責めてもなんにもなりませんよ。無意味な叱責はしないで下さい」

雷星らいせい! 雷星! どうなの………………!? 英星…………死んじゃったの………………!?」


 紫電が涙ながらにお兄ちゃんに尋ねる。


「…………死んではいない」


 え……!? 僕死んでなかったの!?


「本当!?」


 紫電の表情に一筋の光明が差す。


「死んではいないが、もう死ぬ間際だな。魂が抜けちまってるように見える」


 そうなんだ。今の僕、やっぱり魂なんだ。

 じゃあなんで以前みたいに狭間はざまの世界に行かないんだろうか。

 すると頭の中に、低い男の声が響く。


『すみません。現在、狭間の世界は定員オーバーでして。あそこは死んで天国に行く人が行くんですけどね。このまま定員オーバーが続いた場合、お客様は地獄に行くことになります。悪しからず♪』


 えええええええ!? そんなあ!!

 僕は川上かわかみ英星! 主神・川上厳星げんせいの子!

 その僕が……地獄行き? そんな……何も悪いことしてないのに!!


『いやあ、ちょっと新人くんを一気に雇ったら業務が滞っちゃいましてねえ。やっぱり無理があったか。さばき切れない。ハハハ』


 頭の中に低い声が引き続き響いた。

 …………何が『ハハハ』やねん! こちとら死後の進路が決まるってのに!


『まあまだお客様死ぬと決まったわけではありませんし?』


 い、いや、そりゃそうだけど!


『このままだと100%地獄行きですねえ! 地獄に行ったらお土産みやげよろしくお願い致します。そうだなー、やっぱここは地獄団子じごくだんごがいいなあ!』


 勝手なことばっか言うなあっ!!

 ……あれ? なんだか身体の色がちょっとだけ薄くなったような…………?


『おお! 死がまた近くなりましたね。地獄団子っ! 地獄団子っ!』


 ひえええええ! 誰かああああああっ!!



「我ハゴースト・ゴーストデススライム。紫電ニ殺サレタゴーストデススライムノ魂ノ集合体…………!」


――という展開にはならないだろうなあ。


次回もお楽しみに!

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