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川上英星は穴だらけ!  作者: タテワキ
《第4章》 本の少年

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時間を巻き戻したい

ついに王児おうじ千鳥足ちどりあしだった理由が判明!!


…………誰だって消したい過去ぐらいある。

「なんでいっつもフラフラしてるの?」


 僕の素朴な疑問に王児おうじうつむく。


「……あのー、もしかして……あの机のインサイドワゴンに入ってたナイフじゃないの?」


 口を開いたのは紫電しでんだった。


「…………」

「――やっぱり」

「ナイフ? どういうこと紫電?」

「あのナイフを触った時、生気せいきが吸われる感じがしたんだ」


 生気が……? どういうことだろうか。


「恐らくはあのナイフに衰弱効果のあるカースがかかっているんだろう。それで王児はいつも生気を吸われてフラフラだったんだな」

「へえー。そんなカースがあるんだ」

「ちなみにこの基礎知識はだな……」

「や、やめてえぇぇぇえ! 僕これ以上はメンタルがもたないいぃぃいっ!」


 ニヤニヤしているお兄ちゃんが言葉を発する寸前に止め、僕はこれ以上のメンタルダメージを回避した。

 でも、そんなことよりも僕にはどうしても引っかかっていることがあるんだ。


「王児。どうして初めて会った時、あんな森の中にいたの? 話してくれる?」

「それは……その…………」

「王児。あとナイフをどうしてあんなに隠そうとしたのかも話してほしいな。ボクたちもう仲間でしょ? なんでも話してよ。ね?」


 紫電は王児にニッコリ微笑んだ。


「仲間…………? なんでも……話す…………?」


 こういう時の紫電の笑顔は破壊力抜群だ。


「…………解りました。……数日前、通りすがりの人にこう言われてあのナイフが入った箱を渡されたんです。『この中にお前の友を生き返らせることの出来る秘術が入っている。家に帰ったら開けろ』って。……そして家に帰って箱を開けたら、ナイフと一緒に入っていたメモ紙みたいなものに『1日に必ず数時間はこのナイフを握っていること。そしてこの紙に記されている場所でこのナイフを使い地面に傷をつけること。ただし、他言したらお前の友は生き返らない』って書いてあって…………」

「友は生き返らないって……王児のお友達は亡くなったの?」


 いきの問いに王児はすうっと空気を吸ってから、震える声で答える。


「はい……1年ほど前……オレが…………殺してしまったんです………………」

「えっ……!!」


 場の空気が一気に張り詰めた。


「あの……英星えいせいお兄さんたちに出会った沢の辺りで……オレが……オレが…………!」

「王児…………」

「コウくんを…………! 2人で森でっ……遊んでてっ……迷ってっ……いつの間にかコウくんともはぐれてっ…………! オレだけ発見されてっ! 次の日コウくんがっ! コウくんが沢の滝つぼで沈んでっ……沈んでっ………………!!」


 気が付くと、僕らはみんなで王児を抱きしめていた。

 みんなでわんわんと泣く。

 そんな中、お兄ちゃんは1人で考えごとをしていた。



―――



「うっ…………ううっ…………! オレがっ……森で遊ぼうってっ……言わなければっ…………!」

「王児。ツラいことをよく話してくれたね。ごめんね……ごめん…………」


 王児にこんな過去があったなんて。

 なおも僕らは王児を抱きしめる。


「……王児。私たちと出会った時、森の中で何をしていた?」

「お兄ちゃんッ!!」

かねばならないんだ!!」


 ――――しばらくの時間を経て。

 声の調子が少し落ち着いてから、王児は語り出す。


「森では……言われたとおりにあのナイフを……持ってっ……そして指示通りの場所の地面に傷をつけて来ました…………」

「その前は?」

「その前は……北のショッピングモールで傷をつけて来ました…………」

「紫電。ちょっとスマホの地図アプリ使わせてもらう。……その前は?」


 次々と訊いていく。


「これから傷をつける場所ってあるか?」

「近所のドラッグストアの駐車場です…………」


 そして「そういうことか」と言って頭を抱えた。

 お兄ちゃんは地図のスクリーンショットを撮ってから、アルバムアプリでペンの書き込み機能を使い、王児が地面に傷をつけた場所を線で結んだ。

 これは……!

 僕らは目を疑った。驚きのあまり身体中から血の気が引いていく。


「これってもしかして!」


 僕は目の前の十字を見て思わず息を呑んだ。


「そうだ英星。お前でも解ったか」

「こ、これは……交差点の標識じゃない!?」


 ……あれ? みんなから呆れたような冷ややかさ満点の視線を感じるぞ?

 僕は真剣かつ大真面目に答えたんだけど。


「ええっと……雷星らいせい、これって十字架の盾のシンボルマークじゃあ? 十字架だけだけど」

「紫電は大正解。英星は大はずれ」


 はずれたか……! 惜しかった。


「誰かさんのどアホ・・・解答はほっといてだな。王児、お前は十字を描くように移動させられたことになる。胸騒ぎがするのは私だけだろうか」

「でも雷星……これが死神族の仕業として、今度は何が狙いかしら」


 粋の言葉にお兄ちゃんは怪訝けげんな顔をする。


「キルンベルガー派のシンボルマークってのがな……どうにも不吉だ。今度王児が傷をつけるのはこの十字の線が交わっている辺り。……近所のドラッグストアの駐車場らしい…………」


 僕はただ1人会話について行けず、気まずい思いをしていた。

 なんだよみんな。僕も会話に混ぜてくれよ!

 その時…………誰かが階段を上がって来る音がした。



階段を上がってきたのは?


次回もお楽しみに!

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