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川上英星は穴だらけ!  作者: タテワキ
《第4章》 本の少年

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テレフォンショッキング!

いかにも現実主義な雰囲気を持つ王児おうじだが……!?

 僕といき王児おうじに魔法をすすめる。

 ――そしてこのまま仲間にしてくれるわ!


「魔法が使えるとすごーく便利だと思うけどなあー」

「そう! そうよね英星えいせい! あたしもすごく便利だと思う!」

「あ! やっぱり粋もそう思うよね!? そんなあなたにお薦めなのがこの魔法なんで――」

「ちょっとちょっと待って下さい」

「え? 何か? 今いいとこなんだけど」

「テレビショッピングだったらテレビの中でやって下さい」


 それだけ言って、王児はまた本を読み始めた。

 ぐぬぬっ。手強い。


「……王児王児!」

「なんですか? オレは読書に集中したいんです」


 僕は王児の手を握りダルボワ文字の体験レッスンを試みる。


「こういうふうに手を動かしてみて? ほら、指でさあ」

「放してください。不愉快です」

「まあまあそう言わずに」

「なんですかあおい髪のお姉さんまで! 放せこの醜男しこお! 醜女しこめ!」

「し、醜男って僕のことーっ!? 僕はこう見えてねえ……!」

「醜女なんて初めて言われた……このあたしが……!」


 粋は膝を笑わせると両の手を地につけ、うなだれた。

 知り合ってから撃沈されたとこ初めて見たな。

 しかしこんな時に僕の紫電しでんは何をしているのか。


雷星らいせい! 行っくよー! とりゃっ!! 火の玉を食らえ!」

「ハハハッ! 無駄無駄あッ! 火の玉ってのはな、こういうものをいうんだ!」

 

 お兄ちゃんがボンッと立派な火の玉を出した。


「うわあ! さすが雷星! いいなあ、ボクもそんな火の玉出してみたいや」

「ハハハッ、頑張れよ!」


 紫電はお兄ちゃんとスペルで遊んでんのか。

 おうおう、紫電のは基本スペルとはいえ小さな火の玉よのう。

 もう少しスペルの修業をさせんと実戦で使い物にならんわ。

 ……その紫電を見ていた王児の本がまたもべしゃっと落ちた。

 あれ? 全身をわななかせてどうしたんだ? 早くこの頑固者にスペルを……。


「えええええええええええええええええっっ!?」


 王児が絶叫し、頭を抱えて首をぶんぶんと横に振る。


「どうしてしまったんだオレは!? おかしな人たちと一緒にいたからおかしくなってしまったのか? ああ……あああああ……!」


 そうか。僕たちにしてみれば見慣れた、スペルを手から撃つ行為。

 実際に撃ってみたら理解が早かったよな。

 さっきは間抜け呼ばわりしたけど、ありがとう紫電。

 さあ、これで王児も信じてくれただろう。


「オレは夢を見ているんだあああああああああ!!」


 なんと王児は近くの石灰岩に頭を打ち付け始めた。


「ちょっとおおおおお! 王児!」

「夢をっ! 夢を見ているんだっ!」

「だからやめなってば! 英星! そっち持って! あたしは左を持つ!」


 粋と力を合わせ、なんとか石灰岩から王児を引き離した。

 石灰岩にはべっとりと血が付着している。


「なんてことすんの! もっと自分を大切にしなさい!」

「これは夢なんだ……!」

「現実よ王児!」

「……どしたの?」


 紫電たちがやって来た。

 この騒動を起こした張本人になっているとは露知らずといった顔だな。


「お前らさ……王児に何したんだよ?」


 お兄ちゃんが疑いの目を向けてくる。

 ……確かに今2人で王児の両腕を押さえているから暴行を加えたみたく見えるかも。

 王児は流血してるし。


 ――僕らは紫電とお兄ちゃんに訳を話した。



―――



「……本当に~? 王児結構かわいいから襲おうとしてそれで失敗して屈伏させようと口論になりカッとなって岩に激しく頭を打ち付け意識を失い無抵抗になったところを暴行しようという魂胆だったんじゃないの?」

「あたしはそんなことしないってば!」

「僕だってそんな過激すぎるプレイだけはしないよ!」

「粋はともかく英星は信用できないなあ」

「あぐっ! 信用ないな僕!」


 とにかく王児の傷を治さないと。


「お兄ちゃーん。この傷なんとかしてあげて」

「おう! まかせろ!」


 お兄ちゃんがつづりを刻み――。


「《キュアライト》!」

「……痛みが引いていく。傷が治りましたね。ありがとうございます」

「いやいやー。お高い御用よ!」

「…………ううーん…………」


 王児は後方に向かってばったりと倒れてしまった。

 あれ? なんで? 傷は治ったはず……。

 王児は泡を吹きながら、


「傷が……傷が一瞬で治るなんて……なんて非科学的……がはっ」


 ……と弱々しく言って動かなくなった。

 だよな。傷は普通こんな簡単に治らないよな。

 どうやら僕らは感覚がマヒしていたようだ。

 そんな王児にお兄ちゃんが再び《キュアライト》をかける。


「うう……ん。ここはどこ? オレは誰?」


 古典的というより古典そのものな声を出して起き上がった。

 ……ようやく落ち着いたようだ。


「改めて自己紹介させて。僕は川上かわかみ英星。主神・川上厳星げんせいの子……神様だよ。神の住まう神界から来たんだ。スペルっていう魔法が使えるよ」

「ボクは荒波あらなみ紫電。ここにいる英星の親友で、この荒波のつるぎの使い手。一応ボクもスペルが使えるんだ」

「あたしは広瀬ひろせ粋。このネックレスを触媒にして、スペルを使うわ」

「私は川上雷星。ここにいる英星の兄だ! さっきお前の傷を治した、いわば命の恩人だな!」

「恩着せがましい邪竜ですね」


 あー、こりゃお兄ちゃん怒ったな。


「おおッ! 初見で鳥じゃなくて竜だと答えてくれるなんてさすが違いがわかる子供! ありがとう!!」


 ……なんか感謝してるし。


「…………オレは定村さだむら王児。好きなものは本。嫌いなものはお風呂です。あと運動も嫌いですね。これでよろしいでしょうか」

「うん。解ってくれてよかったよかった」

「1点英星お兄さんに質問があります」

「僕に?」


 王児は間を開けることなく一気に、それでいて鋭くいてきた。


「出会った時の香水は何の為に付けていたんですか? 簡潔にお答え下さい」


 ……そ、それを蒸し返すのだけはやめてえええええええ!!



英星に痛烈な質問が!!


次回もお楽しみに!

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