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川上英星は穴だらけ!  作者: タテワキ
《第10章》 そして今度は神界へ!?
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効率的な《ドグマブラスト》の使い方

クラリスが登場し、死神族はほぼ勢揃い!?

「う……ん……」


 紫電しでんが目を開けた。

 気が付いたようだ。


「わっ! 何あの大穴!?」


 仰向けになったままの紫電が瞠目どうもくして叫ぶので、その視線の先を見上げてみると大聖堂の天井に大穴が開いていた。

 神界らしく太陽が昇ってきていても星が見えている。


「そして君は白いパンツのクラリスちゃん?」

「やめて下さい!」


 クラリスはスカートの中を隠すようにスカートの裾を押さえると、また変わらずに神族を無双していった。

 せっかくの頼もしい援軍の動きを一瞬めるなよ紫電。


「み、皆さんご迷惑をお掛けしました! すみません!」

「お前の言うとおり大迷惑だった! 死んで償えーっ!!」


 解放されて頭を下げてくる小便小僧おうじに僕は大喝を浴びせる。

 少年はまたベソをかいてしまった。

 仲間は王児おうじの背中をさするだけだ。

 こんなに気性が激しくなるなんて、僕はホントにどうしちゃったんだろうか。

 紫電だけは僕に優しく笑いかけてくれた。

 僕は障壁をまとった石碑に向き直り、


「貴様絶対に割ってやる!」


 と予告殺人した。どうだ! ビビったか!


「こういうのって割り方があるものよねえ」


 いきつぶやいた。

 僕は両足のスニーカーを脱いで素足になる。


「そうそう。この障壁にエネルギーを供給している装置がどこかにあるとか!」


 泣き止んだ王児が、


「紫電お兄さんさすがです。ゲーマーは違いますね!」


 紫電たちが何か話しているな。まあいい。無視無視。

 僕に考えがあるんだ。

 僕は地面にお尻をつけて両手両足を障壁に突き出し、念じる。


「あ、ここの壁にうすーく『動力室』って書いてあるわよ!?」

「粋ちゃんそんな薄い文字よく見つけたわね!」

「《ドグマブラスト》×4!!」

「「「「は?」」」」


 僕はコウモリの紋章を輝かせて両手両足から《ドグマブラスト》を発射し、障壁に浴びせる。

 どす黒い衝撃波が障壁を襲い、反射して飛び散った衝撃波の余波が辺りに横たわる神族の死体を原子分解していく。

 床も原子分解されて階下が丸見えになってきたな。

 明らかに障壁が削れている! やれるぞ、これなら――!


英星えいせい! はしたないからやめなさい!」


 リーネお母様がばしりと僕の頭を叩いた。

 お母様やめて。せっかくの賢い頭が悪くなっちゃう。


「ぴぎゃぎゃぎゃ!」


 デシューが慌てた声を出す。

 階下に通じる穴が開いたおかげで下の階から神族どもがうぞうぞと湧いてきた。

 僕は口からも《ドグマブラスト》を出し、首を回転させることで攻撃する。

 首が回る版マーライオンといった感じだ。


「レイチェルお姉さん本当にはしたないです」


――何かが割れる音がした。

 今までに聞いたことのない大きな音。


 巨大な風船が割れたような――


「割れたわレイチェル! みんな! 障壁が割れたわよ!」

「で、でも神族がすぐそこまで来てます!」

「一か八か! みんなボクにつかまって!」


 言って紫電は打ち捨てられていた先ほどの毒矢を石碑に投げた。

 石碑本体は鍛え方がなってなかったのか紙耐久で、毒矢がずびしっ! と音を立てて突き刺さり、大きなヒビが入った。

 わーい! 紫電に摑まれるなんて夢のよう! 

 僕は竜槍ラースをひっつかんで靴を履くと、紫電の身体に正面からしがみつく。

 紫電の身体すごくいい匂い……! で、これからどうすんの?

 紫電が――ふわりと浮いた。


「ワープはできないみたいだけど……! なんとか飛べる! 転移を妨害する装置にヒビを入れたからみたい!」

「ク、クラリスさーん!」


 王児が神族と交戦中のクラリスを呼ぶ。

 クラリスはちらと目だけこちらに動かして。


「早く脱出して下さい! 私のことはいいので!」


――と言うのみ。

 クラリス……ごめんね……!


 紫電がゆっくりと上昇する。

 だが神族が1人粋の足に摑まってきた。


「いやあああああ! ちょっと放しなさいよ!」


 粋は必死でその神族を蹴るが、神族は粋の身体を登り続ける。


「きゃっ!? ちょっとどこ触って……!」

「動かないで粋!」


 僕は神族めがけて片手で槍を振るった。

――見事神族の腕に命中! 神族は悲鳴を上げながら大聖堂の内部へと落っこちていった。

 ざまあみろ!


「ありがとうレイチェル……!」


 紫電はクラリスが開けた天井の大穴にゆっくりと近づく。

 よし、これからいよいよ脱出だ!


「ぎゃあああああああああああ!!」


 耳をつんざくような粋の悲鳴。

 今度はどうした!? ゴキブリでも出たか!?


「いやああああああ! 手! 手があ!!」


――手?

 粋の方を見ると、さっきの神族の切断された手が粋の乳房を握りしめる形で張りついていた。

 なんでよりによってこの部位なのか。

 だが両腕は紫電の足を摑んでいるので使えない。

 粋は必死になって身体を捻り、手をがそうとする。


「わ! ちょっと粋! 揺らさないで! ヤバいボクちょっと限界かも……!」

「やあああああ! いや! いやああああああ!」


 パニックに陥った粋がますます身体を捻じって揺らし、紫電の身体がひときわ大きく揺れた。


「あぁあぁぁぁぁあああっ!!」


 悲痛な声を上げて。

 紫電の背中に摑まっていたお母様が。

 紫電から落下した。


「お母様ああぁああぁあああ!!」



リーネが落下!!


……次回もお楽しみに。

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