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川上英星は穴だらけ!  作者: タテワキ
《第10章》 そして今度は神界へ!?
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思わぬ再会

兄である雷星らいせいが死んでしまい、英星えいせいは心が乱れている模様……!

 壁に掛かった絵が全てボロボロになって落ちている。

 先ほど殺した神族によるとこの先に転移を妨害する装置が。


「ぴぎゃ――っ!」


 デスすけが神族に斬りつけられ、悲鳴を上げて蒸発した。


「デスすけ――っ!!」

「よく見分けがつくね英星えいせい


 紫電しでんが神族と剣を交えながらつぶやく。

 僕は眉間みけんにシワを寄せた。


「紫電! 戦場ではレイチェルと呼べ! 斬り捨てられたいか!」

「ご、ごめん……レ、レイチェル!!」


 僕は他の仲間にも念を押す。


いき! それから王児おうじ!」


 竜槍ラースを順番に鼻先に突き付け、


「お前らもだ! 今度戦場で『えいせいおねえさ~ん♪』とか言ってみろ! そっ首ね飛ばすぞ!!」


 粋は黙って首肯し、王児に至っては固まったまま更に股間が濡れていく。

 ふん! 解ったようだな!


「レ、レイチェル怖いよぅ……」


 王児が泣きだしてしまった。

 こんな時に誰が泣かしたんだ! 誰が!

 粋が駆け寄る。


「粋! そんな泣き虫の役立たずは置いて行くぞ!」

「ええ!? ちょっとちょっと! いつもの英星なら……!」

「レイチェルだっつったろうがよ――っ! 死ねい!!」


 粋の首めがけて槍を一薙ひとなぎ。

 ひまわりの少女は「ひっ!」と鳴いて咄嗟とっさに伏せた。

 なんとか首ちょんぱを回避した粋だが、壁に鋭い切り傷がつく。

――傷は粋の頭より下の位置。

 それを見た粋はぶるぶると震えだし、口をあんぐり開けて崩れた。

 なんだ。こいつも股間から黄色い液体を漏らしやがって。

 紫電も青くなっている。


「赤髪。文句あんのか」

「文句しかないです」


 僕の頭からブチリと小気味のいい音がした。


「この赤髪! みじん切りにしてくれる!」

「わああああああああ!」


 裏切り者は斬らねば。矢が雨あられと飛んでくる中、味方同士でチャンバラが始まった。


「レイチェル! どうしちゃったの!?」


 紫電は必死で僕の斬撃を受けつつ、意味不明なことをく。


「レイチェル! 怒りと悲しみに支配されちゃダメだよ! 君は優しい子だったろ?」

「うるさいうるさいうるさい!! 兄を失ったのだぞ! お前に何が解る!!」

「解んない! 解んないよ!!」


 それだけ叫んで紫電は僕の懐に入り込んだ。

 そのまま僕の腰に手を回し、紫電の顔が迫って来る。

――え、これって……。


 紫電の唇と僕の唇が重なる。

 ちょっとちょっとこんな所で――

 永遠とも思える時間が流れた。


 紫電は唇を離し、額と額をくっつけて。


「レイチェル」

「紫電……僕が……僕がお兄ちゃんを殺しちゃった……うぅううううう!」


 紫電が背中をさすってくれた。

 竜槍ラースの刃が鈍く光り輝く。


「レイチェル。今は死神界に帰ろう。話はそれからだ」


 紫電は駆け出す。

 その左肩には矢が1本刺さっていた。


「1秒足らずのチューで手なずけるなんて猛獣使いです」

「まさにそれだわ」



―――



「小6にもなってお漏らしするなんて! これも誰かさんのせいよ!」


 粋がジトっと視線を送ってきた。

 僕は先ほどの紫電とのキスが忘れられない。

 頬を火照らせて走っていた。

 なんだか一人だけ場違いな感じだなあ。


「どこ? どこに転移を妨害する装置があるのよ?」

「あんたたちちょっと待って……! 休憩させてよお……!」

「ほんの少しだけいつものレイチェルに戻ってきたね」


 横倒しになった観葉植物を飛び越えた先。

 『立入禁止』と書かれたドアが1つあった。


「あそこかも知れません! 入ってみましょう!」


 ここにその転移を妨害する装置があるのか?

 ぎぃっと音がしてドアが開く。

 真っ暗。

 あかりをつけるが、部屋の中には何もない。

 ただ細長い鉄製の箱が横たわっているだけ。


「なんだよ! 何もないじゃないか!」


 紫電が怒ったように叫んだ。

 僕は細長い鉄製の箱に何かを感じ、開けようとするが……。


「あぁっ、重すぎて開かない! みんな! 手伝って!」

「レイチェルお姉さん! 今はそんな箱どうだっていいです!」

「いいから! お願いだから手伝って!」

「……しょうがないわね~」


 みんなで力を合わせ、うんうんうなってやっとのことで箱を開けた。

 箱の中に何か白いものが見える。これは……?

 中に入っていたのは、猿ぐつわをまされ、両手を後ろ手に縛られた若い色白の女性。


「リーネお母様!?」


 しかし僕の真剣な叫びもむなしく、


「えっ? これ緊縛きんばくプレイかなあ?」

「おっほーっ! 好みの女性です!」


 オスガキどもは一気に発情する。

 粋が2人を殴ってくれた。

 慌てて猿ぐつわを解いた僕はたまらず抱きつく。


「お母様……! よかった、ご無事で……!」

「え……英星! 英星!!」


 反省した紫電が、惜しみながらお母様を縛っていた縄を切る。

 お母様も僕を抱き寄せ、涙した。


「レイチェル? この人は?」

「このお方はリーネお母様。神界での数少ない僕の理解者だよ……!」

「さっきの緊縛されてる姿、写真に撮っとけばよかったです」


 王児がまた粋に殴られていた。



えいせ……いや、レイチェルの育ての母であるリーネが登場!


次回もお楽しみに!

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