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第71話

「おまたせー!出来たけど、すぐたべ…」


 立花は驚いた様にこっちを見てる。妹と手を繋ぎながら、弟を膝の上に乗せて映画を見てる同級生がいるだけですよ?


「仲良くなるの速すぎじゃね?」


 ギャルが出てるぞ立花。


「あー!おねえちゃん!ごはんできた?そらくんおなかすいたー」


「うみちゃんもー!」


「コウちゃんもー」


「んふふ、はいはい、出来たからきてー」


 ニコニコ笑いながら、双子ちゃん達と手を繋ぎながら他の部屋に向かう。さーて、どんなから揚げなんだい!!




「うおー旨そう!てか旨いだろ」


「うまそーうまそー!」


「おうまさん?」


 うみは、俺の真似をしながら旨そうを連呼して、そらは…おうまさんでは無いな。


「はい、いっぱい作ったからどんどんおかわりしてね!」


「「「いっただっきまーす!」」」


 箸で、から揚げを掴む。うん、カラッと揚がってるのが掴んだ瞬間分かるな。色も綺麗なきつね色に揚がってて、香りも食欲を誘う。


 カリッ!


 そして、噛んだ瞬間肉汁が出てくる。俺は肉汁が、どばどば出てくるから揚げは、あんまり好きじゃない。時間を置くとべちゃべちゃになるし。


 しかし、このから揚げは程よく肉汁が出て来て、肉の味とにんにくの香りもしっかり分かる。うん、素晴らしい。


 俺は一つ食べ終わると箸を置く。


「あ、あれ?もしかしてあんまりだった?」


 立花が焦りながら聞いてくる。

 そんなわけ……ないだろ!俺は椅子から立ち上がり拍手をする。


 パチパチパチパチ


「ブラァァァァァボゥ!!素晴らしい!このから揚げは素晴らしいぞ!」


「ぶあぼー!」


 そらも、賛同してくれてるみたいだ。うみは小さな手で拍手してる。


「はー…よかった!あんまりなのかと思ったじゃんか!」


「いやいや、このから揚げには、しっかり立って称賛が贈られるべきだ!」


「そ、そうかな?そこまでは無いと思うけど…」


 少し恥ずかしそうに、でも凄く嬉しそうに立花が謙遜してる。かあいい語彙力なくなんで。


「いや、まじで旨くね?ちょっとうちの母さんのレシピと違うよな?」


 母さんのから揚げとは、少し違う感じがする。


「うん、レシピ通りに何度か作ってみて、自分でアレンジ加えられそうな所はちょっと手を加えてみたけど…どうだった?」


「もちろん好みの問題もあるだろうけど、俺としては間違いなく完成度も高いし味も旨いぜ!今まで食べたから揚げの中で、トップスリーには間違いなく入るな!」


「そっ……かぁ!嬉しい!どんどん食べて!」


「言われなくても食べるぜ!」


 こんなから揚げが作れるなんて、神かな?


 ガチャッ


「ん?」


 扉が開いて皆の目線がそちらに向かう。


「「ただいまー」」


「あれ?パパとママ、早かったね?」


 あれぇ?立花さん、ご両親は不在では?俺はご両親に会う心の準備出来てませんよ?


「うん、ちょっと行きたかったお店が急遽休みになったらしくてね。早めに帰ってきたよ」


「あの…お、お邪魔してます。美咲さんの同級生の田中浩一です」


 ぎこちなくだが、挨拶は出来た。挨拶は大事だよな!


「あー今日は友達が来るって言ってたね。どうも、美咲の父です」


 立花の父親は、やっぱり体育祭で双子ちゃんと一緒にいた爽やかイケオジだった。俺の勝手なイメージで成金で、ゴテゴテした貴金属を付けた人だと思ってました。ごめんなさい。


「あらー美咲のお友達?初めまして美咲の母です」


 後ろから遅れて現れたのは、立花のお母さんなんだろうけど、どう見ても姉位にしか見えませんけど?あれ?若くね?


「なにーママの事じっと見て」


 若さに驚いて、立花のお母さんを見すぎてしまった。そりゃ自分の母親をじっと見られたら、あんまりいい気分はしないよな。


「すまん、あまりにも若くてビビった。一瞬お姉さんかな?って思ったし」


「ふ、ふーん、まあ、ママは見た目若いし可愛いから、しかたな…」


 立花がお母さんを褒められて嬉しそうにしていると、食いぎみに


「そう!そうなんだよ!美玲さんは可愛いんだよなぁ!いつまでも変わらないし!天使みたいだろう!?分かってるなあ!田中くん!!」


 お父さんがすっごい反応してます。あー好きな事になると早口になるのは、立花にそっくりだな。


「もう、あなた!恥ずかしいからやめて」


 顔を赤らめながら、必死に止めようとしてる立花のお母さん。


「いやいや、美玲さん!この子は分かってるんだよ!美玲さんの魅力が!だって美玲さんは、見た目は可愛いけどしっかり芯のある女性で、しっかり自分を持っているし子供達への愛情も、もちろん僕への愛も…」


「もう!ご飯食べてるんだからそれくらいにして!」


 立花も両親の惚気は恥ずかしかったんだろう。大声で止めてる。


「あ…ごめんね美咲。ご飯食べてたんだね。あっと…田中くんもごめんね?僕は熱くなると周りが見えなくなるって良く言われるんだよね」


「いえ、全然大丈夫です。仲が良くて良いなぁって思っただけなんで」


「そう?うんうん、美咲がしゅうくん以外の男の子を連れてきてたなんて思わなかったからビックリしたけど、うちの娘はやっぱり人を見る目があるなぁ」


 ふんふんと、胸を張りながらの娘自慢かぁ。本当に仲良いんだな。


「でしょー!コウはほんっっとうに凄いよ!だって涼様と同じジムで練習してたりすっごい仲良しだし!何より涼様から信頼されてるのが凄い!」


「そうだった!この前美咲を試合に招待してくれたんだったね!本当は僕も行きたかったんだけどどうしてもチケットが取れなくて、その日は仕事入れちゃったんだよねぇ…はぁ…」


 立花のお父さんは心底悔しそうにため息をついた。


「はいはい、田中くんご飯の途中でしょ?あなたも着替えて来ましょう。それじゃあ後でね?」


 立花のお母さんがお父さんを引きずって部屋を出て強制的に会話を終了する。そうだ!俺にはから揚げが!


「えっ……」


 後ろを振り返ると結構あったから揚げが双子ちゃんによって、ほとんど食べられていた。自棄に静かだなぁと思ったんだよ。


「そんな…いやしかし…から揚げに真摯に向き合わなかった俺の自業自得…」


 心で血の涙を流しながら、必死に耐える。


「そーんなに悲しい顔しなくても…」


「でも、から揚げがぁ!」


 立花はキッチンの方へ小走りで向かうと


「はーい!いっぱい揚げたって言ったでしょ!どんどん食べてね?」


 皿に満杯のから揚げが!


「いぃぃぃやっったぁぁぁぁぁ!!」


 俺は飛び跳ねて子供のように喜んだ。

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