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第61話

 会場は一瞬の事で静まり返ってる。



「「「「「わああああああああ」」」」」


 爆発するような大歓声。俺も会長もジムの人たち皆も涼さんに駆け寄るためにリングに上がる。


「やった!やったよ涼さん!!凄い!!凄く凄い!!」


 田中浩一17歳、興奮しすぎて語彙力を失ってます。


「見たかコウ!勝つからって言っただろ!会長やりましたよ!」


「おし!これで決まっただろう!今はこの勝ちを喜んどけ!」


 会長達の話も気になるけど、今は嬉しさで何も考えられない。やっぱり会場で見るのとセコンドに付くのじゃ全然違う!


 セコンドでこんなに嬉しいなら自分の試合なら…なんて少しだけ考えてしまう。いやいや!俺なんかには、まだ早い!


 リングのすぐそばの観客席に座ってる筈の立花達を見ると、一様に感動した様子だった。てか立花は号泣してるし…。ほら、委員長とタクがまた引いてますよ?


 涼さんと会長に目を移すとシュラウスの元に駆け寄っていた。そう言えばかなり衝撃的な音がしてたけど、大丈夫だろうか?


 一応俺も手伝いとは言え、セコンドなのでシュラウスの元に行ってみる。


「シュラウスさん大丈夫そうですか?」


「あぁ、膝で意識が飛んだみたいだけど、今は意識もあるし喋ることも出来るみたいだよ。でも一応病院で診て貰うそうだから、何事もなければ良いけどね」


 近くに居た加納さんが教えてくれる。今は意識もあって涼さんや会長と何やら話してる。英語だから全然わかんない!くそ…ネイティブの英語って聞き取れなくないか?


 日本の英語教育の敗北を感じながら涼さん達の話が終わるのを待つ。おっ、シュラウスが立つみたいだ、若干起き上がる時にふらついたけど立てば足取りは、しっかりしてるみたいだ。


 流石一流選手だ、首とかもちゃんと鍛えてるからダメージのクッションになるしなぁ。そして涼さんがニヤニヤしながら帰ってくる。


「何ですか?ニヤニヤして、何時も試合に勝ったってそんな顔しないでしょ?」


 一応試合の時はキリッとした顔キープしてるんだけどな?この人。


「いやいや、シュラウスと話しててよ、あんなに早く作戦が破られるとは思わなかったってさ」


「そりゃうちには会長も居ますしね!流石ですよ」


「あー…こいつは、またわかってねーな?お前のおかげって事だよコウ、お前のおかげだって話したら、それじゃあ私の引退も近いかもなってジョークだろうが言ってたぜ?それくらい認められてンだよ!」


 えぇ…本当?会長や加納さんを見ると頷きながらこちらを見てる…。


「ほ、本当ですか?それなら…涼さんの役に立てたなら、めっちゃ嬉しいです!!」


「おう!それで良いんだよ!おしコウ!写真取るぞ!後でお宝写真になるだろうからな!」


 そりゃシュラウスに勝った記念だからお宝だよな。俺も一緒ってのが変だけど一枚位俺も貰えるかな?


 そして控室に戻る途中で、高橋さんが満面の笑みで待ってた。


「お疲れ様!鎌田君最っっっっ高だったよ!後は僕の仕事だから、これなら相手も断れないよ、ってか断らせない!任せといて!」


「高橋さん、ありがとうございます!最初ちょっと苦戦したんですけどね?こいつのおかげでなんとかなりましたよ」


 そう言いながら俺の首に腕を回す涼さん、ちょっと!大袈裟ですよ!


「ほうほう…やっぱりね、僕の感じた通りだ。えっと田中君だよね。これからもよろしくね?」


「は、はあ?よろしくお願いします?」


 何をお願いされたんだろ?疑問はつきないけど!とりあえず控室に行こう。多分綾さんも待ってる筈だし。




 ガチャッ


「おう!ご苦労!」


 控室の椅子にどっしり座って待ってたのは綾さんでした。何か一番偉そう。


「あー今日は結構貰っちまったわ、心配掛けたな」


「ううん、涼が無事ならなんでも良いよ。頑張ったね。おめでとう」


 そっと涼さんに抱きつく綾さん。良いなぁ俺の中で二人は理想のペアだ。


「コウちゃーん!どうだった?大変だった?よしよし!偉いぞ!今日涼が勝てたのは全てコウちゃんのおかげだからね?だからお姉ちゃんと遊びに行こう?」


 さっきまでの感動的なシーンは何処へやら、何時もの綾さんに戻ってる。


「いや、勝ったのは涼さんですから…」


「んもうっ!コウちゃんはいっつもそう!もっと自信持ちなさい!」


「まあ、今日ばっかしは綾の言う通りだな。コウが居なかったらもっと苦戦しただろう」


「涼さんまで…」


 二人共俺を褒めてくれるのはありがたいけど評価が高過ぎるんだよなぁ。


「コウ、友達は良いのか?待ってんじゃねーのか?」


 そうだ!立花達を控室に呼ぶために待っててくれってLINE送ったんだった。


「ヤバッ!ちょっと俺行ってきます!!」


 急いで皆の元へ向かう。


「はぁー…コウは何時になったら自信が付くのかねぇ」




「皆ごめん、待たせたわ!控室まで案内するから着いてきて」


「いや、全然待ってないよ。むしろコウこそ大丈夫なの?色々終わった後もあるんでしょ?手伝いとか」


「そーだな!さっきの試合の感想とか言い合ってたら時間なんてすぐ過ぎてたわ」


 皆興奮冷めやらぬ感じで話してたっぽいな。そりゃああの試合だしな。俺でも興奮する。


 ちなみに立花は感動しすぎて魂が抜けてました。



「それじゃあ行こっか」


 そう言って皆の方を見ると不安そうだけど、どうしたんだろ?


「ほ、本当に大丈夫なの!?試合の後って人によっては興奮で暴れたりする人もいるんじゃないの!?まあ、涼様がそんな事をしないとは思うけど、せっかく試合終わったのに迷惑じゃないかな?涼様に嫌われたらどうしよう…でもでも!おめでとうございますって言いたいし…」


 さっきまで魂の抜けてた立花が涼さんに会えるとなると凄い勢いで喋り始めた。そんなに好きなんですね…俺としては複雑…。


「大丈夫だって、もし嫌なら本当に嫌だって言うよ涼さんは、後会長もね」


 あの二人は基本思ったこと言ってくれるからありがたい。


「そ、そっか!じゃあ皆行こう!」


 大丈夫だと分かると、いても立ってもいられないのか先頭で小走りだ。あの、場所わかんないよね?




 コンコンッ


「入りまーす」


「おう、来たか」


 ジムの皆で談笑してたのか視線が一気にこちらに集まる。立花達が緊張するから一斉に見るんじゃないよー!


「あの、お邪魔します!」


 各々挨拶して雰囲気は和やかだと思う。そして、想いが溢れ出たのか立花が喋り出す。


「きょ、今日はおめでとうございます!鎌田選手!」


 一応本人の前では涼様じゃ無いのな?


「ああ、ありがとう。美咲ちゃんだっけ?」


「あ、あたしの名前を!!あの!今日の試合は素晴らしかったです!1ラウンド目にシュラウスのタックルが結構決まってて、何時もみたいな余裕?が無かったのかなぁなんて!いや、涼様は何時も強いですけど!今日は何時もとは違う涼様って言うか…リングの上では表情をあまり出されないので!今日は笑ってたり凄い楽しそうだったなと!!」


「あ、ありがとう…」


 プププ、女子高生に押されてるよこの人。


「そ!し!て!あの2ラウンド目!!シュラウスのタックルを読みきってた様な膝蹴り!!あんなに綺麗に決まるなんて!もう、シュラウスをあそこに誘導してたと言われても納得します!!」


 立花は言い切ったのか、ふぅーふぅー言いながら目をキラキラさせてる。


 そこで、涼さんが困った顔でチラッと俺を見る。何時も俺がやられてるんだから今日位は涼さんも同じ目に合ってくださいな。


 そう考えてると、涼さんがニヤリと笑う。なんだ?また悪いこと考えてないか?

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