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第3話

 さてさて、もう昼休みだ。

 焦る事は無いとは言え、あまり悠長にも

 構えてられない…俺の青春が掛かってるんだ

 真剣にもなるだろ。


 しかし、これが中々難しい。

 まず立花美咲が一人になる事が無い。

 いいなぁ、じゃなくて人望は厚いらしい

 いじめっ子なのに。


 ターゲットは部活もやってなく

 授業が終わったら友達と駄弁り

 少ししたら帰ってしまう。

 しかし、流石に帰り道の後を着けるのは

 俺の世間体が死ぬ可能性がある。

 ストーカー的な意味で。


 もう腹をくくって大胆に逝くか。

 青春はノーリスクでは、手に入らないだろ

 よし、やるか、やるぞ。


「やるぞおおおお!」


 ビクッ


 周囲が俺の気合いにビビってる

 と言うかやるぞを声に出してしまっている。

 これは立派な奇行だ。波に乗れ俺!


 立花の席までずんずん歩いていく。

 立花の顔、怯え気味な気がするが、気にしないでおこう。


「た、立花さんお話があります。放課後時間を貰えますか?」


 喋りだしで若干どもった。恥ずかしい。


「は?まずあんた誰。」


 おぉっと、俺の予想通り認識すらされてない。


「同じクラスの田中浩一です。」


「そりゃ同じクラスなのは見たら分かるけどさ、なんの用?」


 え?俺さっきお話したいって言ったよね?


「えっとですね、お話したい事がありますので放課後少しお時間よろしいですか?」


 ど、どうだ?やったか?


「え?普通に嫌だけど。」


 おーっと、やっぱりやれてない!


「立花さんちょっと位ならお話聞いてあげたら?」


 ここでなんと春川が助け船を出してくれた。

 女神に見える。


「え~田中だっけ?さっきいきなり叫び始めたじゃん、ヤバイよ多分こいつ」


 目の前に俺が居るのに、こいつヤバイ発言だ。

 やっぱり女王は強い


「でも、田中くんも別に悪い人には見えないし…」


「ありがとう春川さん、実は人気者の立花さんに話しかけるのに勇気が必要でちょっと

 気合居れようと思ったら声が出ちゃったんだ」


 ここは正直に話そう正直者が一番だ。


「あー、確かに私人望あるしね。田中見る目あるじゃん、話し聞いてあげてもいいよ?」


 え、ちょろ


「え、ちょろ」


「は?なんて?」


 ヤバイ声に出てた。


「何でもないよ、人気者の立花と話せるなんて嬉しいなって言ったんだ」


「ふーん、良いじゃん田中、わかってんじゃん」


 あれ?春川怯えた顔でこっちを見てる。


「立花さんあのね、勇気を出す為に叫び始める人は、ヤバイ人だと私思うな」


 おいおい春川、そりゃないぜ。

 正論パンチが痛すぎる。


「でも田中はさ、私の事ちゃんと見てるっぽいじゃん。とりあえず話だけでも聞くよ」


「えっと、立花さんがそれで良いなら…」


「おっけー、田中じゃあ放課後ねー」


「うん、よろしく立花さん」


 よし、かなり強引だが第一関門突破だ。

 我ながら穴だらけの作戦だった。

 次はお友達大作戦だ!





「おいコウ、さっきのはなんだよ。

 女王に告白でもすんのか?無謀すぎるだろ」


「お前何言ってんだ。告白なんてするわけないだろ。何処をどう聞いたらそうなるんだよ」


「いやいや、放課後お話があります。とか

 告白しますって言ってるようなもんだろ」


「そんなのお前だけだろ」


「コウさ、周りからの微妙な視線に気が付けよ。しかもみんなコソコソ話してるだろ

 みんな思ってんだよ告白するって」


「え?本当に?」


 あれ?まじで視線感じるし、何なら男子は

 ニヤニヤしてる…

 おぉ、まじか。


「ちげーよ、まじで違う俺は友達になりたい

 だけだ」


「友達?女王と?なんでだよ。

 何がお前をそうさせたんだ」


 うーん、ここでいじめをどうにかするためだと明かすのは得策では無さそうだ。

 そんな事が万が一女王の耳に入ったら

 友達になれないのはもちろん。

 下手したらハブられるだろう。


「別にお前には関係ないだろ。俺が誰と友達になろうとも」


「なんでだよ。コウの唯一の友達だろ俺は

 」


「だからお前は友達じゃ…あれ?お前が友達じゃ無かったら俺は友達0か?」


「そりゃそうだろ。てか他に友達いんのかよ?」


 こいつは何を言ってんだよ。

 友達ぐらい…あれ?俺の事『こうちん』って

 呼んでくれる人は一人も居なくないか?

 うっ、頭が!


「とりあえず飯買ってくるわ、じゃあな」


「なんかごめんねコウ」


「うるせええええ!」


 俺の青春はこれからだ!

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