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夢の続き
ただ、誰かに認めて貰いたかった。
ただ、誰かに幸せになって貰いたかった。
ただ、誰かに愛されたかった...……。
近くで誰かのそんな声が聞こえた。
久しぶりにこの夢を見た。
暗闇の世界で、身体が覚束ない感覚に陥る不思議な夢。
何かやり残したこと、深い後悔、自責の念。
とても切なく、胸が締め付けられるような思い。
前よりも強く感じる何かを訴えかける誰かの願い。
近くにいる誰かが、何かを呟いている。
「さ──────。──────け───。──────────を……」
それは切実な願い。それは背負うべき使命。それは全ての希望。────の訴えが心に刺さる。
目から溢れたその滴は何もない空間に落ちる。
理由もない涙など存在しない。その叫びを──は知っていた。
その時、暗闇の世界に一筋の糸のような光が差し込んだ。




