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Spin A Story 〜この理不尽な世界でも歴史好きは辞められない〜  作者: 小熊猫
第一章 “歴史を紡いではならない”
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僕の家族

 母さんは女性で美人だから良いが、僕は男である。

 …つまり、僕の顔はかなり中性的ってことだ。

 僕は金髪にクルクル天然パーマにブルーの瞳で中性的な顔。

 いっそ短髪にした方がいいのではと感じている。

 さらに体型も母さん似でヒョロッとしている。

 でも、大好きな母さんに似た顔であることは僕の誇りだ。

 英雄好きな僕は好きな偉人に一歩でも近づけたら嬉しいように、大好きな家族と似ている、繋がっているという絆が見える形で自分に表れているだけで本当に嬉しくなる。

 そう思うと、自然と顔がニヤついているのに気が付かないまま、家に帰っていく。


「どうしてニヤついているの?」


 玄関を開けて家に入ると、ふと問いかけられた母さんからの声に“えっ!” と素っ頓狂な声を上げる。

 さっきまでの感情を引きずったままであったから、つい気恥ずかしくなる。


「べっ、別に! 何でもないよ」


「あら、そう? …ふふふ」


 母さんはなぜか()っすらと笑っていた。

 うぅ…なんだか見透かされているような気がして、そそくさと逃げるように席に着いた。


 この村での朝の食事は、前日の夜に作った野菜のスープの残りに(ひえ)を一緒に煮込んで仕上げたものを食す。西日本風で言う猫まんまをどの家庭でも食べるのだ。

 ただ、この世界ではどの一般家庭でも朝から火をつけるのも火打ち石からなので、母さんの朝ご飯には本当に感謝しかない。

 火を起こして木を()べ続け、火加減を管理しながら料理もするというとても大変な作業だからだ。


「「「いただきますっ!」」」


 三人揃っての朝の食事。ぱぱぁーっと手早く胃にかき込む。

 ちなみにいただきますの食事の挨拶は、僕が喋れるようになって四歳の時の食事の時に、ふと言い始めたのがきっかけだ。

 親に何を言っているのか聞かれたけど、“食べ物にありがとうって言ってるの!” と答えてから、家族全員で使うようになった。


 今の僕は十二歳。父と母は恐らく三十代とのこと。

 二人とも自分の年を意識して生きてきた訳ではないみたい。

 村のみんなもそうだ。特に意識することではないようだ


「じゃあ行ってくる」


「うん、行ってらっしゃーい」


「気をつけてね、あまり無理しちゃ駄目よ〜」


 父さんは早々に朝ご飯を食べたら、すぐに畑仕事に出発する。

 父は農奴、母は機織り職人。

 そんな我が家の朝は日の出と共に始まり非常に早い。前の世界とは大違いだ。


 僕も食べ終え食器洗いを手伝った後、家の中を掃除してから家を出る。

 掃除に使うのは“い草(ほうき)”っ! 

 この世界にもい草があることを知るきっかけになったこの箒。

 これを初めて見た時はテンションが上がった。

 元日本人だからか、い草の香りを嗅ぐとリラックスする。

 残念ながらバータル家には畳部屋はない。い草箒のみだ。

 

 い草箒で家の天井を払い、蜘蛛の巣を払い、床も掃く。

 はたきという物はないので、オールい草箒である。

 ちなみに蜘蛛はあまりにも大きいと払うようにしてるが、小さい蜘蛛は見逃すようにしている。

 前の世界では益虫で害虫たちを食べてくれる神様の使いとも言われていたと思うけど、流石に大きい蜘蛛は外に出て行ってもらっている。

 サァーっと掃除を終えて学校へ行く支度も済ませて、意気揚々と家から出発する。


「行ってきまーす!」


「カイ、気をつけてね〜」


 母さんは朝の日課である洗濯をしながら手を振って見送ってくれる。

 優しい両親の元に生まれて幸せだと思う。


 これから僕は学校のようなところに行く。

 “ような”というのは、日本に居た頃の環境でないからだ。

 それじゃあ、学校に着くまでの間に僕の簡単な自己紹介とこの世界の友達の紹介、この国のあり様についてお話したいと思います。



挿絵(By みてみん)

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