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Spin A Story 〜この理不尽な世界でも歴史好きは辞められない〜  作者: 小熊猫
第二章 “冒険者編〜霞たなびく六等星達を求めて〜”
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半人半森人

「正確には半人半森人(ハーフ・エルフ)だ。森人の寿命の半分以下にも及ばない年数しか生きられぬ…半端な存在だ」


 尖った耳を触りながら愚痴を垂れる。けど、それは僕らからすれば贅沢な愚痴であった。

 …なるほど。これで謎が解けた。ヨゼフの話しを聞いていて不可解な点があった。


 ギルドを創設し、人々に職を与え、国々にギルドの支部を置き、国々からギルドのための税を得るまでの制度を確立させる。どれだけの年月が掛かるのだろう。

 それらをたった一代で成し遂げるだけの所業に敬服すると同時に、人の生きる年月で成せるものかといぶかしんでしまう。


 神話によれば、天にまで届かんとするバベルの塔を造ろうとした人々に神の怒りが触れた時以来、地上に人々が散って様々な国々が立ち上がったらしい。

 人が国を創るまでにも、何代…時には何十代と渡った上で、国が生まれるものだ。


 国のように複雑で統率が求められるギルド。それをただ創設するだけでなく社会機構に欠かせない存在にまで昇華させた。

 つまり…ただの人では成し遂げられない。生きる時も…そして、その稀有な叡智と実力も。

 



「それで…そこにおられるのがシャルル王であられるかと御見受け致します。どうぞこちらへ」


 残りものの一脚に座るように招いた。さながら同等の立場であるという姿勢を崩さずに。


 シャルルがその席に座り、ギルド長に話しかけようと出方を伺う。

 すると、顎に手を当て何やら考え込み、少しも経たないうちに再び口を開く。


「ふむふむ、そこの二人は共通語はまだ扱えぬようだな。…これでどうかね?」


 見渡しながら考えていたのは、どうやらハイクとイレーネの反応だった。

 二人の周囲のみんなとの変化を敏感にこの人は感じ取り、配慮を示してくれた。


「…わ、わかります。ありがとうございます」


「"言葉は自由"であるべきだ。誰しもが理解たるもので話し合うべきと私は考える。…では、会談といく前に前提であるものを確認させて頂こうか」


 言葉は自由…か。少なくとも大きな耳は飾りではないのだと安心した。他者の言葉に耳を傾けるだけの寛容さは持っているようだ。

 

「ヨゼフ、長きに渡る任務ご苦労。その子が例の子かね?」


「あぁ、そうだ。…カイ、挨拶しろ」


 ポンッと背中を押され前へと出る。


「カ、カイと言います。よろしくお願いします」



三月中は忙しくなりそうです。投稿を待っておられる方々に申し訳ない限りです。



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