表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Spin A Story 〜この理不尽な世界でも歴史好きは辞められない〜  作者: 小熊猫
第二章 “冒険者編〜霞たなびく六等星達を求めて〜”
387/409

戦車

「あぁ、戦車メルカバだ。それに乗っているのはアイツ…ギルド長だ。何でも…これは描きたかったごく一部の絵で、本当はもっと沢山の絵を絵師に描かせたかったようだがな。自己主張の激しい野郎だ」


 自身の権威と雄大さを語らんとする絵画。

 四頭の馬に引かれる古代の戦車。そこには一人の勇敢な男の姿があった。


「ヨ…ヨゼフ。ヨゼフなのか?」


 見開いた目を閉じるのを忘れてしまったかのように、驚愕の表情でこちらを見遣る男達が声をかけてくる。


「おっ、久しぶりだな。元気してたか?」


「うぉ〜ッ! やっぱりヨゼフだッ! 相変わらずボサボサに髭を伸ばしやがってッ! …みんな、ヨゼフだッ! ヨゼフが帰って来たぞッ!!」


 机を囲んで談笑していた者、掲示板の前で掲げられた紙と睨めっこしていた者、やる事もなくぶらぶらと呆けていた者…それら全ての者が群がり始める。


「おい、ヨゼフ。今度はどんな冒険があったんだ」


「一緒にいる連れは誰だ? なーんかどっかで見た事があるような…ないようなぁ」


 シャルルと和尚を首を傾げながら見つめる人達がいる。

 当然知られているだろうとは思ったけど、皮肉にも王族と人民との距離が遠い位置に離れているおかげでバレずに済んだ。

 本来なら喜ばしい事ではないんだけど…。


「ギルド長の許可が下りれば話してやるよ。それまで楽しみにしてな」


「そりゃあもう、最初から聞けねーって意味じゃねーか…。ま、この後は報告だろ。ゆっくり後で飯でも食おう」


 ギルド長という単語を耳にし、半ば諦め気味に会話を切り上げ、早々に囲いを解いてくれた。

 冒険者達がギルド長に敬服と畏怖を抱いている印象を受ける。

 ヨゼフの任務が他言厳禁であると周りも気付きながらも、これ以上探りを入れない辺り…それだけギルド内でヨゼフとギルド長の身分が確立されているのだと伺える。



 

「おかえりなさい、ヨゼフさん。随分と可愛らしい子達を連れているのね」




 近づいてくる一人の女性がいた。整えられたウェーブのかかった髪。

 真面目さと誠実そうな雰囲気を感じ取れる声音が、初対面ながらに心を開いてしまいそうになる。

 他の人達と違い、綺麗な正装を纏っている。この人は多分…ギルドの関係者だろう。


「可愛いければ良かったんだか、生憎あいにくとずる賢い事が得意なんだなぁ…これが」


「ふふ、それは頼もしい限りね。早速だけど…副ギルド長が部屋で待っているわ。一緒にギルド長の所に来いって」


 


 メルカバはヘブライ語での戦車の意味のようです。聖書中の時代でもアッシリアなどの大国が戦車を使っていたようですね。

 ちなみにここに出てくる絵は聖書中のものではないです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ