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Spin A Story 〜この理不尽な世界でも歴史好きは辞められない〜  作者: 小熊猫
第二章 “冒険者編〜霞たなびく六等星達を求めて〜”
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魔物と瘴気

 あれから幾度かの魔物との交戦を続けながら駆け、二日ばかりを森の中で過ごした。

 相変わらずベヘモトが襲来するばかりで他の魔物は全く見かけなかったのは不思議だと思ったが、対処法もわかったので連携を取りながら倒していった。

 急いでいるのもあってベヘモトの皮を剥ぐのは諦め、身体の内部から燃やし尽くす戦術に切り替えている。

 どうやらそのまま魔物の亡骸を放置するのはダメなようだ。言われたままに燃やし続け、魔物と対峙せずに移動する時間が出来た時にヨゼフは切り出した。


「以前、話したのを覚えているか? 魔物は瘴気を放っているって」


「うん、覚えているよ。あの"瘴気の森"に入った時だよね?」


「そうだ。それじゃあここで問題だ。魔物は瘴気を放っている。……なら、その瘴気の元は何だと思う?」


「瘴気の元…?」


 意外だった。瘴気は元は別なものだという言い振りだ。

 うーん…何だろう? そう難しく考えない方がいいのかな。魔物と言えばすぐに思いつく関連しそうな言葉は……


「魔力…じゃない?」


「そうだ、イレーネ。よくわかったな」


 逡巡をしている間にイレーネが答えを述べていた。言いたい事が段々とわかってくる。


「魔物の身体は俺達と同じで魔力が巡っている。魔物の亡骸を放っておくと身体に流れる魔力が体内にとどこおり、やがて行き場をなくした魔力は対外に流出してしまい、その魔力は瘴気へと変化する事で魔物を棲みつかせる絶好の環境へと至ってしまうんだよ」


 補足説明をしてくれたシャルルのおかげで納得がいった。それと同時に思い浮かぶのは…

 

「…アルデンヌ領にあった"瘴気の森"は…魔物の亡骸を放置したって事?」


「そう考えられている。しかし、この世界の事象については其方らの知る通り記録してはならない。だから詳しい原因はわかってはおらんなんだ」


 話しに入った和尚の言い分もよくわかる。なるほど…確かに理由までは明確に突き止めようがないか。


「つまり、魔物の亡骸を放棄するは瘴気を作り出すも同義。だからこそ、べへモトの体内から燃やし尽くせる其方の魔法は助かるのだ」


 …おや、案外にも多少は僕の事を評価してくれているようだった。ちょっと照れ臭い。


「王都に着くまではひとまず魔物を倒したら燃やし尽くす。素材なんかに目を眩むな。()()()を説得するだけの材料はもうある。今はただ王都へ急ぐだけだ」


 背負う麻袋を横目にヨゼフは語った。今なら…気になっていたもう一つの事に触れておけるだろう。


「ねぇ、ヨゼフ。アイツって言うのはもしかして…初めて逢った時に話していた人?」


「あぁ、そうだ。お前達が逢わなければならない…そして、シャルルが逢おうと必死になっている相手……この世界の全てのギルドをべる男だ」

 



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