表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Spin A Story 〜この理不尽な世界でも歴史好きは辞められない〜  作者: 小熊猫
第二章 “冒険者編〜霞たなびく六等星達を求めて〜”
304/409

反乱者との会話 一 

「…おい、王様達が来られたぞッ!」


 色湧き立つのは屋敷の占領の任を果たした領民兵達。随分と待ち侘びていたようで熱烈な歓迎と歓声を持って迎えてくれる。


「よくぞご無事でございました。血相を変えてヨゼフ様が急いで出て行かれ心配しておりました。…ささ、どうぞこちらへ」


 みんなを代表してツェレクが出迎えてくれた。そのまま主だった面々は屋敷の二階へと案内される。

 やけに煌びやかな装飾が目と鼻について仕方がない。伯爵の屋敷にあった簡素ながらも物を大切に使用していた印象とは違い、この屋敷はなんだか目がチカチカして疲れてしまう。


「おう、来たか。待ってたぞ」


「カイッ! シャルルッ! 心配したぞッ!! 無事で良かった…」


 開かれた扉の先で待っていたのはヨゼフとハイクだった。その脇には一人の老人が縄で縛られた状態で胡座(あぐら)を組んで座っていた。


「爺…すまんな。あんなに大言壮語を持って去りながらも、最後に失敗してしまった」


「なんの…若。私もです。あれだけの手勢を与えらえながらも何の成果も挙げられませんでした。無念です…」


 沈痛な面持ちで再開を果たした優男と老人は顔を落とし、言葉少なく語り合った。そして、お互いの中で覚悟を決めたと同時にシャルルに顔を向ける。


「小さき王よ、貴公は言われたな。“どうして反乱を起こしたのかを知りたい”と。少しばかり我らの話しに付き合って貰えんか」


「元からそのつもりです。…ヨゼフさん、彼らの縄を(ほど)いて下さい」


 閉ざされた空間の中にあって、遠慮なく話して欲しいというシャルルなりの気遣いであった。

 通常であればつい先ほどまで相対していた相手に対し、何の警戒もなくこのような処置はしない。

 “人の感情がわからない”というシャルルの抱えている弱みは同時に強みでもあるのだ。


「…やはり貴公は甘い。だからこそ我らに反乱を起こされているのだ」


「えぇ、甘いのは承知しています。この甘さを克服出来るようになるための一歩が、貴方がたとの話し合いであるのだと確信しております」


「言うではないか。なら遠慮なく申させて貰うとしよう」


 縛られていた手首を撫でて労りながら、縄を解いてくれた返礼とでも言うように何ら臆するところなく優男は語り出す。


「まず、俺達の言い分を話す前に貴公に聞きたい。この国の財務状況、並びに各領地から国に納められる税の割合についてはご存知か?」


「知り()る限りには。この国の今の基本方針としては、各領地の経済状況に合わせた領地運営と税収を任じ、その中から得た税の六割を国が徴収し国家の運営に費やしています。昨年のアルデンヌ侯爵領からは五万フランの納税が奉じられたと記憶しています」


「フッ…フフフッ……フワーハッハッハッハッ!! …やはりかッ! やはりあの豚はとんでもなく汚れ切った畜生であったわッ!!」


 五万フランというのがどの程度の金額であるかはわからない。だが、その金額を聞いた途端に狂喜と冷笑が入り混じった無機質な笑いを優男は称えた。



 

 挿絵を入れる作業をちょっとずつ行い始めております。時間がある時にやらせて頂きます。

 基本的には商業利用をしない前提の無料の画像やAI画像、並びにカイ達の行路を辿る地図を投稿します。

 設定集もちょこちょこ更新していきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ