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Spin A Story 〜この理不尽な世界でも歴史好きは辞められない〜  作者: 小熊猫
第二章 “冒険者編〜霞たなびく六等星達を求めて〜”
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謎の解明 三 条件

 “国の王として”……。

 同じ言葉を二度繰り返し、その自責の念の深さは深海の底のように、その言葉の重みはヨゼフの振るう槍のように非常に重かった。

 ヨゼフの振るう槍は誰かを守るための重みがある。

 ドーファンの場合、この国の民の暮らしを守ろうとする言葉に重みがあった。

 とても強い責任感だ。それ程までにドーファンは人を知ろうとしながらも、人を守ろうとする正義感に溢れていた。

 ……だからこそ彼は、救国の英雄と呼ばれたのだろう。そう感じざるを得ないだけの気迫が胸に刺さった。


 それに、僕の願いとドーファンの想いは見事に一致していた。ならば答えは一つだ。


「ドーファン。一人の人間として、一人の友として、そして…同じ想いを抱く者として君に協力させて欲しい。帝国の侵略と支配、それらがこの世界にもたらすのは混沌でしかない。僕は帝国の被害者だ。これ以上…同じ痛みを抱く人を増やしたくない。そんな未来が訪れるのは何としても阻止したいんだ。……ただし、四つの条件を飲んでくれればね」


 こちらが条件を提示しながらも、ドーファンはほっとしたように胸を撫で下ろした。

 まるでそれは問題ないかのようにすでに決めつけているように。

 もしくは協力を得られただけで、ドーファンには御の字なのか……恐らくは後者だろうね。


「…カイ、ありがとう。それが聞けただけで一安心だよ。君の協力が得らただけで状況が前を向いたのは間違いないよ。…にしても四つの条件か……。ねぇ、カイ? ボクもカイの協力を得られるのはありがたいんだけど、流石に四つは条件が多くないかい? ならばこっちも二つの条件を聞いて欲しいなぁ〜。それにカイは出来る事は()()()するって言ってくれたじゃないかっ! なら聞いてくれてもいいような気もするんだけどなぁ…」



 ニコニコ顔で(おど)けたように首を傾げながら、ドーファンはさりげなく願い事を条件に織り込んできた。

 うぅ…さっきは勢い余って何でもするって言っちゃったけど、まさかすぐに揚げ足を取られるとはね。


「やるね、ドーファン。ま、ドーファンの言う事だから悪い事を頼んでくるって感じではないだろうね。もちろんそれで構わないよ。そもそも友達相手に条件を出すのも気が引けていたからね。せめてもの償いだね」


「ふふ、全然償いにも何にもなってないよ、カイ。全く…調子がいいんだから。それで…カイの言う条件って何だい?」


 笑いながらも真面目さを含めて尋ねてきた。

 警戒らしい警戒もないままに、僕が何を言うかに興味があるようだった。

 友として遠慮なく言わせて貰おう。


「まず、こちらの王国内における僕、ハイク、イレーネの受け入れと立場を確立して欲しい。ギルドに所属するから大丈夫かもしれないしれないけど、一応この国の住民としてきちんと認めて貰いたいんだ。帝国に強制送還される恐れは排除したいからね」


「相変わらず細かい所まで気にするんだね…それについては当然ながら保証させて頂くよ。力も権力も乏しい王だけど、カイ、ハイク、イレーネはこの国の民だ。今この場で宣言しよう。王都に帰ったら書に記して渡させて貰う。……それに伴った条件をこちらから出したいけど、いいかな?」


「伴った条件? つまり…それ相応の何か対価となる活躍をして欲しいという事かい?」


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