Level.6 対抗戦開始
新入生代表戦当日
ユグドラシル本部大聖堂『アルカナ』
「今日は新入生対抗の代表戦だ
ユグドラシルに配属された180人の新入生の内選ばれた20人のメンバーは前に来てくれ」
そう言って黒銀先輩は俺達代表メンバーを壇上に上がる様に指示する。
俺は沢山の人の視線を感じながら気まずそうに壇上へ上がる。
何でアイツが……などと小声でヒソヒソ言っているのが聞こえる。
「新学期がスタートして最初のユニオン対抗戦だ
私は戦果次第ではこいつらの中からユニオン代表戦本戦のメンバー入りを考えている」
その言葉にその場にいる生徒達はざわつく。
そして黒銀先輩は振り向き、俺達代表メンバーの方を向きニヤリと笑う。
「好きに暴れてこい!!
私達はお前達が這い上がってくるのを待っている」
そう言って黒金先輩は壇上から去って行った。
代わりに大人しげなメガネの女子生徒がマイクを持つ。
「えーそれではこれから組分けをします
ユニオン戦は4人1組のパーティーで戦っていただきますので個人端末へ送ったメンバーでパーティーを組んでください」
送られてきた情報を立体映像で映し出す。
『ユグドラシル代表パーティー04
風峰 零次 鳴神 美玲
エリス・ブレキウラ 柊 帝 』
俺は壇上にある04の看板の前に行くとすでに三人のパーティーメンバが待っていた。
「よりによって《SAI》無しが俺達のパーティーかよ……」
「どんまいだね……まぁ残りの3人でどうにかするしかないね」
「……」
始まりからかなり信頼されてなさそうだな。
まぁその方がいいか……。
その時背後のモニターにカウントダウンが表示される。
『後5分で今回の戦場へ転送を開始します』
その時、パーティーメンバーの風峰が話しかけてきた。
「……なぁ柊くん?だっけ?
俺達は少しでも勝率を上げたい……だから」
「わかってる
俺だけ別行動すればいいんだろう?
足手纏いになる前にお前達と離れて単独行動しておくよ」
こいつらの言いたいことは大体わかる。
「物分かりが良くて助かるよ」
「ちなみに私達に助けて貰えると思わないでよね?」
鳴神さんがこっちを見向きもしないでそう言ってくる。
「大丈夫だ」
と言うとエリスさんが初めて口を開いた。
無口で誰とも群れないという噂の彼女はかなり強い《SAI》を持っている。
「一人で大丈夫か?」
「あぁ大丈夫だ
『足手纏い』は要らない……そうだろ?」
俺がそう言うと二人とも安心して前を向く。
しかしエリスはどうやら理解した様だ。
「安心しろ
最低限の援護はしてやる」
俺はエリスだけに聞こえる様にそう言った。
そしてカウントダウンが始まる。
5……4……3……2……1……転送!!
こうして新入生限定ユニオン対抗戦が始まった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
対抗戦フィールド『廃工場』
俺達パーティーはボイラー室の様な場所に転送された。
「これが今回のフィールドか」
「視界はあまり良くないわね」
「……」
中は暗くかなり視界が悪い。
そして障害物も多く隠れやすい。
『全員の配置が完了したのでルールを説明します』
生徒端末から音声が流れる。
『現在この『廃工場』には敵パーティが三つ
敵より早くこの廃工場のマップに表示された解除キーを手に入れてください
そして解除キーを使って敵より先にこのマップの何処かにあるエリア転移装置を起動させて下さい』
『制限時間はありません
先に転移を完了した1パーティのみが次のエリアへ進むことができます
それでは……御武運を』
そこで音声は途切れた。
「よし進もう……じゃあ手筈通り俺達は行くよ」
「あぁ気を付けてな」
三人が居なくなったのを確認して俺も動き出す。
初期装備は近接戦闘武器のみしか持つことができないので俺は今ナイフ2本しか持っていない。
まずは武器を調達することから始めよう。
そのためには武器レイドBOXと呼ばれる物資の入った箱を見つける必要がある。
レイドBOXはマップの様々な場所にあり中に武器やサポートアイテム、特殊付与装備、などが入っている。
もちろん中に入っている武器のレアリティなどはランダムで、簡単に言うとガチャの様なものだ。
「まずは一つ目」
ボイラー室を出てすぐの暗い小部屋に少し青く光っているレイドBOXを見つけた。
ガシュ!!
音がなり中の装備品を確認する。
『 暗視システムコード
KRX-09スナイパーライフル
弾薬箱
弾丸用アーマー 』
暗視システムコードはありがたい。
この暗視システムコードはコードを個人端末に入力することで、暗視モードを有効にできる。
これで暗闇での視界は良好。
武器がスナイパーライフルなので戦い方を変える必要はあるが問題ない。
弾もアーマーもあるので銃撃戦はなんとか凌そうだ。
すると近くで大きな爆発音が聞こえた。
「……始まったか」
俺は音を『無くして』暗い廃工場の通路を走って爆発のあった方角へ向かった。