ハルはミラーレ大森林に帰るのです
「シリウス王子完全包囲完了しました。」
「よし!皆よく聞け!今よりモルソン侯爵とコート男爵を捕らえる!いいか、くれぐれもシトラス家の者を攻撃されるような事があってはならん!特に中にいる少女は命に代えても守れ!少女が死ねばわが王国は滅びると思え!閃光のジド!」
どこからともなくシリウスの前に現れる一人の男
ストッ!
「ここに!」
「お前は部下を連れモルソンの包囲網を突破して、シトラス家に入り、中の者を守れ!特に少女の警護は女の部下にさせるんだ!いいか、絶対少女は死守しろ!いけ!」
ジドの部下数名は、モルソンの包囲網を潜り抜け無事シトラス家の潜入に、成功する
「誰です!」
「モーリスト国所属暗部閃光隊ジドと言います、このたびシリウス王子の命で、皆様をお守りするように言われました。これより我ら閃光隊、皆様をお守りいたします」
その言葉を聞きシトラス家の者達は安堵する
「私達は、助かるのね」
「は!我ら命に代えてもお守りいたします!」
「モルソン様大変です、周りを王都騎士団に囲まれています!」
「なんだとー!何故ここに王都騎士団がいるのだ!」
シリウスがモルソンに向かって叫ぶ!
「私はシリウス、プライム国王が命により、モルソン侯爵及びコート男爵を我が国の最重要要人の虐待及び殺人未遂、我が国の条約違反、住民からの徴収税隠蔽違反で捕縛する!反論は王都貴族裁判で述べよ!」
「くそ!全部あのチビのせいだ!コート!お前はシリウスを殺せ!儂はシトラス家を全員殺す!やれ!」
コート男爵は抵抗を試みるも、シリウスの部隊に捕縛され、モルソンの部下はジトと王都諜報暗部の部隊に捕縛された。
モルソンは最後までくそチビと叫びながら暴れ抵抗したが、ジトにより拘束された。
モルソン達がシリウス達の兵によって鎮圧された頃、プライム国王が到着した。
プライム国王は、連行されるモルソン達に
「モルソンよ!お前達の犯した此度の件で王国存亡の危機を引き起こしたのだ!お前達の悪事の証拠もはっきりと残っておる!覚悟せよ!厳重に警備して連れて行け!」
モルソン達は、うなだれ連行されていく
「父上無事だったのですね、よかった!本当によかった」
「儂はこのシトラス家の者に救われたのじゃ!いや、王国が救われたと言っても過言ではない!」
国王はシリウスを連れてシトラス家を訪れた。
「この家の主はおられるか?」
「はい!私でございます、ミリア・シトラスと申します、お久しぶりですプライム様」
「おお!やはりお前であったか!」
「国王様自らこの地に足を運ばれるなんて、どうされたのでしょうか?」
「こたびのモルソンの馬鹿どものことで、自ら兵を率いて来たのじゃ!ずいぶんとミリアにも迷惑をかけた、申し訳ない」
「いえ!そんな、私こそ助けて頂いて感謝しております、ありがとうございました」
プライムはシリウスに目配せをし、態度をただし、ミリアに敬意を示し深々と頭を下げる、
「此度の件、ミリア・シトラスの行動で我が王国は救われた!瀕死だったハル殿を、手厚く看病し、貴重な薬を使い、見事回復させてくれた。本当に感謝する!後に王都で報奨を渡したいので来てほしい!」
「私は人として当たり前のことをしただけですわ、それより、このハルちゃんって何者何ですか?」
プライムは魔物の行動を説明しハルがどういう存在なのか説明する
「ハル殿はミラーレ大森林の多くの魔物達が慕う姫、全ての魔物の女王のような存在、見たいなのじゃ、事実儂も信じられんかったが、ミラーレ大森林から多くの魔物達が集まり天災、災害級クラスの魔物、喋る魔物が現れそれらが統率されているあり得ない事が起こり、それらがハルを取り戻すために集まった行動だったのだ」
ミリアは、話を聞き驚く
「ミラーレ大森林の姫ですか、信じられないような事ですね、多くの魔物から慕われる姫様だと、なるほど納得しました、それでですね、小さな魔物からこのような物を頂きました」
「何をもらったのじゃ!」
ミリアがプライム国王に加工された結晶石を見せる
「ハルちゃんが教えてくれたんですが、ミラーレ魔光結晶石って言うらしいの、何でもハルちゃんの魔力が込められてるからミラーレ大森林の中に入っても魔物に襲われないし、何かあっても守ってくれるらしいの」
「なんと!また凄い物を…それは恐らくミラーレの魔物達の感謝の現れだと思うぞ!大切にするといい」
「はい!我がシトラス家の宝にしますわ」
「うむ!それでじゃ、儂もそのミラーレの姫とやらを見たいのじゃが」
ミリアは、部屋で遊ぶ少女を示す
「あぁ、それなら、うちの娘と遊んでる髪の長いあの子ですわ」
ミリアが示した方向に二人の少女が仲良く遊んでいた。プライム国王は仲良く遊んでるハルに近づき、挨拶をする
「お嬢ちゃんはハルちゃんでいいのかな?」
プライムが声を掛けると
「は・はい! 」
ブルブルブル
ハルはプライムが近づくと怖くて震えてだす
するとプライム国王はハルの前に膝を折りハルと目線を合わせる
「ハルちゃん、ここに来るまで怖い目に合って、痛かっただろう、辛かっただろう… ごめんなのじゃ」
ハルは目の前の偉い人が立ったままではなく、ハルの目線まで膝をつきかがんで、優しく語り涙ぐみ謝っているのを見て驚いている
「おじさまハルのために泣いてくれてるの何で?おじさまは誰なの?どうして」
「爺は、この国の王での爺の国の悪いやつが、ハルちゃんに痛いことさせてしまったのじゃすまぬ、ハルちゃんが怖くて辛い思いしてるの知らなかった、ほんと何が王様じゃ!このダメな爺をハルちゃんが叱ってくれぬか」
嘘、王様って一番偉い人なのに、ハルのために泣いてくれてる、ハルに叱ってくれって… 偉い人にもこんな優しい人いたんだ、ハルのことわかってくれる人だぁ、それにこの人の魔力優しい感じがするぅ
ハルは、身体の震えも止まり、プライム国王に近づき抱きつく
「ハル凄く怖くて痛くて、 うわーーん
うわーーん 助けてくれてありがうなの 」
「ハルちゃんに悪いことした人は、ちゃんと罰与えるから、もう大丈夫じゃから安心したらええ」
「グスン… うん あいまと おじいちゃん」
「ハルちゃん、が怖い思いをしたこの国には悪い人ばかりではないから、このシトラスのお家の人達のように、いい人もいるからそれでの、ハルちゃんのことを心配して森で待ってる者が、おるのじゃ、儂が送って行くから一緒に戻ってくれぬか… 」
「わかったの♪一緒に行くの!でもハルと手を繋いでくれないなら行かないの」
ハルに認められ嬉しそうにするプライム
「そうか♪こんな爺でも手を繋いでくれるか、嬉しいのぉー」
「おじちゃん、ほんとに国王様?ハルはね、偉い人にいっぱいひどいことされたから、偉い人が近づくと、怖くて身体が震えるの?でも国王おじちゃんは大丈夫なのです!行こ国王おじちゃん♪」
「ハルちゃん、その前にこのお家の人にお礼をな」
「あ!そうなの!ミリアさんハルを助けてくれてありがとうなの、また遊びに来てもいいですの?」
「もちろんよ!エリアも楽しみにしてるから来てあげて」
「うん♪ 森のハルのお家にも遊びに来てください!エリアたんまたなの!」
「ハルちゃんまたね♪バイバイ!」
プライムは、ハルの手を取り言葉をかける
「じゃ行こうかの!」
「はいなの!」
「父上、私も同行しましょうか?」
「ならぬ!ハルちゃんが怖がっておる!心配せずとも大丈夫じゃ!森の入り口には儂一人で行く!皆もついて来ることはならん!」
こうしてプライム国王はハルと手を繋ぎ魔物達の待つ森へハルを連れて行った。
ハルはプライムから手を離すと森に向かって走り出すと、魔物達がハルを迎えに出て来るのを見て魔物達にハルが飛びつきハルの嬉しそうな声が聞こえて来る、そして、巨大なミラーレタイガーに乗って手を振りながら森の中に消えて行った。
国王は一人その信じられない光景を見てハルが魔物と共に消えた森を見つめていると、森の中からハルの元気な声が聞こえた
「おじちゃん国王様ぁー♪またなのーー」