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漂流ロックバンドの異世界ライブ!  作者: 桜餅爆ぜる
第三章『ロックバンド、砂漠の国を往く』

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十六曲目『ライブハウス』

 屋敷に住み着いたシャンゴーツを討伐して、次の日。

 もう一度屋敷に来た俺たちは念のために聴覚強化(マルカート)を使って屋敷中の音を聞き、完全に討伐し終わったことを確認してからアレヴィさんに報告した。


「これで依頼は完了だねぇ、お疲れさん。んじゃ、清掃と修理は私の方で手配しておくよ」

「ありがとうございます!」


 アレヴィさんの計らいで依頼の報酬である屋敷を清掃し、ライブハウスのように改造してくれることになった。

 これでようやく俺たちのライブハウスが手に入る。元の世界でも、Realize専用のライブハウスなんて持ってなかったからな。


「ハッハッハ! オレたち色に染めてやろうぜ! さぁて、どう改造(リモデル)するよ?」

「一番重要なのはコンサートホールだよね。場所は女王がいた食堂にしようか?」

「賛成! あそこなら広いし丁度いいよ! スポットライト当てて、派手にしたい!」

「ちょっと待った。スポットライトなんて、この世界にあるのか?」

「……ライブ、早くしたい」


 屋敷の改造の前に、俺たちはどんなライブハウスにするのか話し合いを始めた。

 全員が興奮し、色んな意見を出し合う。これは楽しいな。元の世界でも、ライブハウスを作ってみようかな?

 そんなことを思いながら清掃は終わり、とうとう修理の日になった。

 俺たちは集められた大工たちにどんな風に改造したいか要望を出し、大工たちが動き出す。

 俺たちも手伝い、急ピッチで工事が進められた。


「噴水の前でやったあれ、最高だったぜ!」

「らいぶ、って言ったか? それを今度はここでやるのか?」

「そん時は俺たちを呼んでくれよ! あれ聴いた時から耳から離れなくてな! もう一回聴きたいんだ!」

「俺も仕事放棄して聴きに行くぜ!」

「ばっきゃろう! お前、この間もギャンブルして嫁さんに怒られただろ! また怒られても知らねぇぞ!」


 大工たちも俺たちのライブを聴いてくれてたみたいだ。

 豪快に笑いながら作業をする大工たちに、俺は思わず笑みがこぼれる。


「ありがとう! ここにいる全員、招待するよ!」

「ハッハッハ! 最前列で聴かせてやるぜ!」


 俺とウォレスの言葉に大工たちは歓声を上げていた。そんなにいい反応をしてくれると、本当に嬉しくなるな。

 気合いが入った俺たちは大工たちと一緒にどんどん工事を進めていく。


 そして、一週間後……ようやく俺たちのライブハウスが完成した。


「__完成だぁぁぁぁぁ!」


 俺の叫びに、全員が雄叫びを上げる。

 完成したライブハウスは、以前の屋敷に比べて様変わりしていた。

 ボロボロだった外装は木目調のシックな装いに。入り口を大きくして、観客が入りやすいようにした。

 内装もガラッと変えて廊下を広く、そしてちょっと薄暗くして非日常感を感じさせるように。ついでにトイレを増やしておいた。

 道案内も付け、その先にあるのは食堂を改造したコンサートホール。これがこのライブハウスの目玉だ。

 元々広かった食堂を一回り広くし、正面には俺たちが演奏するステージ。観客席は立ち見だけにしたのは、ウォレスのこだわりだったりする。


「座ってお行儀よくなんて、そんなの認めねぇ! 立ってガンガン盛り上がってくれないとな!」


 とのことだ。

 コンサートホールも結構薄暗くして、ステージにスポットライトが当たるようにしている。

 異世界にはスポットライトなんてものはないけど……そこはちょっと工夫した。

 この異世界には珍しい鉱石があり、その中の一つである<幻光石(げんこうせき)>という魔力を送ると光り出す鉱石を使った特別仕様だ。

 しかも幻光石は魔力を送った人の属性によって色が変わり、火なら赤、水なら青、風なら緑、土なら黄色。そして、雷は別でストロボライトのように一瞬強い光を放つことが出来る。

 ライブをする時はユニオンメンバーの人に照明係りをお願いするつもりだ。


「うわぁ……あたしたち専用のライブハウスなんて、夢みたい」

「ハッハッハ! 素晴らしいマーベラス!」

「これはテンション上がるね!」

「……今度はここで、ライブ。早く、やりたい」

「きゅきゅきゅー!」


 完成したライブハウスを見て、俺たちは感動に浸る。

 初めての俺たちRealize専用ライブハウス……控えめに言って、最高だな!


「おー、完成したのかい?」


 そんな俺たちにアレヴィさんが声をかけてきた。

 アレヴィさんはライブハウスをマジマジと見ながら、満足げに頷く。


「ここなら存分に、らいぶが出来るだろうね。で、次はいつにするんだい?」


 俺たちはアレヴィさんの問いかけに、ニヤリと笑みを浮かべる。

 そして、俺ははっきりと答えた。

 その答えにアレヴィさんは目を丸くし、腹を抱えて笑い出す。


「あっはっはっはっは! そうかいそうかい、そいつはいいじゃないか! ちょっと待ってな!」


 一頻り笑ったアレヴィさんは一度この場から去る。

 数分ぐらい待っていると、アレヴィさんはまた戻ってきた。

 後ろに大勢の人たちを連れて。


「__タケル! さっき言ったことをこいつらに教えてやりな! 全員、あんたたちのらいぶを聴いた奴らばっかりだ!」


 連れてこられた人たちは何が始まるのか戸惑っている様子だったけど、俺たちを見るなり期待に満ち溢れた視線を送ってくる。

 アレヴィさんは俺たちに、絶好の場を与えてくれたんだ。

 ありがたい。これは、期待に応えないとな!

 魔装を展開し、切っ先を地面に突き刺してマイクを口元に向ける。

 ゆっくり息を吸ってから、叩きつけるように声を張り上げた。


「__皆さん、こんにちは! 今日はお集まり頂きありがとう! ここは今日完成した俺たちのライブハウス……ライブをするところです!」


 ビリビリと空気を震わせる俺の声に、集まった人全員が拍手で答える。


「そして、俺たちは明日の夕方__ここでまた、ライブをします!」


 俺の宣言に、全員が爆発するように歓声を上げた。

 みんな俺たちのライブを待ち望んでくれてたみたいだ。ここまでハマってくれるなんて、バンドマン冥利に尽きるな!


「今回はチケット制……あー、簡単に言うとお金を払って貰うことになるんですが、それでもよければ来て下さい! その代わり、前のライブ以上に最高な演奏をしてみせます! 後悔はさせません!」


 料金を払うことになって反対する人が出てくるかと思ったら、みんなの反応は特に気にしてないどころか賛成の意見ばかりだった。

 聞こえてくる声には「あれだけのもんが無料だったのがそもそもおかしい!」や「あれ以上のものが聴けるならいくらでも払ってやる!」という嬉しいことを言ってくる人もいる。

 そこまで言われたら、燃えない訳にはいかないよな!


「ありがとうございます! 詳しくは後ほどご連絡しますので、色んな人に声をかけて下さい! お待ちしております!」


 最後にそう締めくくると、歓声と拍手が巻き起こった。

 という訳で、俺たちRealizeのヤークトに来て二回目のライブは__明日の夕方、このライブハウスでやることになった。




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