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漂流ロックバンドの異世界ライブ!  作者: 桜餅爆ぜる
第十五章『くだらない戦争に音楽を』

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『ウォレス』

 夢や希望なんてありやしない、生活環境は最悪で治安も悪りぃスラム街。

 掃き溜めだらけのゴミ捨て場(カベージタンプ)__それが、オレの故郷(ホームタウン)だ。

 父親(ダッド)はオレが十歳の時にいなくなって、残されたのは母さん(マァム)とオレを含めたガキが七人。

 オレたちを養うために母さん(マァム)は毎日夜遅くまで働いてたから、長男のオレが小さいガキどもを世話して、守ってた。

 生きるために必死で、どっかからメシをかっぱらった時もあった。酔っ払いに殺されそうになった時もあれば、人攫いからガキどもを守って戦った時もある。


 そんな日々の中で、オレは気付いた。生き残るために必要なのは、(パワー)だって。


 食うのに困らない経済力、街で暮らしていくための権力、生き残るための知力……色々あるが、十歳のオレにそんなもんあるはずがねぇ。


 だから、オレは誰にも負けねぇ力。家族(ファミリー)を守る力に、筋力を選んだ。


 金がなくても体は鍛えられる。腕っぷしがあれば誰にも負けねぇし、体を張って守ることだって出来る。

 オレは体を鍛えて筋力を付けることにした。最初はガリガリだったが、鍛えれば鍛えるほど体はデカくなって、強くなった。

 身長もグングン伸びて、気付けば街でオレやオレの家族(ファミリー)に手を出す奴なんていなくなった。

 しかも、スラムの仲間とバスケして遊んでいたら、NBAにスカウトまでされた。まぁ、結局は音楽(ミュージック)の道に進んだがな。


 それもこれも全部、筋力を付けたからだ。弱かったオレにスラムで生き残る力を、家族(ファミリー)を守る力を、夢が見られるほどの力をくれたのは__全部、筋力のおかげだ。


 だから、オレは筋力を、筋肉(マッスル)を心の奥底から信じてる。それこそ、音楽(ミュージック)と同じぐらいに。


 そして、オレは掃き溜めのスラム街から母さん(マァム)やガキどもに背中を押されて、日本(ジャパン)に来た。


 そこで出会ったのが、Realize。やよいと真紅郎、そしてタケルだ。


 さらに、この異世界に来てからサクヤとキュウちゃん、それにあの一条明日香まで仲間になった。

 全員オレと同じぐらい、音楽バカだ。人種も性別も関係ねぇ、音楽(ミュージック)が死ぬほど大好きな集まりだ。

 気のいい奴らだ、一緒にいてめちゃくちゃ楽しい。

 やよいは時々容赦なく殴ってくるし、真紅郎は時々怖ぇし、サクヤは何考えてるのか分かんねぇかと思いきや意外と分かりやすかったり、キュウちゃんはいつまで経ってもオレに懐いてくれねぇし。

 それに、タケルは時々オレよりもバカな時があるが……最高の仲間だ。


 いや、仲間じゃねぇ__家族(ファミリー)だ。


 あいつらがどう思っているかは分からねぇが、オレはもう一つの家族(ファミリー)だと思ってる。

 だから、もしもあいつらに何かあった時は、オレが体を張って守る。鍛えたこの筋肉(マッスル)で、何がなんでもあいつらを守るって決めた。


 でも、違った。あいつらはただ、守られているだけのタマじゃねぇ。


 オレが何かあった時は、あいつらが守ってくれる。あいつらが何かあった時は、オレが守る。

 全員が力を合わせて、どんな困難にも立ち向かう。それが、Realizeだ。


 そこでオレは初めて知った__協力(コーオペレイト)って言う、(パワー)を。


 スラムでガキどもを守ってた時は、一人だった。周りの奴らは信用出来ねぇから、一人で戦うことしか知らなかった。

 だけど、今は違う。

 オレにはRealizeがいる。信頼出来る仲間、家族(ファミリー)がいる。最高(オーサム)じゃねぇか。


 オレには真紅郎みてぇに難しいことを考える知恵も、知識もねぇ。やよいみてぇに人を集めたり、纏めるリーダーシップもねぇ。サクヤみてぇに音楽(ミュージック)の才能もなければ、タケルみてぇに困ってる奴を見てすぐに飛び出せるようなヒーローでもねぇ。


 オレが出来るのは、鍛えた筋肉(マッスル)で仲間のピンチに体を張ることだけだ。


 それしかないのかって? ハッハッハ! そいつは違うぜ! 他のことは、仲間がやってくれるんだ!


 __体を張ること、それこそがオレのRealizeでの役割(ロール)なんだよ!






 

ここからはウォレスの一人称で物語が進みます。


ご了承下さい。

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