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ミサカズ一派

 ミサカズ一派は村を地獄へ変えていた。


 村の広場でミサカズの取り巻きは地獄絵図を描く。

「ははは! さあ、謝れ!」

 男性はミサカズ一派に激怒し、勇気を出して抗議した。その結果口を開くことができない体にされ、なぶり殺しにされている。


「そこのお前! 俺らに文句があるのか?」

 彼らは目についた者すべてに噛みつく狂犬である。


 今、狂犬の殺処分が始まる!


 広場に居るミサカズ一派の首が一瞬でへし折れる。

 彼らは力なく地面に倒れる。

 その傍に立つ暗殺者は何も言わずに物陰へ隠れる。




 村はかなり大きく、立派な娼館が一つある。

 それは今やミサカズ一派の手に落ち、日夜、耳を塞ぎたくなる女の悲鳴が木霊する。


「もっと泣け!」

 目も覆いたくなる鬼畜の所業を笑いながら犯す。その様は悪鬼に他ならない。


 その背中に指が突き刺さる。


「ガハ!」

 肺が血で満たされ、呼吸ができなくなると、酸欠の金魚のようにパクパクと口を動かす。


「五秒だけ命乞いしてください」

 暗殺者が耳元で怒りを囁く。


「私たちは殺しを楽しむことを禁止されています。相手に謝罪の言葉を述べさせることも許されません」

 ミリミリと暗殺者の指が蠢く。


「ですが命乞いを! 私の家族を嬲ったことに心を込めて命乞いを!」

「か、ゆ、ゆるじで……み、ざがずに、おどざれ!」

「あと三秒です」

「お、れ! じにだぐない! だずげで!」

「あと一秒です」

「よ、ばでだだげなのに! なんでごんなめ、に……」


 暗殺者はガクリと絶命した死体にため息を吐く。

「私たちだって、あなたのような屑を呼びたくなかった!」

 暗殺者は指を拭うと娼館に巣食う鬼畜たちを始末していった。




「おい! 酒がねえ!」

 ミサカズは、とある家族の妻に腰を振らせながら、家の隅っこで怯える娘に酒瓶を投げつける。

 酒瓶は娘の頭で跳ね返ると、冷たくなった父親に当たる。


 母親が悲鳴を上げると拳を叩き込んで黙らせる。


「屑どもが」

 息も絶え絶えな母親の髪を引っ張り、犯しなおす。


「ああ! 面白くねえな!」

 ミサカズは突然激怒すると母親の顔面に渾身の拳を叩き込む。

 ミサカズは頭蓋が割れた音も気にせず服を着ると、ドアをけ破って外へ出る。


「何か面白いことねえかな?」

 ミサカズは常軌を逸した目でギロギロと闇雲に何かを探す。


 足を止める。

 獣になり下がったためか、獣と見間違うような目で周囲を見る。


「何見てんだてめえらは! 見てたのは分かってんだ!」

 少しすると明りの付いていない家に飛び込む。


 多量の飲酒を続けると麻薬などと同じく幻覚や被害妄想を発症する。

 ミサカズはそんな知識など無いため、暇つぶしとカッコつけで飲酒を続けた。

 それどころか法律を軽視する自分に酔っていた。


 結果、ミサカズの脳は焼き切れ、理性を失った。さらに勇者の力は健在のため、恐るべき怪物と化していた。




「ミサカズの姿が見えない!」

 イーストはミサカズ一派の死体を一つ一つ確認していると、信じがたい知らせを聞く。


「宿に居るエリカたちはもちろん、殺害前にミサカズ一派数名を尋問しましたが、どこで寝泊まりしているのか分からない状況です」

「仲間にすら知らせていなかったか。用心深い奴だ」

「ただ、村の外へ逃げたのか確認しましたが、足跡などは見つかりませんでした」

「……人家だ!」


 そこから数時間かけてローラー作戦が実行される。その結果、とある家族が朝の水くみに姿を見せていないことが分かった。

「行くぞ!」

 イーストたちは雪崩のようにその家族の家に踏み入る。


「ははは! もっと絞めろ!」

 イーストたちはミサカズが酒瓶片手に女の首を締め上げて犯す姿を目の当たりにする!

「あ? あんだてめえら! 殺すぞ!」

 グキリと女の首が鳴った。


「外道が!」

 イーストの拳がミサカズの胸を貫く!


「が!」

 ミサカズは目を見開くと血を吐きだす。


「ぐ、ぐぞ、やろうが!」

「獣に言葉は必要ない! ただ死ね!」

 ギリギリと拳をめり込ませる。しかしミサカズは筋肉を隆起させる!

「でめえらなんぞにごろざれるが!」

 隠密たちは暴れるミサカズを取り押さえる!

「殺された人々の十分の一でも痛みを味わえ!」

 何度も何度も殴打が始まる。


「が! やめ!」

 歯が欠けても終わらない。

「じぬ!」

 骨が折れても終わらない。

「ごめんな」

 血が噴き出しても止まらない。

「じ! じにだぐない!」

「お前に殺された全ての人が思った言葉だ!」

 強烈な一撃が心臓を貫く。


 ミサカズは目を見開いたまま絶命した。




「後はエリカたちを連行するだけです」

 イーストたちは憎らし気な目でミサカズの死体を睨み続ける。


「集めているな」

「はい。サカモトの死体を見せつけたら大人しくなりました」

「ミサカズたちの死体も並べろ!」

「はい!」

 数人の暗殺者がフードのまま家を飛び出す。残った者はミサカズの死体を運び出す。


「そもそも、他の世界に力を求めるのが間違っていた」

 イーストは拳を握りしめる。


「超人薬を作るためには万年樹の森が必要不可欠! 必ず我が手で再生する!」

 決意を握りしめると、足を怒らせて外へ出た。


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