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第二章②

 あ、そうだそうだ…今ので思い付いたが…ならばこれはどうだ?

(ねぇねぇ、今ならクローンって作れるの?)

「いや、クローンは無理みたいだ…どうしたんだ?」

 クローンは無理?本当かな?私が五歳ぐらいの時になんかの細胞を開発してノーベル賞を取った人がいたんだけどな。

 ん?記憶がないのに都合良くなんでこんなことが分かるんだ?昔は理系ななんかだったのだろうか?

(いやぁ、今の時代ならさ…クローンぐらい簡単かなって思ってさ…)

「おいおい…まさかマヤナと自分が似てるからクローンかもって話か?」

 あれ?様付けなくていいのかな?

 言うのも野暮な気がしたからツッコまなかった。

 更にアキヒコは続けた。

「ん〜まぁ、確かにありえなくはないがお前がコールドスリープ中には生まれてきているんだぞ?凍った組織ではそういうことは難しいと思うぞ」

(え〜そうかな?まぁ、意外と科学は進んでないのね…)

 私の家族…の記憶はないわね、もしかしたら自分の兄弟姉妹の子とも思ったけど…。

 また機械音が鳴った、さっきとは違う音だ。

「キムラ、私だ…開けろ」

 女の声だが、研究員の女の声ではなかった。

 マヤナの声でもない、別の女だ。

「あ、やって来たか…分かった」

 アキヒコがそう言うと私から離れた。

 部屋の明かりが点くとドアの開閉音が聞こえる。

「…排泄物を採取するからあなたは向こう向いててよ」

 女がアキヒコに言う。

 どうせされるだろうとは思ったけど、採取するって改めて分かると良い気分ではないな。

 女が私に近づいた。

 女は茶髪で色白の肌をしていた。

 外国人ではなく、日本人のようで瞳は黒くアジア系特有の顔をしていた。

「THX-一一三八CAを今から起こし、排泄行為を行わせます…THX-一一三八CA、宜しいですか?」

 私はあんまり動かない首を縦に振った。

「宜しい…では足の鎖を外し、トイレまで誘導しますね」

 女は右腰に付けていた鍵を取り出し、鎖の鍵を開けた。

「さぁ…これで立てるでしょ?」

 私はベッドから降りようとしたが、体を上手く動かすことが出来ない。

 テレパシーで話していたがもしかしたら本当にまともには話す事が出来ないのかもしれない。

 拘束衣をしているから上手く動かす事が出来ないのもあるが筋力等が衰えている感じがする。

 私は女をジッと見つめると女は困った表情をして口を開いた。

「なんだ…自分では立てないの?仕方ないわね…尿瓶で採るか…」

 え?尿瓶?マジかよ、でも仕方ないか…。

「…そりゃあだって、口もまともに聞けずにテレパシーで話すぐらいだからな…立てるわけないよな…」

 アキヒコが鼻で笑いながら言う。

 すると女がアキヒコを見た。

「…え?何?今なんて言ったの?もう一度言って?」

 女の口調が変わった、さっきまで堅苦しい口調だったのが友達と話すように砕けた口調になっていた。

 しかし、砕けた口調ではあったが鬼気迫ると言うのか何か緊張感のあるような口調でもあった。

「だから、口もまともに聞けずにテレパシーで話すぐらいだから自力で立てるわけないだろって言ったんだよ…寝ぼけてんのか?」

 アキヒコは少しイラついたような口調で話すと女の表情が変わった。

「テレパシー?この子使えるの?本当に?マジで?嘘じゃないよね?冗談じゃないよね?本当のことを教えてよ?」

「…だったら自分で話してみろよ」

「THX-一一三八CA、私の名前はミナ・アンザイ…言ってみて?」

 私は口を開いて話そうとした。

 上手く声が出ないが微かに声を出す事が出来た。

「」

 うわぁ…我ながら変な声だ、上手く伝えられたか心配だな。

 それにしてもこの人の名前はミナって言うのか。

 あれ?でも記憶に残っていないんだ?

「なんだ…声出して言えるじゃない…声は小さいけど…」

 ミナはホッとした表情を見せるとまたアキヒコに言う。

「…え?そいつ何か言ったのか?俺には聞こえなかったぞ…」

 そりゃあ、私の声が小さかったからね。

「いや、待てよ…THX-一一三八CAはここで待ってて…」

 するとミナはモニターに近づく。

 画面を手にかざし、何か色々操作し始めた。

 何かのグラフを出すと手を上げ下げしていくと合わせて画面が変わっていく。

 するとミナはアキヒコの方を向いた。

「えぇッ!?本当にこの子はテレパシーを使っているのッ!?」

 ミナはかなり大声で叫んだ。

 耳がキィーンとなるほど大きかった。

 いや、本当は大した音ではなかったのかもしれないがまだ慣れないからか大きく感じたのかもしれない。

「…だから言ってるじゃねぇか」

 すると、ミナが腕時計に向かって話しかけた。

「こちら、0四0九号室ッ!ミナ・アンザイッ!実験体THX-一一三八CAがテレパシーを使用する模様ッ!至急マヤナ様を起こせッ!」

 どうやらあれで連絡出来るようだ、便利な世の中になったものだなぁ〜。

 …って違うッ!連絡するってことは何かあるからだッ!

 多分、私はテレパシーを使ってはいけなかったのかもしれない。

 しまった、そもそも自分でも思っていたことじゃないかッ!

 ()()()()()()()()()じゃないのかと…。

 しかもマヤナを呼ぶだと〜ッ!?やばいやばいやばいッ!まさか…殺されるッ!?

 ならば、手段は選ばないッ!

 体が上手く動かす事が出来ないなら…まだマシな頭を動かしてやるッ!

「キムラァッ!?何故テレパシーを使うのに報告しなかったのッ!?」

「え?報告しないとやばかったか?」

 かなり焦っていて感情的な口調になっていたミナとは対照的にアキヒコの口調が少し惚けた感じであった。

「当たり前…うぅ…」

 私はミナからスキャンを始めた。

 私は目を閉じて一方的にテレパシーを送るように念じた。

 スキャンで相手の全てを解析し、脳波を捻じ込める。

 脳波を捻じ込めたら脳を破裂させるようなイメージを送り、徐々に徐々に力を加えていく。

 力を加えていく…妙な表現かもしれないがこれが一番しっくりくると思う。

 するとミナはかなり苦しいのか苦悶の表情を見せ始めた。

「や、やめて…あ…頭が痛い…」

「お、おい…何をしているやめろッ!ミナに手を出すなッ!」

 アキヒコが叫びながら腰に付けていた銃を取り出し、私に向ける。

 私はアキヒコにも念を送る。

 アキヒコも呻き始めた。

 とりあえず、二人は殺しておこう。

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