夢の果て
私は夢で空を飛んだことが無い。
私が見る夢は大きく分けて二つに分かれる。
一つは旅行する夢だ。
見覚えの無い場所へ、何かしらの乗り物に行ってそこへ向かうのだ。
乗り物は決まっていない、観光バスや船、あるいは列車だ。
しかしながら、夢らしく不条理な乗り物となっている。
例えば列車の場合では、現実ではありえないようなグネグネに曲がった線路を通ったり、途中から線路が無くなっても、誰も不思議がらずそのまま走り続ける。
そう言えば線路から降りても大丈夫なのか、夢の中の車掌に聞いたことがある。その時の答えは、
「はい、大丈夫ですよ。列車が線路しか走れないという問題を解決したのは、列車の神とされるXXXで、彼のおかげで今の列車社会があるのです」
人物名は分からなかったが、夢の世界では解決されているようだった。
旅行の夢は中々楽しいのだが、一つ問題がある。
何度見ても目的地までいけないのだ。
何時になったら私は目的地につけるのやら。
もう一つの夢は、誰かに追われる夢だ。
この夢は私は嫌いだ。
まず誰、いや何かに追われている事は間違いないのだが、何に追われているのか全く分からないのだ。
それでも私は走って逃げ続ける。
そして、途中から必ず階段を上り始めるのだ。
階段は途中で何度も変わる。
学校の階段、病院の階段、地下鉄の階段、ビルの階段、マンションの階段……。
登るたびにあらゆるシーンに流転し、グルグル回りながら私は駆け上がる。
そのうち、足が鉛のように重くなる。
階段を一歩上がろうとしても、足が地面から離れなくなる。
そのうち、自分を追いかけるモノが、私に迫ってくる。
この時、私は、「あ、これは夢だ」と、認識するのだ。
認識した時、私は空を飛ぼうとする。
飛べ、飛べ、飛べ、飛べ、と、何度も念じるのだが、足は鉛のままだ。
そのうち、追うモノが私の後ろの来た時、目が覚める。
私が空を飛ぶか、追うモノが私を捕らえるのか、どちらが先になるだろう。