鈍感女と不憫な幼馴染
短編第二弾です。
なんかすごい感じになってしまいました。
私、春川明は今年で20になった。
そして、成人したと同時に、彼氏いない歴20年を極めてしまった。
「南ぃぃぃ~私はどーしたらいいんだ!なぜ彼氏ができないんだぁぁぁ!」
「うるさいし、周りのお客さんも困ってるから叫ぶのやめろ」
「なんだよ~傷心中の幼馴染の慰めぐらいしろよ~
優しい言葉ぐらいかけろよぉぉ・・・」
「ナニコイツ、絡み酒超ウザイ」
「辛辣!!?」
そう、この超冷徹辛辣な幼馴染こと、七瀬南。
南なんて女っぽい名前をしてるけど正真正銘男だ。
くせ毛の黒髪に黒縁眼鏡。
顔はそこそこ悪くはないはず・・・。
「で、珍しくお前から連絡が来たと思ったら
俺はお前の愚痴を聞くために呼ばれたわけ?
・・・・期待した俺がバカだった・・・」
「Yes!!そーですよー
あ、なに最後聞こえなかったーなんて言ったの?」
ざわざわと騒がしい居酒屋で、南がボソッといった
言葉が聞こえなかった。
またどーせ私の嫌味だろ!
「・・・別にお前ってホントバカで鈍感だな」
「え?明ちゃんは美人で巨乳?知ってますよぉぉ~
そんなこと一目瞭然でしょ~」
「とんだ、聞き間違いだな」
「大体さぁぁぁーイケメン(笑)の南さんにモテない女の苦しみがわかりますかぁぁ?」
そーだよくよく考えれば南は昔からモテてた気がする!
顔よし、頭よし、家柄も良しときたもんだから
高校の時はすさまじかったなぁ・・。
美人で、かわいらしい彼女をとっかえひっかえ・・・。
あ、思い出したら、腹が立ってきた
よし!こーなったらもーやけ酒じゃぁ!!
「はいはい、わかったわかったから酒飲むのやめろ飲みすぎだバカ」
そう言って、私が飲んでたグラスを取り上げ
残ったお酒を飲む。
「・・・・」
「何?」
不思議そうに私のグラスにいまだに口をつけている南。
もう一度言おう
私のグラスに口をつけている南。
つまり・・・・それって・・
「間接キス・・・?」
「ぶっ!!?」
ブジャァァ!っとまるで漫画のように、私の顔面に今飲んでいたお酒が噴出される。
「ちょ!おま!汚いなおい!」
「ゲホゲホ!!」
激しくむせる南、びしょ濡れの私。
何このカオス・・?
「ちょ大丈夫南?」
「だ、大丈夫」
まだ少しむせている南におしぼりを渡す。
あ、しまった、自分を先に拭けばよかった。
「で、何むせてんだ南さんは~てか私、服どーすりゃ言い訳?
一応このブラウスお気に入りなんですけど・・」
まぁ、セールで一着千円だけどな!
「・・・今のはお前が悪い!!」
「はぁ!?なんで!?」
大体こいつは何んで逆切れしてるわけ!?
怒りたいのはこっちだーつーの!
「お前が変なこと言うからだろ!この超鈍感!この貧乳!!」
「上等じゃ!その喧嘩買った!」
ひ、貧乳って言いやがった・・・
ユルサナイ私が一番気にしてることを!!
「貴様ぁぁぁ死ぬ覚悟はできてるんだろうな!このくそめがねぇぇぇ!!」
バン!と机に手をつき勢いよく立ち上がり
南の胸倉につかみかかる
「うるせぇぇ!この貧乳!
つうか、首しまってんだよ離せ!」
「お前ええ!!貧乳を二回言ったななぁ!わかって絞めてんだよバカ!!」
ギャーギャーと喧嘩を始めた私たちに
とうとうお店の人が
「お客様申し訳ありませんが、ほかのお客様の
ご迷惑となりますので・・喧嘩はちょっと・・」
と言われた結果・・・・
「・・・南のせいだからね!もーあのお店いけない・・」
「ざけんな、お前のせいだろバカ」
「違うし、絶対南のせいだもん・・」
追い出されました・・・。
あぁーものすごく恥ずかしかった。
周りのお客さんはナニコイツら痴話喧嘩か?みたいな目で見てくるし。
「大体南が」
悪いんだよっと言おうとすると
「悪かったな、服お気に入りだったんだろ?」
気まずそうに、顔をしかめながら謝る。
「・・うん。私もその・・ごめん言い過ぎた・・ちょっと大人げなかった」
昔からそうだった南と喧嘩した時、私はすぐに謝れない
ごめんって言う一言がいつもうまく言えない。
友達と喧嘩した時はすぐにごめんって言えるのに
南との喧嘩の時はいつも謝れない。
だから、南と喧嘩した時はいつも南から謝ってくれる。
「まぁ、お前が大人げないのはいつもだろ・・ほら、かえって飲み直すぞ」
そして、喧嘩の後は決まって頭をクシャって撫でる。
それがたまらなくうれしくてほっとする。
「・・うん!よーし!じゃぁ南のおごりね!」
「ふざけんな、お前も出せ」
「えーーだって南が言ったんだよ!やっぱ言いだしっぺが出すべきでしょ!」
「・・はぁぁぁーーわかったわかった!!その代り飲むのは明の家な」
「やったー!流石南!大好き!」
「・・あーー・・・うんハイハイわかってる、俺も好きだ」
「あれ?南さーん顔が赤いですよー?」
「うるせぇですよ明さん。早くコンビに行くぞ!」
プイっと横を向く南
あ、耳まで真っ赤だ・・。
お酒で酔ったのか・・?
それとも私が言った大好きに反応して・・
なわけないか~
あの南だしね!
そんなことより南のおごりなんだったら
ここぞとばかりに、いろんなものかごに入れてやろっと!
「あ!ちょっと待ってよー南~!」
おいて行かれる~と、少し先に歩く南を追いかける。
こうして、鈍感女と不憫な幼馴染の恋はいつも一進一退していくのです。
そして、いつか南の気持ちが明に届くような・・・
届かないような・・・感じになるのはまだ先のお話・・・・。
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
終わり方が、むちゃくちゃですいません・・。