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可創源日  作者: 空端 明
第一章 氷窟
8/10

氷窟パズル①

 私は慎重に氷の上に足を下ろし、来の近くまで滑って行った。氷の塊で停止すると、私の着いたところから左ななめ前に来がいることになる。


「ありがとう。助かった。」

「間に合ってよかったよ。……なんで滑っていったの?」

「いや、浮いていればそのまま自由に行けるかな~って思ったんだけど、なんでか落ちた。」


 どれ。

 試しに私も足元に風を起こして、浮くのと似たような状態に……しようとしたが、何の変化もない。

 本当だ。


「うーん。たぶん、ズル防止のために、浮遊魔法とかは無効になるのかな?」

「そういうことか。ってか、さっきのすごかったな! 魔法?」

「んー、似ているけど、ちょっと違う?」


 まあ、正直自分でもよくは分かっていないんだけど。

 魔法はエネルギーの元があれば結構何でもできるけど、私ができるのは、すでにあるものの状態を変えるだけだからなあ。場違いな例えかもしれないけど、化学変化と状態変化の違いみたいな、そんなイメージ。


「じゃあ、私は一旦向こうに戻るよ。」



 入り口に戻ると、さっきはポカンとしていた二人からも賞賛を浴びた。


「ただいま。」

「なんかすごかったみたいですね。僕も見たかったです。」

「あ、うん。機会があればいつでもいいよ。」


 きなちゃんもいつの間にかスケッチブックを取り出し、『すごい』と書かれた文字を見せてくれた。わざわざ書いて伝えるほどかな。


「あ、ありがと。」


 好意は素直に受け取ろう。



「さて、これからの作戦を立てないとね。」

 今のところ判明していることは、氷の上では滑って止まれないことと、止まるには障害物にぶつからないといけないこと。そして目指すは、入り口から見て左奥に見える、更に地下へと下る階段ということだけだ。そのうえ、来もちゃんとしたルートに助け出さないとならない。

 うーん、こんなパズル見たことあるな……。


「ええと、どんな状況か、説明してもらってもいいでしょうか?」

「うーんとね、ちょっとしたパズルを解かないといけないみたいなんだよね。どんなパズルかというと……。」


 私はさっき心の中でまとめたことをそのまま伝えた。


「では、僕が力になれそうなところはなさそうですね……。」


 影人は少し寂しそうな声で言った。


「そんなことないよ。ここに入るときも活躍してくれたでしょ?」

「そうですかね……。」

「そうだよ。じゃあ、はじめに私が一人で偵察してくる、ってことでいいかな?」

「はい、お願いします。」

 きなちゃんもこくこくと頷いていた。



 二人の賛同が得られたので、私はスタート地点の通路からまっすぐ進み、先ほど来と話したところまで滑って行った。

 初めの一手はこれしかない。ルートに選択肢が出てくるのは次からだ。


「なあ、星河。今どんな状況?」

 来が声をかけた。

「今のところ、私がどこを通ったらいいか調査することになった。……けど、来も本来の道に戻らないとどうにもならないからね。それも考えながらやるよ。」

「頭が上がらないわ……。」

「あはは……。気にしないで。他のとき助けてくれればいいよ。」


 さて、気を取り直して、次はどちらに進むのか決めないと。

 周りを見ると、左右に氷の塊――というか、ストッパーがある。右の方がやや距離は近いか。マスで考えると、一マス分程度かな。


 間違いだとしても、そこからもう一方にも行けるから、とりあえず……右にしよう。


 勢いと重心移動で、右の短い距離を進んだ。安全のためだから仕方ないけど、移動の時間が少しじれったい。


 ここから行けるところは……っと。


 私は左右を交互に見たが、どちらも氷の台の端しか見えなかった。


「はずれか……。」


 その場でぐるりと体の向きを後ろに変えて、先ほどいた所を止まらずに通過し、左側と形容したところに止まった。

 んー、頭がこんがらがるな。一番最初にした移動を、南から北へ行ったとすると、ここまでは北→東→西と進んだことになる。

 遊びでやるときとは違って、実際自分がパズルの中にいるとなると、全体が見られないから案外難しいな。

 さて、次は……。


挿絵(By みてみん)

パズルは著作権が怖いので自作しました。

まさか創作をやっていて自分でパズルを作ることになるとは夢にも思いませんでした…。

どこか間違っているところがあるかもしれません。解き味は知らん。

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