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可創源日  作者: 空端 明
序章
1/10

夢の呼び声

 夢を見た。


 あの日、あのとき見た風景と、全く同じだったから、またあの人が訪ねてきたのかと思った。

 この宇宙色の空間のなかでは、感情があまり揺れなくなる。なので、さして驚きはしなかったが、広いだけの空間に現れたのは、全くの別人だった。


 ――いや、人……なのかな?


 長く伸びた白い髪の間から覗く耳は先がとがっていて、背中から水色の薄い羽が左右合わせて四枚生えている。体全体の大きさは、私の掌に満たないほどだ。


 妖精、という言葉が思い浮かんだ。


「助けてください」


 その妖精がこちらを見て、一心に頼んでいた。


「私……? 助、ける……?」


 思うままに、声に出ていた。


「ああ、よかった。返事をしてくれた……」


 妖精はほっと、安堵の表情を浮かべる。それから彼女は自己紹介を始めた。


「はじめまして、星河(せいが)さん。私は、『白の精』と呼ばれている精霊です。助けると言っても大層なことではありません。少しだけ、力を貸してほしいのです」

「えっと、何をすれば……というか、どこから私の名前を?」

「ふふ、秘密です。でもあなたなら、この空間を見て想像がつくのではないかしら」


 じゃあ、やっぱり、あの人が?


「……可々視(かがみ)さん?」


 白の精は、ただ微笑むだけだった。


「さて、お願いする内容ですけど」

「あ、はい」

「できることなら、ここではなくて、直接会って話したいのですが……」


 白の精がそう言うと、私の目の前には突然、この空間とはまったく違う鮮やかな色が、滲むように広がった。

 次第にそれは輪郭を成し、どこかの風景を表し始める。

 それは、今私が住んでいる建物の裏から続く森だと分かった。

 映像はそこから奥へ移動していき、最後に特徴のある二本の大木を、遠くにぼんやりと映し出した。


「もしよろしければ、ここまで来ていただけませんか?」

「……いいですよ」


 ふーっと軽く息を吐き出してから、了承を示した。


 というか、こんなところもあったんだ。

 こちらに来て、まあまあ時間が経った気もするが、正に灯台もと暗しと言うことか。

 せっかくの機会だし、見てくるのも悪くないかな。


「わあ、ありがとうございます!」

「で、あの、私は具体的に何をするのか、まだ分からないままなんですけど……?」

「ちょっと冒険をしてもらうだけですよ」


 白の精は、いたずらっ子のように笑った。



挿絵(By みてみん)

区切りを考えたら短くなってしまいました。3話まで短めの予定です。

イメージイラスト→http://tegaki.pipa.jp/710090/25112083.html


10/23追記

みてみんさんに登録をしたので、挿絵として公開しました。

ですが、おまけでマンガ風のものもくっついているので、URLの方も見に来て下さるとうれしいです。

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