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海に生きる
同様に海に生きるものだけでなく、陸のものですらわたしの泳ぎを誰もが優雅だと言う。
人と呼ばれる生き物はわたしを見ると笑顔と興奮で称える。
手足を動かし静かに進んでいるだけでけだというのに。
多くのもの達を喜ばせているというわたしも、昔は本当に矮小だった。
たまごから孵り海の光に導かれていく。
その間ですら兄妹たちは石に阻まれ蛇に捕まる。
例え海に入ったとしても呼吸のために少し鼻を出すだけで鳥のエサとなる。
素早く動き回る魚たちにぶつかり体を傷つけれるものもいた。
幸運なのだろうか。
わたしは今も世界中の海を渡り歩いてる。
過去を思い出したからか、恋をしたからか、わたしは故郷と呼ばれる砂浜に帰った。
土を掘りたまごを産む。
人々が涙と呼ぶものを流しながら。
たまごは産んでいる。
しかし、この目から流れるものは体に溜まったただの塩分だというのに。
人々は何故かわたしの姿を見て、瞳から光るものを落としていた。




