優しい顔
むかしむかしある国の山奥で真っ白な熊がいました。
彼らは山奥で本当に少しだけしかお友達はおらず毎日をとても心細く過ごしていたんです。
食べ物だってちょっと他の動物とは違い、笹しか口に合いません。
彼らがのんびりとご飯の時間に向こうから山の王者と呼ばれる生き物がのっしのっしと歩いて来ました。
「かっこいいね、さすが王様」
「そうかな、なんだかお顔意地悪だよ」
「お顔というか、模様じゃない?」
ご飯やめて白熊達はおしゃべりに夢中になります。
「そうだ、こうすれば私たちは意地悪さんに見えないと思うの」
持っていた笹で飲んでいた水と土を練り、目の周りが吊り下がるような模様を描きました。
「ちゃんと、わたし優しく見える?」
「見えるよ!だから私にも書いて欲しい」
この時から白熊は目の周りに落書きすることが流行り始めました。
時には体、耳にまで落書きが及びます。
代が続くと落書きをしなくても良くなっていきました。
生まれた時から既に白熊ではなく、目の周り耳、体に黒い毛も生えていたからです。
気づけば彼らはお友達が少ないまま、優しいお顔の生き物として笹をのんびり食べて過ごすだけになっていました。
ある時、彼らは人間に見つけられました。
とても愛らしい熊として、人間は檻の中にいる彼らを優しく眺め始めたのです。




