地球から一つの惑星を観測する科学者K氏。ある日、地球を襲う大地震。その時、ユーモア星から救いの手が差し伸べられる――奇跡の物語。
観測者Kが見つけた“笑う星”。
そこに記されていたのは、悲しみさえも笑いへ変える哲学でした。
美しい星の在り方、人間社会のゆがみ、そして「笑い」という希望を見つめ直す
純文学SFファンタジー。
※前作『小惑星K-132』の続編ですが、本作からでもお読みいただけます。
続・小惑星K-132 -微笑みの星-
はじめに
この物語は「小惑星K-132」の続編です。
「小惑星K-132」を読んだ事がない方のために簡単に物語の経緯を説明しておきましょう。
熊が岳に天文台を構えるK氏は、ある事を堺に、それまでしていた天文台の業務をやめて地震の予兆観測の研究を続けていました。
ある日、地球近くの銀河系に小惑星がある事を発見しました。
K氏はその星を「K-132」と名付け、その星の名前は正式に国際天文学会に登録されました。
その惑星には、実は「ユーモア星」という名前がありました。
その惑星には生命体が住んでいました。
その生命体は、つまりユーモア星人です。
星人たちは昔からずっとその惑星に暮らしていました。
そこに存在する巨大な黒い石版には「ユーモア星」とはっきりと惑星の名前が記されていたのです。
K氏は、まだユーモア星の名を知らず、「K-132」から発せられる電波を観測していました。
そして幾つかの言語を解析する事に成功しました。
それ以来、いつかその星の星人と交信できる日を楽しみにワクワクしながら毎日観測をしていました。(小惑星K-132あらすじ)
私は「小惑星K-132」の物語の最後に巨大な石版に刻まれた言葉のごく一部を記しました。それは、下記のような言葉です。
>資源は皆で笑い合えるように譲り合うもの。
>他者との関わりは互いが笑えるように気を配ること。
>はたらくことは「他楽」であること。
(逆説的には、他者を楽にしなければ己の幸福は成り立たない、とも解釈できます。)
>悲しみは笑いまでの一過程にすぎないこと。
>怒りは早く沈めて笑えるようにつとめること。
>争いは互いが笑えるようにすぐユーモアで解決すること。
第一章 ユーモア星の音
今夜も、熊が岳は、夜の深いしんとした静けさに包まれていました。
外気温は零下を下回り、熊が岳天文台の窓にも、白い息が曇るのでした。
遠くの木の上で、フクロウが一声「ホォ」と鳴きました。K氏は、愛妻が編んでくれた分厚い茶色のセーターの袖口を直しながら、湯気の立つコーヒーをゆっくりと口に運びました。
冷えた指先に、カップの温もりがしみわたる心地よさを感じ、二口目のコーヒーをゆっくりと味わいました。
K氏の夢は、広い宇宙の美しい星々を沢山の人々に見せる事でしたが、彗星の観測中、大地震の予兆を捉えてからは、天文台を閉じて地震予報ができる社会を願い、地震の前兆観測に力を入れ始めました。
これはとても大変な作業のため、天文台長としての業務は諦め、天文台を閉めていました。
天文台の横には、併設した広い研究室がありました。
研究室の片側は地震前兆予測の場所、中央に大きなデスクと資料棚、その反対側は「K-132」の観測用スペース、そこに沢山の観測用のチューナー機器を並んでいます。
チューナーの上の棚には波形を見るモニターがずらりと並び、そのチューナーの下の段には、観測データを記録するプリンターが、これもずらりと並んでいます。
その夜も、いつものように観測機器のランプがかすかに点滅し、低い電子音を響かせていました。
遠くに風の唸り声が聞こえる以外、研究室は静寂と機械の息づかいだけが聞こえるだけでした。
ふと、その音の中に、妙な響きを感じました。
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*この続きは受賞できたら公開いたします。
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