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その人、誰なんですか?!

凶暴次元獣パラデラスから古びた小さな館でジェーヌとゼロスが身を隠している間――。


【アヤカの視点】


「ジェーヌー!」


私は、森の上空を、箒に乗って飛行しながら、必死にジェーヌの名前を叫び続けた。


あの後、私は図書館から中庭へと駆け出し、小さな小屋から一本の箒を掴み取った。


箒に跨ると、ためらう事なく空へと舞い上がり、ヴァンセリーヌ学園を後にした。


風を切り、速度を上げた。


ジェーヌと無事だろうか?今の私は心が焦りと不安でいっぱいだった。


――ドスンッ!ドスンッ!ドスンッ!


「……!」


物凄い地響きを立てながらまだ、彷徨っている私の視界の先にいる――謎の巨大生物。


(改めて見ても、一体あれは何なの…!)


鋼鉄の鱗に覆われ、無数の歪んだ目が光る、異形の巨大生物。


しかもよく見ると、あの、巨大生物が首を動く際、六つの眼が左右辺りをギョロギョロと眼が動いているのがわかる。


「眼が六つもある、巨大生物…まずい…!」


私は咄嗟に身を隠そうと、近くの森に降下した。


太い木の幹に身を潜め、巨大生物の動きを伺った。


すると、巨大生物の六つの眼が一斉に私のいる森へと向けられた。


ギョロギョロと動いていた眼が、ピタリと止まる。


そして、そのうち、真ん中の大きな眼が、私をはっきりと捉えたようだった。


「ヤバい!見つかっちゃった…!」


アヤカが絶望したその時、六つの目のうち、六つの眼が激しい光を放ち始めた。


強力な青、緑、オレンジの三色に光る光線が、私のいる森に襲いかかった。


私は、咄嗟に箒に乗って飛び立ち、三色に光る光線を間一髪で回避した。


しかし、地面に着弾した光線は、大きな爆発を引き起こし、森の木々を燃やしていく。


「このままじゃ…!」


私は、光線を避けるのに精一杯だった。


次の瞬間、光線はアヤカの足元を狙ってきた。


「―しまったッ!?」


爆発で舞い上がった土煙に視界を遮られ、私はバランスを崩し、箒から落ちてしまった。


そして私は森の奥深くへと落下していった。


「いってて…」


幸い私は茂みがクッション代わりになってくれて、助かった。


ちょっと、制服が汚れたけど、今はそんな事を気にしている場合じゃない…!


「早く…!何処かに安全な場所に隠れなきゃ!」


私は急いであの、巨大生物から何処かに隠れる場所を急いで森中を走りながら探し始めた。


――ドスンッ!ドスンッ!ドスンッ!


私が森の中、走っている間にチラッと後ろを振り向くと、あの巨大生物が六つの眼をギョロギョロと動かしながら、森の周辺を探している。


(私を探している…?だとしたら、早く…!)


森の中を走り続けて左に曲がった瞬間――その時、森の奥に古びた小さな館が見えた。


「あれは……!」


私は、迷う事なくその館へと向かって走った。


館の入り口の扉は、古びてはいるものの、まだしっかりとしていた。


私は扉を力いっぱい押し開け、中へと飛び込んだ。


「ハァッ……ハァッ……」


薄暗く、埃っぽい館の中に入ると、すぐに扉を閉め、背中を押し付けるようにして息を整えた。


私は安堵の息を漏らし、そのまま、壁にずるずると寄りかかった。


館の中は、外の光がほとんど入らず、薄暗い。


しかし、その薄暗さの中で、私はふと、館の奥から微かに光が漏れていることに気づいた。


「誰か、いるの……?」


希望の光を見つけたアヤカは、ゆっくりと立ち上がり、光が漏れている方へと足を進めた。


館の奥にある一室のドアの前に立ち、私はゆっくりとドアを開けた。


「……!」


すると扉の向こうから、一人の人影が姿を現す。


「ジェーヌ……!」


その声に、ジェーヌはハッと顔を上げた。


「アヤカ……!」


部屋いたのはジェーヌだった。


「どうしてここに……!?」


ジェーヌは驚きの余りに駆け寄ってきた。


「ジェーヌを探しに来たの!だけどその途中、見た事もない、巨大生物に見つかっちゃって……」


私は、ほうっと安堵の息を吐きながらそう答えた。


「まったく、無茶するわね……。でも、無事でよかった……」


ジェーヌもまた、安堵の表情を浮かべた。


「でも、どうしてここに……?」


私は不思議にジェーヌに尋ねた。


「あの巨大生物から隠れる為に、私がたまに使わせてもらっている、この古びた館に逃げ込んできたの。まさか、アヤカがここに来るなんてね……」


ジェーヌは、アヤカの手を握りながらそう答えた。


「とにかく、ここならとりあえず安全よ」

私とジェーヌお互い古びた館の中で無事を確かめ合った。


「所でジェーヌ。ずっと気になっている事があるんだけど…」

「何かしら?」


私は視線をジェーヌから外し、暖炉の前の椅子にぐっすりと眠っている、人物に指を指した。


「その人、誰なんですか!?」


私は部屋に入ってから、視界からチラチラとずっと入って、気になっていた。


「あぁ~〜…」


するとジェーヌがバツ悪そうな表情で何故か、私から顔を逸らした。


「ちょッ、ジェーヌ!私から顔を逸らさないで!」


私はジェーヌの両肩をガシッと掴んでは左右に肩を揺らした。


「ちょちょちょ、お、落ち着きなさいアヤカ!」

「これが落ち着いていられますか!しかも何ですか!?あそこに座っているひと、若い男の人ですよね!?何で、こんな館に!しかもジェーヌと二人っきりって!?ハッ!もしかしてジェーヌのか――」


――ボカンッ!


「イたぁッ!?」

「落ち着きなさいアヤカ。後、あそこにぐっすりと眠っている人…はどうかはわからんが、私の彼氏じゃないから、安心して」


私はジェーヌから頭に一発、ゲンコツをくらわされた挙げ句、ジェーヌの口から彼氏じゃないと言い張った。


「じゃあ、その人は一体、誰なんですか!?」

「ん~~…ちょっと長くなるけど、構わないか。アヤカ」

「構いません!むしろ逆に教えてほしいぐらいですよ。こっちは」

「わかった。順を追って事情を説明すると――」


こうして古びた館の一室の部屋で私はジェーヌともう一人、知らない若い男についての事情を私はジェーヌから聞かされるのだった―――。















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