第二十話 狩場でイキる曹操! 皇帝、涙の「打倒指令」!
下邳城を落とし、最強の呂布を処刑した曹操。
許都に戻った彼は、もう完全に**「天下の支配者」**気取り!
皇帝の献帝をガッチリ手元に置いて、政治も軍事も、ぜーんぶ自分の思い通り!
表向きは「陛下のため!」とか言ってるけど、どう見ても、自分が一番エラいと思ってる!
部下たちも、「曹操様、マンセー!」状態。
一方、劉備たちは、客人扱いとは言え、実質的には曹操の監視下。
許都での生活は、正直、針のむしろ…。
劉備「(曹操め…日に日に、態度がデカくなっていくな…)」
関羽「(あの男、いつか必ず漢王朝を乗っ取る気だ…!)」
張飛「(アニキ、いつまでこんなとこにいんだよ!)」
三兄弟のフラストレーションは、溜まる一方だった。
そんなある日。
曹操が、ご機嫌な様子で提案してきた。
「陛下! たまには気晴らしに、みんなで狩りでもしませんか? 許田のあたりは、良い猟場ですぞ!」
皇帝も、窮屈な宮殿暮らしにウンザリしていたので、しぶしぶOK。
もちろん、劉備たちも「お供」として、強制参加だ。
パッカラ! パッカラ!
許田の広大な野原に、曹操、皇帝、劉備、関羽、張飛、そしてたくさんの家臣たちが集結!
豪華絢爛な狩りの始まりだ!
曹操「さあ、皆さん! 思う存分、腕を振るうが良い!」
曹操自身も、最新の猟具を身につけ、超ノリノリ!
しばらくすると…
ガサガサッ!
茂みから、一頭の立派な鹿が飛び出してきた!
「おお! 鹿だ!」
「陛下! チャンスですぞ!」
皇帝は、差し出された弓(もちろん、皇帝専用の超高級なヤツ!)を受け取り、矢をつがえた。
しかし、久しぶりの狩りで緊張しているのか、はたまた曹操のプレッシャーか、なかなか矢を放てない…。
(((うぅ…射てるかな…)))
モジモジ…。
その瞬間!
「陛下! お貸しください!」
なんと、曹操が、皇帝の手から弓と矢をひったくった!
ええええーーー!?
そして、何食わぬ顔で、その**「天子の弓」**で、逃げる鹿に向かって矢を放った!
ヒュンッ! ズバッ!!!
矢は、見事に鹿の急所に命中!
鹿は、その場にドッと倒れた!
曹操、ドヤ顔!
周りの家臣たちは、事情がよく分かってない!
「おおお! 陛下! お見事です!」
「素晴らしい腕前!」
ワラワラと駆け寄り、皇帝に向かって拍手喝采!
皇帝「(ポカーン…)え、あ、いや…わしじゃなくて…」
顔面蒼白。自分の手柄にされちゃってる!
しかし、曹操は、馬に乗ったまま、平然と言い放つ!
「いやいや、諸君! 今のは、ワシの手柄じゃよ!」
胸を張って、自分が射止めたことをアピール!
完全に、皇帝の面目、丸潰れ! 場がシーン…となる。
この、あまりにも不遜で、傲慢な態度!
これを見て、ついにブチ切れた男がいた!
ゴゴゴゴゴ……!!!
関羽だ!!!
長いヒゲを逆立て、その目は怒りの炎でメラメラ!
(((曹操! 貴様! 陛下に対して、なんたる無礼!!!)))
関羽は、腰の剣に手をかけ、今にも曹操に斬りかかろうと、殺気をみなぎらせる!
「!!!」
そのただならぬ殺気に、隣にいた劉備が気づいた!
(((いかん! 関羽! 今ここで事を起こせば、我々も終わりだ!)))
劉備は、目と首の動きだけで、必死に関羽に「待て!」と合図を送る!
「今は、耐える時だ…!」
関羽「(ぐぬぬぬ…! しかし…!)」
ギリギリと歯を食いしばる関羽!
劉備の必死の制止で、なんとか剣を抜くのを踏みとどまった…。
だが、曹操への怒りは、もはや頂点に達していた!
曹操も、一瞬、関羽の殺気を感じ取ったかもしれない。
チラッと関羽の方を見たが、すぐにニヤリと笑い、何事もなかったかのように、狩りを続行させた。
(((フン…面白い奴らよ…)))
この「許田の狩り」での一件は、曹操の増長ぶりを、天下に示す出来事となった。
そして、劉備と関羽の心には、「打倒・曹操」の思いが、より一層強く刻まれることになったのだ…。
一方、宮殿に戻った皇帝・献帝。
狩りでの屈辱的な出来事を思い出し、一人、シクシクと泣いていた。
「うぅ…朕(ちん:皇帝の一人称)は、もはや操り人形だ…曹操の好きにされている…このままでは、漢王朝は、本当に滅んでしまう…」
無力感と絶望感でいっぱい。
そこへ、信頼できる側近であり、皇后の父である**董承**が、心配してやってきた。
(彼は、かつて皇帝を長安から脱出させた功労者の一人)
董承「陛下、いかがなされましたか?」
献帝は、涙ながらに訴える!
「国舅(=董承のこと)…もう、耐えられぬ…! あの国賊・曹操を、なんとかしてくれ…!」
「陛下…!」
献帝は、意を決した!
「国舅、これを…!」
献帝は、自分の指を噛み切り、その血で、白い絹の布に文字を書き始めた!
それは、「逆賊・曹操を誅殺せよ」という、悲痛な願いが込められた、**血文字の密詔**だった!
「!!!」
董承、息をのむ! 皇帝の覚悟に、体が震える!
献帝は、書き上げた血の詔を、自分の着ている帯の中に、そっと隠し、その帯を董承に手渡した。
「国舅…頼む…! この密詔を、志ある者たちに示し、曹操を討ってくれ…! これが、朕の最後の望みじゃ…!」
涙でぐしゃぐしゃの皇帝。
董承は、震える手で、その重い重い密詔を受け取った。
そして、皇帝の前にひざまずき、固く誓った!
「陛下…! この董承、この命に代えましても、必ずや、国賊・曹操を討ち果たし、漢王朝をお救いいたします!」
董承の目にも、決意の炎が燃え上がっていた!
密詔を託された董承。
彼の胸には、「打倒・曹操」という、極秘かつ超危険なミッションが刻まれた!
董承は、誰にこの密詔を見せ、どうやって曹操を討つ計画を立てるのか?
そして、この密詔の存在は、劉備たちの運命を、どう変えていくのか!?
許都の宮殿の奥深くで、新たな陰謀の歯車が、静かに、しかし確実に回り始めた!
乱世は、一触即発の緊張状態へ!
(続く!)
第二十一話 雷鳴と英雄談義! 関羽、電光石火の早業!
次回をお楽しみに。




