第十六話 百発百中!? 呂布の神業アーチェリー! 一方、色ボケは命取り!?
前回、劉備を裏切り、徐州の本拠地・下邳城を乗っ取った呂布。
劉備は、行き場を失い、仕方なく呂布が元々いた小沛城に駐屯することに…。
立場、逆転! なんとも皮肉な状況。
劉備「(はぁ…なんでこうなった…)」
関羽「(だから言ったのに…)」
張飛「(俺のせいだ…すまん、アニキ…)」
劉備軍の士気は、ダダ下がり。
そんな中!
あの袁術が、またしても懲りずに、大軍を率いて劉備のいる小沛に攻めてきた!
袁術は、皇帝を自称しようと企んでおり(玉璽パワー!)、その手始めに邪魔な劉備を潰そうと考えたのだ!
「劉備! 今度こそ、息の根を止めてやるぜ!」
袁術軍の猛将・紀霊が、大軍を率いて小沛城に迫る!
劉備「また袁術か! しかも、今度はこっちの戦力も少ないのに…!」
大ピンチ!
この状況を知った、下邳城の呂布。
普通なら、「よし! 劉備が袁術に潰されれば、俺が徐州の完全な支配者だ!」と喜ぶところ。
しかし、呂布の側にいた策士・陳宮は、冷静だった。
陳宮「呂布将軍、お待ちください。ここで劉備が袁術に滅ぼされれば、次に袁術が狙うのは、我々の下邳城ですぞ。袁術は、我々にとっても脅威。むしろ、劉備を生かしておいた方が、袁術に対する防波堤になります」
「むむ…なるほど…」
さらに陳宮は、ある「奇策」を呂布に提案する。
陳宮「ここは、将軍自らが出向いて、劉備と袁術(の将・紀霊)を和解させてはいかがでしょう? それができれば、将軍の威光はさらに高まり、両者から感謝されることにもなりますぞ」
呂布「なに!? 俺が、仲裁だと?」
意外な提案に、呂布もビックリ。
でも、「俺の威光が高まる」という言葉に、まんざらでもない様子。
「よし! 面白そうだ! やってみるか!」
呂布は、劉備と紀霊の両方に使いを送り、「ちょっと待った! 俺が話を聞いてやるから、一旦ストップ!」と伝え、両者を自分の陣地の轅門に招待した。
劉備(((呂布が、助けてくれるのか…? でも、また裏切られるんじゃ…)))
紀霊(((なんだ? 呂布のヤツ、邪魔しに来たのか?)))
二人とも、半信半疑ながら、とりあえず呂布の元へ。
呂布の陣地。豪華な宴席が設けられている。
呂布「まぁまぁ、二人とも、そうケンカすんなって! まずは一杯!」
ニコニコ顔の呂布。(なんか怖い)
酒が進む中、呂布が本題を切り出す。
呂布「なぁ、劉備、紀霊。お前らの争いは、この呂布が仲裁してやる! どうだ?」
劉備「は、はぁ…(助かるけど、何を考えてるんだ…?)」
紀霊「呂布将軍、これは我が主・袁術様のご命令! 引くわけにはいきません!」
キッパリ断る紀霊。
呂布「まぁ、そう言うなよ。よし、こうしよう!」
呂布は、おもむろに自分の愛用する「方天画戟」を、陣地の門(轅門)のそばに、ブスリ!と突き立てた!
その距離、なんと150歩!(約100メートル以上!?) めちゃくちゃ遠い!
呂布「いいか? 俺が、ここから弓を射て、あの画戟の小さな『耳』(刃の横についてる飾り部分)に見事命中したら、お前たちは和解して兵を引け! もし外れたら、好きに戦えばいい! これぞ、天命だ!」
**ドーーーン!**と宣言!
「「「ええええーーーっ!?」」」
劉備も紀霊も、周りの兵士たちも、みんなビックリ!
「150歩先の、あんな小さな的に!?」
「無理だろ、絶対!」
「神業じゃねぇか!」
ザワザワ…!
呂布「ふん! 見てろ!」
呂布は、弓を引き絞り、精神を集中させる…!
ヒュン!!!
放たれた矢は、風を切り、一直線に飛んでいく!
シーン……。
全員が、固唾を飲んで矢の行方を見守る!
カキン!!!
「「「おおおおおおおおおお!!!!!」」」
なんと! 矢は、寸分の狂いもなく、方天画戟の小さな「耳」の部分に、ど真ん中ストライク!!!
まさに、神技! ゴッドハンド!
「す、すげぇぇぇぇ!!!」
「マジかよ!」
「呂布将軍、バンザーイ!」
その場にいた全員が、呂布の神業アーチェリーに度肝を抜かれ、大歓声を上げた!
紀霊も、これには口あんぐり。
「…参りました。天命とあらば、仕方ありません。兵を引きます」
劉備「呂布将軍…! 感謝いたします!」
(内心、ホッとしつつも、呂布の底知れなさに、さらに警戒心を強める劉備…)
こうして、呂布のまさかのファインプレーによって、劉備は絶体絶命のピンチを脱した!
この**「轅門に戟を射る」**エピソードは、呂布の数少ない(?)カッコイイ見せ場として、後世に語り継がれることになる。
一方その頃…
許都で皇帝を保護し、絶好調の曹操。
次は、荊州北部の宛城っていう街を支配していた、張繍をターゲットに定めた!
張繍は、董卓の残党みたいなもんだけど、叔父の張済(戦死済み)の地盤を引き継ぎ、なかなか侮れない勢力。しかも、側には、あの**毒舌策士・賈詡**がついている!
曹操「張繍ごとき、敵ではないわ! サクッと降伏させてくれる!」
曹操は、大軍を率いて宛城へ進軍!
賈詡は、曹操軍の勢いを見て、張繍に進言する。
賈詡「曹操は、今や天子を奉じる大義名分を持っています。まともに戦っては、分が悪いですな。ここは、一旦、降伏するのが得策でしょう」
張繍「むぅ…賈詡がそう言うなら…」
張繍は、あっさりと曹操に降伏した。
曹操「フハハハ! 楽な戦いだったわ!」
曹操は、気分良く宛城に入城。
…しかし! ここで曹操は、致命的なミスを犯す!
調子に乗って、美女に手を出してしまったのだ!
しかも、その美女は、張繍の叔父(故・張済)の未亡人、鄒氏! つまり、降伏した相手の親戚の奥さん!
これは、いくらなんでも、デリカシーなさすぎ!
曹操「(デレデレ)いや~、鄒氏殿は、実に美しいのう~♡ 今夜は、ワシと楽しく過ごそうぞ~♡」
鄒氏「(内心、屈辱…!)」
この曹操のゲスい行動に、張繍は激怒!!!
「曹操め! 降伏した俺を、ここまでコケにするとは! 叔父上の嫁さんに手を出すなんて、絶対に許さん!!!」
プライドをズタズタにされた張繍!
賈詡「(やれやれ…曹操も、女癖が悪いですな…)…張繍様、こうなれば、もはや言うことは一つ。奇襲して、曹操を討つのです!」
またしても、賈詡の毒が炸裂!
張繍「よし! やってやる! 曹操に、目にもの見せてくれるわ!」
張繍は、賈詡の計略に従い、降伏したフリを続けながら、夜襲の準備を秘密裏に進めた。
その夜。
曹操は、鄒氏とのイチャイチャタイムを満喫中♡ まったくの無警戒!
(((いや~、天下取るのも楽勝だな~、ぐへへへ♡)))
「「「曹操を討ち取れーーー!!!」」」
突然、城の内外から、張繍軍が鬨の声を上げて襲いかかってきた!
曹操軍の宿舎に、火が放たれる!
ゴオオオオオ!!!
「ぎゃあああ! 敵襲だ!」
「裏切りだー!」
油断しきっていた曹操軍、大パニック!
曹操「な、なんだ!? 張繍が裏切っただと!?」
慌てて服を着て、愛馬・絶影に飛び乗る!
しかし、敵の勢いは凄まじい!
曹操の周りには、矢が雨のように降り注ぐ!
愛馬・絶影も、何本もの矢を受けて倒れてしまう!
「ぐわっ! 相棒ー!」
絶体絶命の曹操!
そこへ、一人の巨漢が、鬼の形相で駆けつけた!
曹操軍最強のボディーガード、**典韋**だ!
「曹操様! お逃げください! ここは、この典韋が食い止めます!」
典韋は、二本の戟をブン回し、迫りくる張繍軍の兵士たちを、**文字通り「なぎ倒して」**いく!
まるで、仁王! 鬼神!
「うおおおおお!!!」
典韋の獅子奮迅の活躍のおかげで、曹操はなんとか脱出することができた。
しかし、典韋は…
全身に無数の矢と槍を受けながらも、最後まで曹操を守るために立ち続け、壮絶な最期を遂げた…。
「(曹操様…ご無事で…)」
立ったまま、絶命…。泣ける…!
さらに、この混乱の中で、曹操の長男・**曹昂と、甥の曹安民**も、曹操を逃がすために奮戦し、命を落としてしまった…。
命からがら、本拠地に逃げ帰った曹操。
多くの犠牲を払い、ほうほうの体での帰還だった。
特に、忠実な部下・典韋と、愛する息子・曹昂を失った悲しみは、計り知れないものがあった。
曹操「(涙ポロポロ)…典韋…! 昂…! すまない…! すべて、ワシの油断が招いたことだ…!」
女好きが原因で、手痛い大敗北を喫した曹操。
この「淯水の戦い」での失敗は、彼の心に深い傷と、大きな教訓を残すことになった。
呂布の意外な活躍。
曹操のまさかの大敗北と悲劇。
乱世の英雄たちにも、浮き沈みがある。
この経験を経て、彼らはどう変わっていくのか?
(続く!)
第十七話 裸の王様、大進撃!? 一方、曹操、最強チーム再結成!




