第百五回 孔明のラストトラップ! 魏延、死す!? 魏帝、不老不死を夢見る!?
諸葛亮孔明は、五丈原にて、その偉大なる生涯を閉じた…。
蜀軍は、孔明の遺言に従い、その死を秘密にし、全軍、漢中へと撤退を開始した。
しかし! 蜀軍内部には、不穏な火種がくすぶっていた!
それは、蜀の大将軍の一人、**魏延文長**の存在だ!
魏延は、勇猛果敢な武将だが、性格は傲慢で、野心家。そして、生前の孔明とは、そりが合わず、常に孔明の指示に不満を抱いていたのだ!
(孔明も、魏延の才能は認めつつも、その反骨精神を危険視し、「頭蓋骨の後ろに、反骨の相が出ている」と、警戒していた、とも言われる)
孔明は、自らの死期を悟った際、ある密命を、腹心の楊儀(長史、軍の事務方トップ)に託していた。
それは、**「もし、ワシの死後、魏延が不穏な動きを見せたら…これを使え」**という、**最後の『錦嚢(お守り袋)』**だった!!!
(孔明、どこまで用意周到なんだ…!)
案の定!
孔明が死に、楊儀が全軍の撤退指揮を執り始めると、魏延は、公然と不満を表明し始めた!
魏延「(怒)なんだと!? 丞相が亡くなったからといって、なぜ撤退するのだ! この俺がいる限り、司馬懿など恐るるに足らん! 今こそ、魏を討つ絶好の機会ではないか!」
勝手に、軍を北へ進めようとする魏延!
楊儀は、孔明の遺言通り、全軍に撤退を命じるが、魏延は、完全に無視!!!
それどころか、楊儀が撤退しようとするのを妨害するため、桟道(崖に作られた道)を焼き落とす、という暴挙にまで出た!
「楊儀! 貴様こそ、臆病風に吹かれて、国を裏切る気か!」
もはや、反乱同然の行動!
楊儀は、絶体絶命!
(((くそっ! 魏延め! やはり、丞相の言った通りだったか…!)))
楊儀は、孔明から託された、**最後の『錦嚢』**を開けた!
錦嚢の中には、孔明からの最後の指示が書かれていた!
楊儀は、その指示に従い、ある人物を、魏延の元へと向かわせた。
それは、魏延と同じく、蜀の猛将である、馬岱(馬超の従弟)だった!
馬岱は、魏延の前に進み出て、言った。
馬岱「魏延将軍! あなた様のお気持ちは分かります! しかし、丞相の遺命に背くのは、いかがなものか…」
魏延「(勝ち誇って)ふん! 馬岱か! 貴様も、楊儀の言いなりか! よかろう! ならば、この俺に逆らう者がどうなるか、見せてやる!」
魏延は、自信満々で、馬岱に向かって叫んだ!
「俺に逆らえる者あらば、言ってみよ!!!」
…と、魏延が、三度、このセリフを叫んだ、その瞬間!!!
「ここにあり!!!!!」
魏延の背後に立っていた馬岱が、隠し持っていた刀を抜き放ち、一閃!!!
ズバァァァーーーッ!!!
魏延の首が、コロリと、地面に落ちた!!!
「(!?)…な…ぜ……」
魏延、まさかの**裏切り(?)**によって、あっけなく最期を遂げる!
そう! これこそが、孔明が錦嚢に記した、最後の計略!
「魏延が『俺に逆らえる者あらば』と三度叫んだら、その背後から斬り捨てよ」
孔明は、魏延の傲慢な性格と、その**口癖**までも読み切り、完璧な暗殺計画を立てていたのだ!!!
恐るべし、諸葛孔明!!! 死してなお、その計略は生きている!
こうして、蜀軍内部の反乱分子・魏延は、排除され、楊儀は、無事に全軍を漢中へと撤退させることができたのだった…。
(しかし、この後、楊儀も、自らの功績を鼻にかけ、不満を漏らしたため、失脚してしまう…権力闘争は、どこにでもある…)
一方、その頃…
魏の都・洛陽。
皇帝・**曹丕**は、父・曹操ほどのカリスマ性はなかったが、国力の充実に努めていた。
しかし、曹丕もまた、**病**に倒れてしまう…。
死期を悟った曹丕は、後継者として、まだ幼い息子の**曹叡を指名。
そして、その補佐役として、一族の重鎮・曹真、曹休、そして、あの司馬懿仲達**らを任命した。
(司馬懿の野心を警戒しつつも、その才能を頼らざるを得なかった…)
曹丕は、まもなく崩御(皇帝が亡くなること)。
若き曹叡が、**魏の二代目皇帝(明帝)**として即位した。
さて、この新皇帝・曹叡。
彼は、祖父・曹操や、父・曹丕とは、少し違ったタイプの人物だった。
政治や軍事よりも、建築や、**不老長寿**といった、神秘的なことに、強い関心を示すようになったのだ!
曹叡は、まず、壮大な宮殿を、次々と建設し始めた!
民衆に、**重い労役**を課し、豪華絢爛な建物を建てさせる!
国費を、湯水のように使う!
家臣たちは、「陛下、財政が…」「民が苦しんでおりますぞ!」と諫めるが、曹叡は聞く耳を持たない!
さらに、曹叡は、**不老不死の仙薬**を求め始める!
怪しげな方士(仙人まがいの術師)を、宮殿に呼び寄せ、莫大な褒美を与え、仙薬作りを命じる!
そして、曹叡が、特に**ご執心だったのが、「承露盤」**と呼ばれる、**巨大な銅製の盤**だった!
これは、漢の武帝が、不老長寿を願って作らせたもので、盤の上に溜まった夜露を集め、玉の粉と混ぜて飲むと、仙人になれる…と信じられていたのだ! (マジか!?)
曹叡は、遠く長安にあった、この巨大な承露盤を、わざわざ洛陽まで運んでこさせようとした!
しかし、承露盤は、あまりにも巨大で、重い!
運搬作業は、困難を極め、多くの人夫が、事故で命を落としたという!
しかも、運んでいる途中で、盤が壊れてしまった!!!
ガッシャーーーン!!!
盤を守っていた銅製の仙人像は、その目から、涙のようなものを流した…と言われている。
まるで、漢王朝の滅亡と、魏の皇帝の愚かな行いを、嘆いているかのようだった…。
孔明は、死してなお、その計略で国を守った。
一方、魏の若き皇帝は、国政を顧みず、不老長死の夢に取り憑かれ、国を傾けようとしている…。
蜀は、孔明亡き後、どうなるのか? 蒋琬、費禕、そして姜維は、国を支えられるのか?
魏は、皇帝の奇行と、司馬懿の野心によって、どう変わっていくのか?
呉の孫権は、この状況をどう見ているのか?
三国の物語は、世代交代が進み、新たな局面へと、移り変わっていく…。
(続く!)
第百六回 遼東、落つ! 公孫淵、滅ぶ! 司馬懿、病気のフリで油断させ…クーデター!
次回をお楽しみに。




