第一話 運命の出会い!桃園(とうえん)の誓い
三国志には史実である正史『三国志』と小説である『三国志演義』があります。
日本で有名な小説・漫画・ゲーム等は基本的に「三国志演義」をベースにしています。
この演義をさらに誰にでも読めるよう、文体を砕いて読みやすくしたのが本作品です。
ドーーーーン!!
時は西暦180年代。後漢王朝っていう、まあ昔の中国の時代の終わりかけ。
世の中、マジでヤバかった。政治はグダグダ、役人は賄賂ばっか要求してくるし、天変地異はバンバン起こる。おまけに疫病まで大流行!
「やってらんねー!」
民衆のフラストレーションは、もう限界突破寸前!
そんなカオスな状況の中、ヤバい宗教グループが登場した。
リーダーは張角って男。
「この腐った世の中、もう終わりだ!俺たちの時代が来るぜ!」
黄色い頭巾を目印にした彼らは『黄巾賊』と呼ばれ、各地で大暴れ!
「蒼天すでに死す!黄天まさに立つべし!」
なんてスローガン叫びながら、役所を襲撃したり、街を燃やしたり…もうメチャクチャ!
国も「ヤベェ!」ってなって、各地に「黄巾賊を倒すヤツ、大募集!」ってお触れを出したんだ。
さて、そんな乱れた世の中、河北の涿県っていう田舎町に、一人の青年がいた。
彼の名は、劉備。
身長は170cmちょっとくらい? 耳たぶがデカくて、手も膝まで届きそうなほど長いっていう、ちょっと変わった見た目。でも、瞳の奥には静かながらも強い意志みたいなのがキラッ☆と光ってる。
彼は、漢王朝を作った皇帝の遠い遠い子孫らしいんだけど、今はむしろ(ござみたいな敷物)織りのバイトで生計を立ててるフリーターみたいな感じ。
その日、劉備は町の掲示板の前で、深いため息をついていた。
「はぁ……」
そこには、例の「義勇兵募集!」の檄文がドーン!と貼られていた。
「国がこんなに大変なのに、俺には何もできないのか…? 力になりたいけど、金もコネもねぇしなぁ…」
ブツブツ…と呟きながら、またため息。フゥー…。
その時だった。
「うるっっっせぇんだよ、テメェら! ゴチャゴチャ言ってんじゃねぇ!!」
バリーン!ガッシャーン!みたいな物凄い怒鳴り声が響き渡った。
「!?」
劉備がビクッとして振り返ると、市場の真ん中で、とんでもなくゴツい男が誰かと揉めていた。
身長180cm以上はありそう。トラみたいな鋭い目つきに、逆立ったヒゲ面。声もガラガラでデカい!
「だーかーらー! 俺がこの肉、全部買うって言ってんだろ! 文句あんのか、ああん!? 国のために戦う兵隊さんたちに、いい肉食わせてやりてぇんだよ!」
威勢よくまくしたてるその男こそ、この町の肉屋兼、ちょっとした顔役の張飛。短気で喧嘩っ早いけど、根はイイヤツなんだ。
劉備は(うわぁ…強そう…! でも、なんかスゲーまっすぐな感じの人だな…)と、ちょっとポカーンと見ていた。
すると、今度はその騒ぎの中心に、スー…っと静かに近づいてくる、さらにデカい男がいた。
身長、たぶん2メートル近い!? 見事な長いヒゲをたくわえ、顔は熟したリンゴみたいに真っ赤。でも、その目は驚くほどクールで、威厳がハンパない。
腰には、青龍偃月刀っていう、見るからにヤバそうな、三日月みたいな刃がついた巨大な武器を差している。
その男は、訳あって故郷を離れ、この町に流れ着いたばかりの**関羽**という武人だった。
関羽は、騒いでる張飛をジッ…と見つめ、低い声でボソッと言った。
「…騒がしいな」
その一言で、なぜか場の空気がシン…となる。張飛もピタッと動きを止めて、関羽を睨みつけた。
「あんだ? テメェ…」
一触即発!?
…と思いきや、劉備が再び檄文の前で、ため息をついたのが二人の耳に入った。
「はぁ…国のために何かしたいのに…俺には仲間も、力も…」
その弱気な声を聞き逃さなかったのが、張飛だ。
ドカドカドカ!と劉備の目の前まで歩いてきて、そのデカい声で言った。
「おいアンタ! さっきからため息ばっかついて、男のくせに情けねぇな! 国のために何かしたいってんなら、ウジウジしてねぇで行動しろよ!」
ガミガミ!と説教モード。
劉備はビックリ!
「えっ!? あ、いや…そうなんだけどさ…でも…」
そこに、さっきのクールな大男、関羽も静かに歩み寄る。
「…志は立派だが、一人で嘆いていても世は変わるまい」
落ち着いた、だけど重みのある声。
劉備は、目の前に立つ二人の、あまりの迫力とオーラに圧倒されつつも、なぜか胸がドキドキ高鳴った。(この二人となら…もしかしたら…!)
彼は意を決して、背筋を伸ばし、キッパリと言った。
「俺は劉備! 漢の中山靖王の末裔だ! この乱れた世を正し、民を救いたい! だから義勇兵に応じようと思っていたんだ!」
それを聞いた張飛は、目をカッ!と見開いた。
「へぇ! あんた、王族の血筋かよ! そりゃ驚いたぜ! 俺は張飛! ただの肉屋だが、腕っぷしには自信があるぜ! 国のためなら一肌脱いでやろうじゃねぇか!」
ニカッ!と豪快に笑う。
関羽も、劉備の瞳の奥の光を見て、静かに頷いた。
「…関羽だ。故郷を出て流浪の身だが、貴殿の志、気に入った。この乱世、義のために力を尽くしたいと思っていたところだ。よければ、俺も仲間に入れてくれ」
ビビビッ!
まるで雷に打たれたような衝撃!
劉備、関羽、張飛。三人の視線が、ガチッと交差する。
言葉は少なくとも、お互いの心に響く何かを感じ取っていた。
「よっしゃー!話は決まりだ!こうなったら、まずは景気づけに一杯やろうぜ! 俺ん家に来いよ!」
張飛が、劉備と関羽の肩をバン!バン!と力強く叩いた。
場所は変わって、張飛の家。
酒とご馳走がドンドン!とテーブルに並べられる。
「「「カンパーーイ!!」」」
ゴクゴクゴク!プハーッ!
三人は、まるで昔からのダチみたいに、すぐに打ち解けた。
劉備「いやー、二人みたいな頼もしい仲間と出会えるなんて、マジで運命だよ! 俺の夢は、この戦乱を終わらせて、みんなが安心して笑って暮らせる平和な世の中を作ることなんだ!」
熱く語る劉備。
張飛「いいじゃねぇか! 面白そうだぜ、劉備のアニキ! 俺もよぉ、ただ肉切ってるだけじゃつまんねぇって思ってたんだ! デッカいことやろうぜ!」
目をキラキラさせる張飛。
関羽「…劉備殿の志、そして張飛殿の快活さ、見事だ。この関羽、微力ながら、この命、お二人のために使おう」
静かに、だが固い決意を口にする関羽。
話は尽きない。お互いの夢、国の未来、そして、これからどうやって黄巾賊と戦っていくか…。
夜が更けるのも忘れて、三人は語り合った。
翌日。
張飛が二人を家の裏にある桃園に連れて行った。
そこは、ちょうど桃の花が満開! ピンク色の花びらがブワァー!っと咲き乱れて、めちゃくちゃキレイな場所だった。
張飛が、真面目な顔で切り出した。
「なぁ、劉備のアニキ、関羽のダンナ。昨日会ったばっかだけどよ、俺たち、もう魂レベルで繋がってる気がするんだ。どうだ? ここで、兄弟の契りを結ばねぇか!?」
劉備も関羽も、その提案に深く頷いた。
「「ああ、もちろんだ!」」
三人は、香を焚き、黒牛と白馬を生贄として捧げ(昔の儀式ってやつだ)、地面にひざまずいて、天に向かって誓った。
劉備「我ら、劉備!」
関羽「関羽!」
張飛「張飛!」
劉備「生まれし日、時は違えども!」
張飛「死す時は!」
三人「「「同年同月同日に死なんことを願わん!!!」」」
ザワァァ……
誓いの言葉が終わると、まるで天と地がそれを祝福するかのように、桃の花びらが舞い散り、心地よい風が吹き抜けた。
こうして、兄を劉備、次男を関羽、末弟を張飛とする、血よりも濃い絆で結ばれた三兄弟が誕生したんだ!
ガシッ!と三人は熱い握手…いや、力強い抱擁を交わした。
「「「よっしゃー! まずはあのイエローヘッズ…じゃなくて、黄巾賊どもを、ぶっ飛ばすぞー!!!」」」
三人の英雄の伝説が、今、この桃園から始まる!
彼らのアツい魂が、乱世を駆け抜ける!
(続く!)
第二話 オラオラ!張飛、怒りの鉄拳制裁!
次回もお楽しみに!