6.何も無かったことに
1日蒸気機関車に乗ってたどり着いた終着駅の街は、ちょうど大きなお祭りが開催されていた。
翌日、どうしても祭り見物がしたいとテオドールにお願いして、一日街に滞在することになった。
祭りを見るのは初めてのマルコスとミレナは朝から大興奮である。しかしテオドールは何か考え事をしているような、心ここにあらずという顔をして朝ご飯もろくに食べなかった。
宿を出て、2人は屋台が並ぶにぎやかな方へズンズン歩いて行く。いつもは前を歩く彼がいない。振り返るとテオドールがぼんやりした顔で立ち止まっている。
「大変、テオが止まっちゃう」
ミレナはマルコスの手を引きながら、慌ててテオドールの側に行くと、大きな声で名を呼んだ。けれどぼんやりしたまま反応が返ってこない。
彼の意識はグリフォンの魂の所へ行ってしまったようだ。
仕方がないので彼を引っ張って、路地の端に座らせた。彼は目を開けているがどこも焦点を結んでいない。
旅を始めて半月が過ぎた。初めの頃は3日に一度はあった止まって動かなくなるテオドールも、ここ1週間は元気にしていた。少し気持ちが楽になってきたのかしらと嬉しかったのに。そんな簡単に回復できることではないのだろう。今でも気持ちはグリフォンの魂のところから離れることはないのだとミレナは思った。
お兄様は『テオドールをあの冷たい場所から出してやることはできない』と言っていた。
昨日は笑顔も見せてくれたのに……
隣にくっつくように座って彼の体温を感じる。
この体をけして冷たくなんてしたくないのに、私には何ができるんだろう。
テオドールを挟んで両側にマルコスと座り、すぐ近くに並ぶ屋台を見ていた。遠くに賑やかな音楽が聞こえる。そちらに行ってみたいのだろう、マルコスが上目に見てくる。けれど彼は何も言わずに大人しく座っていた。
マルコスも時々止まって動かなくなるテオドールを心配している。昨年兄は妻を病で亡くしたのだと教えられた。マルコスは幼くして母親の死というものを目の当たりにしてしまったのだ。だから大好きなテオドールが冷たくなっていくことが怖いのだろう。不満を一切口にせず、彼の体にくっついている。
屋台の方から香ばしい肉を焼く匂いが流れてきた。
「マルコス、あのお肉を買いにいこうか! テオは朝ご飯を食べなかったから、起きた時に美味しいものを食べさせてあげようよ」
うん! と青い目を大きくして嬉しそうに笑ったマルコスの手を引いて屋台に向かった。振り返るとぼんやり目を開けた彼が見える。屋台はすぐ目の前だ、彼から遠くに行くわけじゃないから大丈夫だろう。
後ろから眺めていた屋台の正面に回ると、串焼き肉を焼いていた。両隣に続く様々な屋台には、美味しそうなものや珍しいものがずらりと並んでいる。見たこともない世界に興味を魅かれるがぐっと耐えて、とにかく串肉を3本くださいと屋台の店主に声をかけた。
「可愛いお嬢さん、お代は9メルラ」
ミレナは小銭の袋を鞄から引っ張り出すと「ええとメルラはメルの10倍で……だからこの銅貨が……」とつぶやきながら、銅貨の図柄を1つずつ確かめた。
王女であり、山奥の神殿に暮らし、塔に閉じ込められていた…… お金なんて使ったことが無い。旅が始まってからも買い物はテオドールがしていてくれた。ただ、お金は盗られた時のために、それぞれが持っていた方がいいと、お金の袋を持たされていた。
初めての買い物は、もたもたするばかりで何枚どの種類の銅貨を出せばいいのか分からない。後ろに並ぶ客に急かされて、仕方がないので小銭袋を開いて「ここから9メルラ取ってください」と店主に差し出した。
急に店主の男の顔つきが変わった。意地悪そうに「ああそれじゃあ全然足らないな」と大声で言った。
「え? 足りない!」
こんなにたくさん銅貨が入っているのに足らないなんて、なんて高級な串肉なんだろう。そうだ、違う袋に銀貨と金貨も持たされていた、それならきっと足りるだろう。
早くしろと後ろの客から急かされて、気持ちが焦る。鞄の奥からやっとの思いで袋を引っ張り出すと、急いで開けて、銀貨を1枚出した。
「これで足りますか?」
店主の男はミレナが差し出した銀貨を見ていなかった。恐ろしい程に目を剥いて、まるでミレナが毒蛇でも持っているような、信じられないという驚愕の顔をしていた。食い入るような視線は銀貨と金貨が入った袋に向けられている。
「ああこれで足りる」嫌な笑いを浮かべながら、店主は銀貨をさっと奪うように取った。そうしてすぐに隣で働く男の耳元でぼそぼそ話しかけ始めたが、目はミレナを見たままだ。気味が悪くなってミレナは3本の串肉を受け取ると、急いでその場を離れた。
「とーさんお肉だよー」
マルコスがテオドールの肩をゆさゆさ揺らすがぼんやり目を開けたまま反応が無い。ミレナは美味しそうな串肉を見ながら、このままマルコスがかぶりついて食べるのは無理だから、どうやって小さく切ろうかと思案していた。
「おい嬢ちゃん」
野太い男の声にミレナは振り返かえったが、そのままぎょっとして体が固まった。恐ろしい雰囲気の男が7人程、ぐるりと取り囲むようにすぐ後ろにいた。
「どこのお嬢様ですか? お宅まで私達が送ってあげましょう」
げへへと見たことも無い品の無い笑い方をする男が顔を近づけてきた。
恐ろしさに串肉を地面に落した。彼を守らなければとマルコスの手を急いで握り「テオドール」と大声で叫んだ。
「大きな声を出すな、俺たちはなお嬢ちゃんをお宅に送ってあげるだけだ、さあこっちへ来い」
手首をぐいと引かれ、体が男の方へ倒れ込んだ。嫌な臭いの太い腕が肩をつかんでくる。
「ミレナを離せ!」
マルコスが助けようとして男の足に飛びついたが振り払われた。マルコスの体がテオドールにぶつかった。それでも彼は意識を取り戻さない。
「ああ? なんだこの男。目を開けたまま死んでんのか?」
男がテオドールを横から蹴りつけると、彼の大きな体がどさりと倒れた。
「気味が悪いな。本当に死んでるのか? まあいい、金とこの嬢ちゃんをもらっていこう。特上に綺麗な顔だ高値で売れる」
叫ぼうとしたが口を嫌な臭いの手に塞がれる。周りから見えないように、男たちが取り囲む。すぐにテオドールもマルコスも見えなくなった。じたばた動くのにがっちり捕まえられて動けない。
「とーさん起きて、とーさん!」
マルコスの叫び声からどんどん引き離されていく。心の中で「テオドール!」とひたすら叫んだ。
突然視界が開けた。「ぐはっ」とミレナを掴んでいる男が変な声を出した後、弾けるように離れた。
何が起きたのか分からないままに、体がいきなり浮いた。
「ミレナ―!」泣きながら叫ぶマルコスが目の前にいる。
気づけばテオドールに抱え上げられていた。
左腕にマルコス、右腕に自分が乗っている。びっくりして肩にしがみつくと彼の白い顔があった。見たことも無い恐ろしい眼光が、男たちを刺していた。
「彼女に触れたのか?」
低い声は感情を持たずに、冷たく放たれた。
彼は両腕に自分達を抱えているというのに、軽い足取りで男たちの前に立つ。
一瞬、マルコスとミレナの体が上下に揺れた。
「がっ」と声をあげて、目の前の男が空を舞い、地面に落ちた。テオドールの蹴りがみぞおちに入って吹っ飛んだのだ。
男たちが固まったように、地面に落ちてピクリともしない仲間を見入る。
「聞いている、答えろ。彼女に触れたのか? その手が彼女に触れたのかと聞いている」
「てめえこのやろう」
男たちが取り囲んできた。テオドールからストンと降ろされた。彼の手に頭を撫でられた。見るとマルコスの頭にも彼大きな手がのっている。すごく怖い状況なのに、ゆっくりと優しく撫でるのを見ていると不思議と怖く無くなった。
「ちょっとここで待っていろ」
彼の声が聞こえた瞬間に、すでに姿は消えるように動いて、瞬きする間もなく4人の男が白目をむいて地面に倒れた。多分殴ったり蹴ったりしたのだと思うのだが、速すぎてよく分からない。
残りの2人の男たちは、恐怖に体を震わせて後ずさる。滑るように一人の男に近づくと、テオドールは腕を掴んで上に持ち上げた。
「この手か、彼女に触れたのは」
ぎゃあと悲鳴を上げて男が崩れるように膝をつき、苦悶に身をよじる。肩が見たことのない形に落ちている。彼は男の肩関節を外したのだと分かった。
最後の1人が逃げようとするのだが、あまりに恐ろしいのかテオドールから目を離せない。がくがく震えて尻を付くと、そのままずるずる後ろにさがる。
テオドールはその男の前にしゃがみこんだ。
「誰に頼まれた」
ぶるぶる震える腕を上げて、男が指さす先をテオドールが見る。すでに騒ぎに気付いた人々が人だかりをつくり始めている。人は多かったが、その男が誰を示しているのかはすぐに分かった。
驚愕に目を見開く男が、屋台の中からこちらに顔を向けている。先ほどミレナが串肉を買った店主がいた。
「この手も彼女に触れた」
叫び声をあげてテオドールの目の前で指をさしていた男も、苦痛に地面をのたうち始めた。彼はまた一瞬で男の肩の関節を外したのだ。
人々は取り囲み、テオドールが100数える間もなく全ての男を地に倒したのを遠巻きに見ている。
彼が戻ってきて心配そうにミレナの顔を覗き込み「痛い所はないか?」と聞いてきたので首を左右に振った。
「ミレナ何があった」
彼は膝をついて目線を会わせてくれた。マルコスをまた腕に抱き、優しい瞳で問いかけてくる。
先ほど串肉を買ったらお金が足りないと言われ、銀貨を払ったこと。その後突然連れ去れれそうになったことを話した。
テオドールは少しほっとした顔で息を吐いた。そして手を繋いできた。
大きくて硬い手に包まれる。
テオが手を繋いでくれた!
やっと鎮まってきた心臓がまたせわしなく動き出してドキドキ胸を打ってきた。
彼に手を引かれて、先ほどの屋台に戻った。人だかりが彼を避けるようにざっと引いた。
「銀貨を返せ」
店主がぶるぶる震える手で銀貨を差し出す。テオドールは握っていた手を離してそれを受け取ると、ミレナに渡した。そうしてしばらく冷たい視線で店主の男を黙って見下ろした。
長い恐怖の沈黙に耐えきれなかったのか男が「旦那、お許しくだせえ」と消え入りそうな声を出した。
「誰に頼まれた」
低い凍るような問いかけに、男はがくがくと震えながら首を左右に振った。
「誰にも頼まれてなどおりません。私の出来心です。あまりにたくさんの金貨を持った、何も知らない娘だったので……本当です、思い付きの出来心です。どうか助けてください」
テオドールは何も答えず、店先にある串肉を1本取ると、流れるような動作で高く振り上げた。
そして勢いよく、店主の頭に振り下ろした。
ものすごい勢いだったのに、串の先端はピタリと男の額で止まった。けれどほんの先端が刺さって、僅かばかり血がツーっと垂れた。
ひーっと絶叫した男を残して、3人はその場を離れた。
◇◇◇ ◇◇◇
テオドールは腕にマルコスを抱き、ミレナと手を繋いで足早に宿へと戻った。
テオドールの手の温かさと握ってくる力強さのことしか考えられず、宿にたどり着いて手を離された時とても寂しかった。
部屋に入ると、マルコスを抱いたままの彼が両膝をついた。下から見上げるようにミレナの瞳を覗き込んでくる。
「ミレナ、ミレナ……すまなかったミレナ」
彼の腕が開かれて引き寄せられるのを不思議な気持ちで見ていた。
彼の温もりが、大好きな彼の香りがミレナを包み込む。
強く抱きしめられて、テオドールとマルコスとミレナはギューッとくっつき合った。
立っているミレナの下にテオドールの頭があって、そのまま髪に顔を付けて息を吸い込んだ。
甘く痺れるようないい匂いだった。頭がくらくらして倒れそうだった。
念願のテオドールの頭の匂い……
もうこのまま死んでもいい。
「とーさん苦しいよう」
マルコスの抗議に、テオドールの力が緩んだ。それでも腕を背に回したまま離れようとしない。不安げに瞳を覗き込んで「怪我はないか?」と何度も聞いてくる。
「大丈夫だけど……テオ……」
「ん?」
「あのねテオ……とても怖かった」
「俺のせいだミレナ、本当にすまない。俺も怖かった。あのままミレナが連れ去られていたかと思うと……」
青みがかった黒い瞳は、今まで見たことも無い切なげな色をして見つめてくる。
「あ!」
ミレナが大きな声を出したので、2人がびっくりして目を丸くした。
「テオドールが初めて私の名前を呼んでくれた! 嬉しい、すごく嬉しい」
「あ、ああ……そう……か。なんにしても怪我がなくて良かった」
「マルコスは痛いところは無い? 私を守って突き飛ばされたでしょ」
「だいじょーぶだよ」
栗色の髪が乱れているのを、撫でて直してあげた。
「王子様私を守ってくれてありがとう」
マルコスは青いサファイヤの瞳を輝かせて「えへん」と得意顔で頷いた。
「とーさん強い、かっこよかったね」
ミレナも大きく頷いて、ありがとうとテオドールに抱きついたが、何故かすぐに体を引き離された。
「すまない俺はどうかしていた。もう触らない」
彼はとても残念なことを言った。どうやらぎゅーっとしてもらえるのは1度きりのようだった。
◇◇◇ ◇◇◇
目立ってしまったから、この街を早く離れた方がいいだろうと、宿屋を出て隣の街に行くことになった。お祭りを見たかったのでマルコスと盛大に駄々をこねた。
馬車乗り場に向かう途中、屋台で1つだけ買ってもいいとテオドールが言ったので、どれにしようかマルコスとミレナはワクワクと店を覗いてまわった。
肩車されたマルコスが、空色の綿菓子を食べている。高く見上げるテオドールの頭の上に、ふわふわの雲みたいなものがある。可笑しくて何度も見て笑った。
ミレナの手には桃色の綿菓子がある。自分の頭ほど大きいので、とても食べきれないと思った。けれど口にいれるとふわっと消える。甘くて可愛くて不思議な食べ物、なんて素敵!
夢中で綿菓子に顔をうずめて食べ続けた。
「おい、俺にも少しくれ」
テオドールのお願いに、マルコスがちぎってテオドールの口に入れようとしたが、綿菓子はあっという間に小さな塊になって、彼の頬にくっついた。
「空色なのに、どうして茶色になるのかな?」
不思議だなあと彼の顔を眺めていると、テオドールが面白そうにミレナをのぞき込んできた。
「口のまわりが茶色だミレナ」
彼は「ははは」と声を出して大きく笑った。
あまりに眩しくて、その笑顔に胸が締め付けられた。
テオが笑ってる。苦しい……嬉しくてどうしていいか分からない。
自分の綿菓子を彼の口に近づけると、頭を下げてきて大きな口がぱくりと食べた。
「大変! テオの頭がお砂糖でベタベタだ!」
口のまわりも、手も、胸まわりもベタベタドロドロになったマルコスが、テオドールの髪をわちゃわちゃいじっている。
自分の頭に手をやって、うわあと片目をつぶる。
「俺たちはこんなベタベタになっては馬車に乗れないな。綿菓子がこれほど恐ろしい食べ物だったとは知らなかった」
また笑うテオドールに、ミレナは胸がキューっとなりながらも、あの甘いのが付いた頭の匂いをかげたら最高なのにと思った。
結局隣の街に行くことは諦めて、馬車乗り場に近い場所に宿をとった。明日の朝、早めに馬車に乗ろうとテオドールは言った。
その晩は宿屋の部屋で、いつものようにお風呂でシャボン玉遊びをして、疲れたマルコスはいつもより早く寝た。
今日は恐ろしいことがあったのだ、心がとても疲れていたのだと思う。ミレナも彼を寝かしつけているうちに、隣で一緒に寝てしまった。
◇◇◇ ◇◇◇
馬車が走る音が、窓の外に聞こえた。
眠いのに、その音は耳に響いてミレナを起こす。重い瞼がなかなか開かず、体を動かそうとして上に何か重いものが載っているのを感じた。
眠い頭で「なんだろう?」と身を起こそうとすると、何かに体を抱えこまれ身動きができない。
いよいよおかしいぞと意識がはっきりしてきて目を開けた。
目の前に男性の胸。これは……テオ?
え? 私テオに抱きしめられている!!
何度も瞬きしてみたが、ごく近くに彼の体がある。
もそもそ動いて、なんとか体を少し離して彼の顔を見た。
子供みたいにすーすー寝息を立てて深く眠っている。いつもの怖い雰囲気がない可愛い寝顔。
これは夢かな?
彼に抱っこして欲しいと願い過ぎて、願望がとうとう夢に?
夢ならば……
思い切り堪能せねば!!
彼が小さく「うーん」と声をもらして、ミレナの体をまた引き寄せた。がっちり抱きしめられながら顔を彼の胸に押し付けて思い切り息を吸い込んだ。
へろへろに体から力が抜ける。
石鹸と彼の体の香りが混ざり合って、言葉ではいいつくせない天国にいざなうような匂い。こんなご褒美が自分の人生に用意されていたとは!
幸せすぎる。好き! 大好き! テオドールの匂い大好き!!
そして念願の抱っこ。彼からもう離れたくない、このまま起きない、絶対に目を覚ますもんか!
後ろからもぞもぞ体を登ってくる重みがある。馴染みのある高い体温……これは……
「ぼくも抱っこ」
マルコスがミレナの体を乗り越して、ものすごい強引にテオドールとの間に割り込んでくる。
あー!! 私の天国に侵入者がー!
ミレナの心の絶叫をものともせず、マルコスはぐいぐいと入ってきてテオドールの抱っこを奪った。
「んん?」
髪を乱したテオドールが、眠そうに目を細めたまま体を起こした。
「なんだ、寝相が悪いなマルコス」
髪をかき上げる仕草に、何故が目を奪われる。その胸にさっきまで抱きしめられていたのだと思うと顔がかあっと熱くなった。
「なんだミレナ、また俺のベッドに入ってきたのか? やめてくれと言ってるだろう?」
ぶつぶつとひどい言いがかりを付けながらテオドールがベッドから降りていく。
何故だろう夢から覚めない……もしやこれは現実か。
いつもの自分だったら、「テオが私達のベッドにきたんだよ」とか、「さっきまで私を抱っこしていたよ」とか気軽に言えるはずなのに……
どうしよう、胸が痛いくらいに苦しい。顔がどんどん熱くなる……
何も彼に言えなかったので、何も無かったことになった。
面白い所がありましたら★ブックマークをぜひお願いします。