表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/27

1-09 夏へのスイッチ

【登場人物】

・田原さらら(女):主人公。高校1年生。帰宅部。小説や詩集などを読むが読書量は多いとはいえない。小説や詩、短歌などを書くこともあるが気が向いたときだけである。容姿は少し長めのショートカットに幼さの残る顔。背が低目なのがコンプレックスなのだが友人にもっと背の低い子が何人もいるので言わないようにしている。

・山本颯汰(男):さららが好きになった相手。高校1年生。ハンドボール部。1年生ながら早くもベンチ入りを果たしているが必ずしも試合に出られる訳ではないという立ち位置。真面目で誠実。


【あらすじ】

 いつもより早く起きた高校1年生の田原さららは気まぐれにいつもより早いバスに乗り登校した。その車内で見かけた他校の男子高校生の山本颯汰が気になり、翌日からその時間のバスで登校し、颯汰へのアプローチを始めた。

 これは、そんなさららの恋を彼女自身が詠んだ短歌で綴った短歌集です。

◆◇◆出会いからのアプローチ◆◇◆


【01】

早起きし いつもと違う バスに乗り

あなたと出会う 三文の得


【02】

家族には 勉強するのと 嘘をつき

今日から車内に あなたを探す


【03】

少しずつ 車内の場所を 近づける

進んでみたり 離れてみたり


【04】

今日こそは 隣に座る そう決めた

かわいいカバーの 星の王子様


【05】

今日もまた あと一息が 詰められず

夜ともなれば ひとり反省


【06】

ダメなのは 勇気を出せない 理由なの

うまくいかない 前髪、寝癖


【07】

今日こそは 諦めたりは しないから

髪は完璧 占い1位


【08】

やったけど 初めて隣 座ったけど

変じゃなかった? 鼓動聞こえた?


【09】

カッコいい おばあさんに席 譲る彼

だけど私が 譲りたかった


【10】

気になるな 彼の制服 降りるとこ

頭のよろしい 高校だろう


【11】

ひとまずは 勉強頑張る 少しでも

彼に近づき 彼に並ぶの


【12】

眠い朝 はずみで寝たの 彼の肩

笑って心配 してもらっちゃった


◆◇◆会話するようになってから◆◇◆


【13】

少しずつ 彼との会話 増えてゆく

楽しい朝が 続くといいな


【14】

楽しくて ただ楽しくて 楽しくて

でもそれだけじゃ でもそれだけじゃ


【15】

もう一歩 近づきたいの もう一歩

何かないかな 何かないかな


【16】

今日だけは 自分を褒める 思い切り

彼の試合を 応援に行く


【17】

確実な ものではなかった 彼の出番

活かせないまま 終わってしまった


【18】

夜遅く 彼へと送る LINEには

落ち込まないで 私のヒーロー


◆◇◆初デート?◆◇◆


【19】

初デート と思っているかは 分からない

彼のシューズを 選ぶお手伝い


【20】

待ち合わせ 1時間早く 出て見れば

おんなじバスで また鉢合わせ


【21】

休憩が やたらと多い 思いやり

彼は私を 私は彼を


【22】

日が暮れて 良い子のチャイム 鳴る頃に

どちらからとも ないまま帰途に


【23】

家に着き LINE開けば 彼のメッセ

心配してる お詫びもしてる


【24】

お返事を 打っては消してる いつまでも

まるで初めて 送るみたいに


【25】

本当に 楽しかったよ 夢叶った

ゆっくり長く ふたりで居たい


【26】

どんな顔 すればいいのか 分からない

だけど会いたい 君に会いたい


【27】

おはようを 元気マシマシ 言ってみた

返してくれた 元気それなり


【28】

思っていた 通りに行かず 不甲斐ない

あなたの言葉 自責の念を


【29】

私のね せいでもあるの 2人のね

思い出だから 2人で作ろ


【30】

次の日を 約束したの 先だけど

それまで積むの 2人の時を


【31】

たわいない 話題で笑い 盛り上がる

取り戻した時 取り戻した場所


【32】

本当に 幸せだなと 思うとき

噛み締めている 大切にする


◆◇◆彼女になった?◆◇◆


【33】

偶然に 出会ってしまった 彼の友

紹介された 彼女であると


【34】

友が去り 弁解重ね 焦る彼

呼吸整え 嬉しいと告ぐ


【35】

念願の 夢が叶った この日こそ

なんと言おうと さらら記念日


◆◇◆2度目の初デート◆◇◆


【36】

眠れない 明日は2度目の 初デート

いろいろしたい 何も要らない


【37】

決めていた 服がなんだか 似合わない

どうしようかな どうしようかな


【38】

時間ない 無理矢理決心 支度する

かわいい子より 約束守る子


【39】

待ったけど 待ちたかったと 笑う君

君に出会えて ホントに良かった


【40】

歩いても 見ても食べても 止まらない

話尽きない 君を知りたい


【41】

おずおずと 差し出してみた 右の手を

しっかり掴んで 進む君の手


【42】

蜻蛉玉 君に似合うと 髪飾り

一生大事に しようと誓う


【43】

別れ際 頬に触れたる 君の手に

我が手を重ね 別れを惜しむ


【44】

家に着き LINEを開き 思案する

しかし間もなく 着信の音


【45】

夜が明けて 新しい朝 バスに乗り

出会った君さえ 新しく見ゆ


◆◇◆お家に訪問◆◇◆


【46】

級友に 最近いいと 褒められて

嬉しいけれど 説明できず


【47】

夏休み 前にはあるね 期末試験

さてどうやって やり過ごそうか


【48】

えっ本当? 勉強教えて くれるって?

彼のお家で 家族いる中


【49】

とりあえず お母様には いい印象

結婚するとか 関係なしに


【50】

何にせよ さすがに手ぶらは マズいでしょ

友に打ち明け 相談するか


【51】

相談の 前にはまずは 言わなきゃね

大喜びで 聞きたがる友


【52】

経験は なくても知恵は あるはずよ

ネットの情報 気をつけ頼り


【53】

最寄り駅 待っててくれた 君を見て

ほっとしたけど 緊張して来た


【54】

行く途中 立ち止まって顔 こわばらす

私を抱いて 髪撫でる君


【55】

とにかくも 礼儀正しく 元気良く

名乗って渡す 渾身の土産


【56】

お茶を飲み 彼の部屋へと 向かうとき

いつでも来てね よろしくと言わる


【57】

彼の部屋 入ってすぐに ハグされて

頑張ったねと よしよしされた


【58】

勉強を 始めてみたら 分かったの

彼は厳しい 先生であると


【59】

勉強の あとに、も1度 ハグされて

ありがとうさえ 先を越された


【60】

帰るとき お母様から 彼の耳

離しちゃダメよ 囁く声が


【61】

バスに乗り 緊張解けて 気が緩み

顔熱くなり くってり崩れる


◆◇◆告白されて◆◇◆


【62】

良き友と 思っていた子に 告げられた

熱き想いに 真実告げた


【63】

このことを 君に言おうか 言うまいか

必要ないか 要不要なのか


【64】

私の 心の曇り 察してか

君の心も 曇って行くよう


【65】

言いたい事 あれば何でも 言って欲しい

君の言葉に 心を決める


【66】

ありがとう そう言って肩を 抱き寄せて

もっとしっかりする と誓う君


◆◇◆プールデート◆◇◆


【67】

夏休み プールデートの お誘いに

OKしてから 我が身を呪う


【68】

そんなには 急に痩せたり しないけど

気は心なり 藁をも掴む


【69】

友達と 水着選びに 行ったなら

大胆なのを ノリで勧め過ぎ


【70】

分かってる? あなたたちと 行くときも

私はこれを 着るってことを


【71】

いざ当日 空は快晴 気分は複雑

ウキウキ緊張 なるようになれ


【72】

恥ずかしい ばかり気になり 忘れてた

君は部活で 鍛えていたのね


【73】

自分がね 見られることは 恥ずかしい

だけど君なら 見せびらかしたい


【74】

いつもなら ちょっぴり怖い スライダー

なんだか君を 頼りたくなる


【75】

ちょっとだけ 頑張ってみた お弁当

喜んでくれた 褒めてくれた


【76】

物陰に 急に引き込んで 抱きしめて

無言で私 見つめる君なぜ?


【77】

昼過ぎて 口数も減り そわそわと

君はなんだか 落ち着かなそう


【78】

具合悪い? 尋ねてみても 上の空

なんだか私も 不安になりゆく


【79】

別れ際 ふわりと抱かれ 唇に

君の唇 微かに触れた


【80】

お願いよ 謝らないで 本当に

夏を始める スイッチなのかも

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  ▼▼▼ 第19回書き出し祭り 第1会場の投票はこちらから ▼▼▼ 
投票は9月30日まで!
表紙絵
― 新着の感想 ―
[一言] 短歌については詳しくないので、読んだ感想です。 短い言葉に込められたさららちゃんの気持ちがとても素敵でした。 短いからいいのかなぁとも。恋の始まりって、どう表現したら分からなくて、ただドキド…
[良い点] 短歌いいですねー♡ この五七五七七のリズムは、本当に美しい♪ 音楽を聞くみたいに、心地よく響きます。 青春の可愛いストーリーを、このリズムに乗せて語ったのはすごいですね! とっても読みや…
[良い点] 斬新! [一言] これは作者あてクイズ難しそう。やりましたね。作戦勝ちです。 短歌で少しづつ2人が近づいていくさま良かったです。 ただ、これを『書き出し祭り』でやる必要はない。ラスト一句…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ