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ナコの街・龍  作者: 七宝
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恐怖!暗黒魔人田中!

 こんにちは、ナコです! 今日は私の学校を紹介しながら探検しようと思ったんだけど、予定変更です! 魔人の紹介をすることになりました! 今日は魔人の日ですからね! このテンションだと読みづらいと思うから、テンション低めで行くよー!


 とは言ってもまぁ、とりあえず学校には行くんだけどね。


 私は電車通学なので、まず駅に行きます! 駅へは空を飛んで行きます。龍なのでね。っていつの間にか敬語に⋯⋯


 と思ったんだけど飛び方分かんないから歩いて行くね。


 え? 龍なのに歩けるのかって?


 あのね、人間に出来て龍に出来ないことなんてないのよ。龍はなんでも出来るのよ。


 例えば、そうだなぁ⋯⋯


 ラーメン作れるよ。


 あとたぶん、ゆで卵も作れる。


 ゆでアジフライも作れる。


「やーいやーい、お前のかーちゃん落ち武者やーい!」


 近所のクソガキが私の母親の悪口を言っているが、所詮子どもの言うことなので気にすることはない。適当にあしらっておくのが1番だ。


「てめぇ殺すぞ」


 私がそう言って睨むと、クソガキは号泣しながら失禁した。ちなみにこの子の名前は『激レア』というらしい。


「きゃ〜ナコおはよーっ!」


 後ろから私を呼ぶ声と足音が。この声は(しん)ゆっこだな。

 新ゆっことは私がよく遊ぶメンバーのうちの1人で、脱退したゆっこの後釜である。


「おはよ〜」


 私も挨拶を返す。


「いや普通かよ」


 私は学校では面白い存在として愛されているので、少しでも普通の行動をすると責められるのだ。本当に愛されているのだろうか。

 でももうそんなストレスにも慣れた。なんたって私は龍なんだから。龍の時点で面白いでしょ。細長いんだよ? 多分胃とか心臓も全部細長いよ。


 ちなみに、新ゆっこも龍である。


「ナコ、今日魔人の日だよね」


「そだよ」


 そう、冒頭でも言ったけど今日は魔人の日なの。


「今日の魔人って誰だっけ」


 予定表見てないのかな。


「田中だよ」


「いや普通かよ」


 またかよ! 龍の時点で私は面白いんだってば! ていうか「田中だよ」をどう面白くしろってんだい! 無理でやんすよ!


「そっか田中かぁ。じゃあ大丈夫だな」


「なんで?」


 大丈夫な魔人なんて普通いないよね?


「いつも頭皮舐めさせてあげてるから彼はボクの味方なのよ」


 そういえば新ゆっこってボクっ娘なんだね。


「舐めるなら◯◯◯のほうがいいな」


 油断してそうだったのでぶっ込んでみた。


「エンペンメンの顔かな?」


 は? エンペンメン? 著作権対策か?


「大きさ的に鼻くそじゃない?」


 後ろから知らない声が聞こえた。振り返って見てみても、全く知らないおじさんだった。怖い。誰こいつ。なんなのいきなり。おいなり。


「鼻くそって3個で1つなの?」


 なんで新ゆっこは知らないおじさんに当たり前のように質問してるの? もしかして知り合いなの?


「ほら、三位一体(さんみいったい)って言うじゃん! 3つの心が1つになれば!」


「鼻くそに心などない! 死ねぇ!」


 新ゆっこがド正論をぶちかましながら知らないおじさんを焼いている。私たちは龍だから日を吐けるんだ。火ね。


 ていうかこれ殺人じゃね?


〜CM〜


 以前のあなたは血の滴る音を聞くと、どうしようもないぐらいの快楽の波に襲われると言っていた。そんなあなたも今ではただの物言わぬカタツムリ。


 ご覧のカタツムリは、生ハムの提供でお送りいたします。


〜station〜


 電車に乗ると、優先席に田中が座っていた。今日の魔人だ。


「ナコさん、新ゆっこさん、おはようございます。本日はよろしくお願いいたします」


 田中はいつもこんな感じだ。


「けっ、くだらねぇ挨拶しやがって」


「そうだそうだ、このクソゲリピザトーストが!」


 私たちも挨拶を済ませて座った。


 朝の電車は混んでいるので、知らない人の膝の上に座った。


 大丈夫大丈夫。龍だから。

 忘れてたでしょ? 龍だから大丈夫なの。


 田中は魔人なので一駅前で降りた。

 私たちはそれを笑顔で見送った。


 ばいばーい( ・ ▽ ・ )ノシ






      ( ・ ▽ ・ )ノシ







      ( ・ ▽ ・ )ノ







      ( ・ ▽ ・ )







      ( ・ ー ・ )







      ( ・ △ ・ )







 学校に行くと、すでに田中が着いていた。


 ここに1歩でも足を踏み入れれば私たちは敵同士。魔人と人間という敵同士なのだ。


 校門を抜け、地面から首だけ出た状態で埋まっている田中のもとへ歩み寄る。


「ばぁ〜!」


 土の中から這い出る田中。


 人間じゃないから狙われない我々。


 田中はそのままゾンビみたいな声を出しながら校舎の中へ走っていった。


 我々龍は部外者みたいだから今回は解説に回ることになった。


 まずは魔人の説明だが、今日の田中は暗黒魔人である。暗黒魔人とは、暗黒の魔人である。ひとことで言ってしまえば、とにかく黒い。隣のクラスの村島くんのキンタマより黒い。


 なんで村島くんのキンタマの色を知ってるんだって?


 そりゃアイツらいつもフリチンだから。


「あーっ! ナコに新ゆっこじゃーん!」


 そう叫びながら校舎から走ってくる血まみれの麤珠美(ぞじゅみ)。彼女も私たち仲良し5人組のメンバーだ。


「ちょっと麤珠美! めっちゃ血出てんじゃん!」


 新ゆっこが心配している。


「いいよ痛くないから、大丈夫大丈夫」


「そっかぁ、良かった〜」


 痛くない方が大丈夫じゃないだろ。


「それより田中がさぁ〜⋯⋯⋯⋯あ」


 何かを言いかけた麤珠美が絶望の表情になって固まった。


「どした?」


 新ゆっこが不思議そうに(たず)ねた。


「うんこ⋯⋯漏れた」


「はぁ? マジ? ありえねーわ」


 ゴミを見るような目で麤珠美(ぞじゅみ)を見る新ゆっこ。


「えっ」


「大人だからね。有り得ないわ」


「でも下痢で何回もトイレ行ってたんだよ。その末の出来事なんだよ」


「下痢でも漏らさないよ。大人だからね」


「いや下痢なんだから!」


 語気が強くなる麤珠美。


「漏らさないよ! 大人なんだから!」


 新ゆっこもヒートアップする。


「大人だって子どもだって!」


「アメンボだって?」


「うるさい! 大人だって子どもだって漏らす時は漏らすんじゃ! ていうかあたし大人じゃないんだけど! JKなんですけどぉぉおお!?!?!?!?!?!?!?」


「うるっさ」


 そう言って新ゆっこは満面の笑みで鉄棒に(かじ)りついた。


「うんこ漏らしと会話するより鉄棒食ってるほうが100倍マシだわ、あーおいち〜」


 それから6時間が過ぎ、暗黒魔人田中は不審者に刺されて死亡、新ゆっこは全ての歯が虫歯になった。


 そう、鉄棒には虫歯菌がいるのだ。

 みんなで鉄棒を齧ろう!

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― 新着の感想 ―
[一言]  人と魔人の闘いの歴史の1ページでしたね。  七宝先生は、バトルものも良い!
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